2021/12/28 20:00
クレイジーケンバンドが、年末年始にかけて東京・横浜・大阪で行う【CRAZY KEN BAND Billboard Live TOUR 2021-2022】が、12月23日に[ビルボードライブ東京]でスタートした。
現在も【好きなんだよ 2021-2022 】ツアー中のCKBだが、ツアーとは別のセットリストと構成を至近距離で楽しませてくれる[ビルボードライブ]のステージは〝格別〟にして〝別腹〟。ドラの音を合図に、オープニングの「大映スター・パレード」から、「ゴッドファーザー 愛のテーマ」に続き、横山剣が登場すると、タメもたっぷりに熱唱。六本木の夜を瞬時に昭和ライクなゴージャス感で包みこむ。
続いて演奏されたのは、「ボタンの掛け違い」(『GALAXY』2006年)。男と女のすれ違いを、ホーン・セクションを含む華やかなバンドサウンドでソウルフルに聴かせる。「外は寒いですが、夏の世界にお連れしましょう」というMCをはさんで披露されたのは、「Loco Loco Sunset Cruise」(『Soul Punch』2005年)。CKBにはサマー・ソングの名曲も多いが、「男の夢落ち」というストーリーをスウィート・ソウル仕様で、切なく響かせてくれた。
2020年は21枚目にして、初のカヴァー・アルバム『好きなんだよ』をリリース。デビュー40周年を迎えた横山剣が、70's~90'sにかけて「好きで好きでたまらない曲」のみを厳選してカヴァーしたアルバムだ。その中から、先ず聴かせてくれたのが南佳孝の79年のヒット曲「モンロー・ウォーク」。サマー・ソングの流れでこの曲が来るという構成が心憎い。オリジナルを活かしつつ、CKBらしいアレンジを施し、ステージでは振り付きで披露した。「目の前にお客さんがいるのは幸せです」。昨年から続いたパンデミックでCKBもライブの延期や中止を余儀なくされたが、拍手や身振りでステージを楽しむ観客を前にする悦びを伝え、エアー乾杯とクラッカーを鳴らす。ここで、CKBが一躍注目を集めた2002年のナンバー「クリスマスなんて大嫌い!! なんちゃって♥」を歌い、大きな喝采を集める。「新しめのナンバーですが、曲調はヴィンテージ」という「月夜のステラ」(『NOW』2020年)は、「雪が降ると、横浜・本牧の丘陵地に行くのはChevyのLowriderでは厳しい」というクルマ好きのツボをくすぐるウィンター・ソング。『NOW』からは、「愛があるなら年の差なんて」も紅一点のアイシャ嬢としっとりデュエット。年の差のあるカップルが愛を育んでいく沁みる歌詞には、横浜の根岸が出てくるが、「根岸から横須賀にやって来ました」というMCにピンときた人も多いだろう。「この曲がなかったら、いまのCKBはなかった」という、お馴染みの「タイガー&ドラゴン」だ。国道16号線をクルマで走っていて一筆書きのように綴ったという歌詞について触れ、「安いダサいスカジャンを着て、イキがっているジャイアンのようなさみしがり屋のイメージで書いた」という話を入れる。今宵は、ホーン・セクション入りで気迫溢れる「タイガー&ドラゴン」を堪能することができた。
お次は、横須賀が舞台の阿木燿子・宇崎竜童作の山口百恵の「横須賀ストーリー」へ。宇崎、横須賀つながりで、ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」をワンフレーズはさみ、サックスのジャッカルこと中西圭一が「アンタ、あの娘のなんやねん」と関西弁でキメセリフを言う場面もあり、サービス満点のステージを繰り広げる。スカのリズムを取り入れたCKBヴァージョンの「横須賀ストーリー」も新鮮だった。
ミラーボウルが回り、いいムードになってきたところで、アイシャ嬢のスキャットが響く。CKBのオリジナルかと思うような「スカイレストラン」は、ハイ・ファイ・セットの75年の曲。そんな荒井由実・村井邦彦作の洒落た曲から、同じくレストランを舞台にしたオリジナル「円盤 - Flying Saucer -」(『FLYING SAUCER』2013年)へ繋げるとは! 粋で洒脱な流れにしびれる。
本編のラストは、「流星ドライブ」(『Soul Punch』)。「甘いひとときは あと数分で時間切れ」という歌詞をポップに弾むメロディーに乗せて、さらりと「粋な別れ」とする大人のバンドにしかできない締めくくりに酔わされた。
アンコールは、JB(ジェームス・ブラウン)メドレーからスタート。CKBの前身バンド、CK'S時代から得意としてきたこんなメドレーが飛び出すのも、[ビルボードライブ]らしい。観客からのリクエストで「欧陽菲菲」や「ガールフレンド」をさわりだけ歌うなど、とことん楽しませてくれる。
最後は屈指のソウル・バラード「生きる」。熱のこもった歌と演奏に大きな拍手がおくられた。横山剣がステージを後にしてから、さらに小野瀬雅生の語りとアイシャ嬢のスキャットによる「あまい囁き」も披露され、オリジナルのアラン・ドロンとダリダに負けないムーディな締めくくりになった。
新旧のナンバーを取り混ぜ、最新作からはルーツを感じさせるカヴァーも聴かせてくれた【ビルボードライブ東京のクレイジーケンバンド】。脂の乗りきった成熟したステージは、イヤー・エンドの[ビルボードライブ横浜]、2022年年明けの[ビルボードライブ大阪]へと続く。
Text:佐野郷子/Kyoko Sano
Photo:Masanori Naruse
◎公演情報
【CRAZY KEN BAND
ビルボードライブ東京のクレイジーケンバンド】※終了
ビルボードライブ東京
2021年12月23日(木)・24日(金)
1stステージ 開場14:00 開演15:00
2ndステージ 開場17:00 開演18:00
【CRAZY KEN BAND
ビルボードライブ横浜のクレイジーケンバンド】
ビルボードライブ横浜
2021年12月30日(木)・31日(金)
1stステージ 開場14:00 開演15:00
2ndステージ 開場17:00 開演18:00
【CRAZY KEN BAND
ビルボードライブ大阪のクレイジーケンバンド】
ビルボードライブ大阪
2022年1月18日(火)・19日(水)
1stステージ 開場14:30 開演15:30
2ndステージ 開場17:30 開演18:30
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