2021/12/31
毎年大阪の冬を熱くするFM802主催のロック大忘年会・【FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY】が、昨年の中止を乗り越えて2年ぶりに行われた。
しかも今回は【FM802 ROCK FESTIVAL RADIOCRAZY presents THE GRAND SLAM】と題して、12月25・26・27・28日というイベント史上初の4日連続開催に。 加えて会場も初の京セラドーム大阪となり、例年とはひと味違ったビッグスケールで展開。万全の感染症対策が取られるなか、約1.3万人が沸いたライブ4日目の模様を出演全10組のショートレポート&フォトで紹介する。
●Vaundy
最終日の朝は今秋FM802のDJに仲間入りした彼が沸々と高まる歌で着火。と思いきや「不可幸力」の重い横ノリで急転、夜の世界へ。さらに心地いい翻弄は続き、クラップが飾るポップ、湿度の高いウイスパー、荘厳かつエモーショナルなトラック、クワイヤを思わせる爽快感、スケール感あるロックと七変化。多面体な魅力を強く印象づけた。そんな彼もMCでは“スゲー(観客が)いっぱいいるわ。写真撮っていい?”と飾らない素顔を見せていたのでSNSをチェックしてみては?
●KANA-BOON
「シルエット」からみずみずしく駆け抜けるKANA-BOON印のロックを連発。身も心も熱くする冬の定番を鳴らせば、歓声こそないがオーディエンスはクラップにハンズアップにと沸き立たずにはいられない。そこへ「ネリネ」の弾むビートも注入してハッピーな空気も挟みつつ、前傾姿勢を保ってきらめくメロディや前向きなメッセージと共にゴールへ。“俺たちの音楽は、あなたのそばにずっとい続けるので”という谷口の言葉も困難な時代を生きるファンを勇気づけたことだろう。
●indigo la End
中毒性あるリフレインや4人のほとばしるプレイ、そして柔らかくも鋭くもある川谷のボーカルや感傷的なメロディで綴る物語は、大空間に行き渡り聴く者の耳と心をとらえ、鮮明なラブストーリーの映像が見えてきそうなほど。また最新曲「邦画」では観客を気持ちよく揺らし、加えて“このイベントのためにセルフカバーしてきたんで”(川谷)と、彼が手掛けた今春のFM802キャンペーンソング「春は溶けて」も。気づけば誰もが上質なindigoサウンドに思う存分酔いしれていた。
●ストレイテナー
まずは切ない夏のシーンを繊細に描くと、グッとタイトになったり、美しいメロディで包み込んだりして会場に拍手を起こす。また2007年のFM802ヘビーローテーションナンバーや「灯り」を続けてじっくりと聴かせれば、心には冬の風景も。そんな豊かな表現力で夢中にしたあとは、代表曲もセレクトして4人のロックで圧倒。全8曲とは思えぬ充実感をもたらしてくれた。ちなみに途中、ホリエからは“2022年はこれでもかってくらいみんなに会いに来たい”といううれしい抱負が!
●サンボマスター
登場早々“年末”を連呼したらいきなりキラーチューンを連投し、大観衆を大いにクラップ&ダンスさせドームは年の瀬の華やかさ。だが一転、珠玉バラードとなれば曲の浸透力は半端なく、スマホライトが場内を埋め長いミュートも続く感動の景色に。そんな静かな時は「輝きだして走ってく」で突破してラストスパート開始。例年以上に強く“負けないで”の言葉を刻みつけ、最後はモータウンビートで全体をバウンドさせ約30分間を走りきった。もちろん今年も全員優勝!
