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2022/01/21

『愛と哀しみのボレロ』『マジック・イン・ムーンライト』……時代を超える名曲「ボレロ」が流れる映画4本

 多くの映画で使用されているラヴェルの「ボレロ」は、同一の曲にもかかわらず、違う印象を作品に与えている。今回は、聴く人も観る人も虜にする「ボレロ」が流れる映画4作品をご紹介しよう。

 誕生から90年経つ今も、世界中から愛され続けている「ボレロ」は、元々はバレエ音楽だが、オーケストラ・コンサートの人気曲で、今年の東京フィルハーモニー交響楽団のニューイヤーコンサートでも演奏された。聞き覚えのあるフレーズで始まるこの曲は一定のリズムが刻まれ、たった2つの旋律を繰り返すシンプルながらも壮大な楽曲だ。次々と違う楽器へバトンを渡しつつ、徐々に音量を増していき、最後は大音響とともにクライマックスを迎えることから「世界一長いクレッシェンド」と言われることもある。

★『クレッシェンド 音楽の架け橋』(2019年/ドイツ製作)
実在の管弦楽団からインスパイアされて生まれた、世界中の映画祭で観客賞に輝いた感動作。長きにわたり紛争が続くイスラエルとパレスチナから、音楽家を夢見る若者たちを集めて結成した和平オーケストラがコンサートで演奏する演目の一つが、この「ボレロ」だ。曲全体が“クレッシェンド”で構成される「ボレロ」は、若い音楽家たちの人間的成長を描く本作をまさに象徴している。和平コンサートが目前に迫った21日間の合宿で、激しく憎しみをぶつけ合う団員たち。ラストに待つ“魂の演奏”は見逃せない。

2022年1月28日(金)より、全国公開
監督:ドロール・ザハヴィ
主演:ペーター・シモニシェック
配給:松竹
(C) CCC Filmkunst GmbH

★『愛のむきだし』(2008年/日本製作)
『冷たい熱帯魚』(2011)や『ヒミズ』(2012)の鬼才・園子温が237分の長尺で描いた奇想天外なラブストーリー。主人公ユウをAAAの西島隆弘、ヒロインのヨーコを満島ひかりが演じる。「ボレロ」は、ユウが運命の女ヨーコに出会うまで、ある理由から様々な“罪作り”を繰り返す場面で度々流れる。同じ旋律の繰り返しが功を奏し、2人がついに出会うシーンで楽曲は最高潮に。そして作品タイトルが出てくるという、波乱の物語の幕開けを感じさせる劇的な演出になっている。

★『マジック・イン・ムーンライト』(2014年/アメリカ・イギリス製作)
ウッディ・アレン監督が1920年代の南仏リゾート地を舞台に描く、コリン・ファースとエマ・ストーン出演のロマンティック・コメディ。「ボレロ」が流れるのは、天才的な腕前のマジシャン、スタンリー(コリン・ファース)のマジックショーだ。盛り上がりを見せる人体切断マジックのBGMで演奏され、英国人のスタンリーが中国人に扮してマジックをするという怪しさが漂うショーではあるが、会場の荘厳さとオーケストラの曲が相まって優雅さを醸し出している。

★『愛と哀しみのボレロ』(1981年/フランス製作)
半世紀の時を超え、運命の糸に結ばれた四家族の超大作メロドラマ。ベルリン、モスクワ、パリ、ニューヨークを舞台に、バレエダンサーのルドルフ・ヌレエフ、歌手エディット・ピアフ、指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤン、音楽家グレン・ミラーといった芸術家たちをモデルに作られた。管弦楽曲として演奏されることが多い「ボレロ」だが、20世紀最高の振付師モーリス・ベジャールによる「ボレロ」が大きな話題を呼び、元々のバレエ作品として再び脚光を浴びることになった。

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