●04 Limited Sazabys
登場と同時に「大阪いけるー!?」と元気にクラップを誘導し急発進!全員Tシャツという、外気温が6度とは思えない真夏仕様な4人からはありあまるエネルギーが放たれ、一瞬で会場の熱量をあげていく。「終わりよければすべてよし。今日みたいな楽しい日があれば"今年はいい年だった"と思えるはず。そんなライブをしにきました!」「message」の弾けるツービートで牽引すると、観客も負けじと拳を上げ応戦。(GEN)終盤には、4月に開催が決定した「YON FES 2022」の告知も。「みなさんの未来に光が差しますように!」ラストナンバーの「swim」では、特大クラップの中、まだまだ続く旅へと出発するような爽快なサウンドが響いた。
●SHISHAMO
スウェット姿の3人。楽器を持ち寄った女子の部屋にお邪魔したかようなラフな空気感は初めてのドームライブでも変わらない。「明日も」から彼女たちにとって、2021年最後のライブがはじまった。いつ聴いてもその時の感情にハマる魔法のような楽曲が年の瀬に染みる。吉川と宮崎が19歳の頃から出演しているというRADIO CRAZY。今年で7回目の出演となることに感謝の気持ちを語りつつ、「ドームでかい!天井高い!」と無邪気な表情も。最新アルバムやEPからの楽曲を中心としたセトリで、どうしようもない恋心やむきだしの感情を直球でぶつける。強靭さが増したグルーヴに現在のバンドの充実度が感じられたステージだった。
●クリープハイプ
3年3ヵ月ぶりの6thアルバム「夜にしがみついて、朝で溶かして」を12月8日にリリースしたばかりのクリープハイプ。緊張感をまとったステージから、「キケンナアソビ」のイントロ1音目が鳴らされるとゾクゾクと脳が刺激される。「イト」で会場が一体となったあとは、「言いたいことがうまくまとまらないから曲に込めます」と、この日にぴったりの「ラジオ」を披露。「FM802は、音楽をまっすぐに届けてくれる大切な場所。言葉が嘘になる前に歌ってごまかします」。「栞」の冒頭ワンフレーズに魂を込めると拍手が会場を包む。絶対の信頼を置く自分たちの音楽ですべてを伝えること。真摯なステージングからその想いが伝わるライブだった。
●sumika
リハから本番さながらに、爽やかなサウンドを響かせていたのはsumika。虹色の照明の中、眩いピアノサウンドが弾けると自然と体が揺れる。ステージの両端へ移動し、力強く歌を届けながらひとり残らず笑顔にする片岡。夏の野外が似合う曲「イコール」は年末に聴くのもまた味わい深い。ライブ初披露となる新曲では、自然発生的にスマホライトが灯る。「ちょっと!泣かせないでよ!」と喜びと充実感を噛みしめて、「愛するラジオ局と愛するあなたに」とスパートをかけた後半は、終演を惜しむかのような盛り上りに。この日のライブの成功は、「俺はやっぱりライブが好きだ!」最後に叫んだ片岡の言葉が物語っていた。
●WANIMA
これまでの出演者からバトンを受け取り4日間の大トリを飾るのはWANIMA。「JUICE UP!!のテーマ」で煽る高揚感はライブでしか味わえない昂ぶりを生む。「(制限がある中)みんなができないこと、全部WANIMAがやります!」との宣言通り、広いステージの端から端までダッシュしまくるKENTAの気合は中盤「酸素ください…」とへたりこむほど(笑)。コロナ禍でリリースした3部作からの楽曲で、バンドの本質と向き合って生まれたタフなメッセージを届け、さらにこの時代にこそ聴きたい「エル」「つづくもの」のような旧曲が新たな輝きを見せた夜。会場の照明を落とし、スマホライトが光る中、奏でられたアンコール「ともに」で見せた美しい景色は、いつだってそばにいてくれるWANIMAの音楽の温もりそのものだった。
なおFM802では2022年1月10日(月・祝)18:00より、今回の【FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM】のライブ音源のみで構成する9時間の特別番組【FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY HIGHLIGHTS】がオンエアされる。
Text by 服田昌子,岡田あさみ
Photo by FM802
◎イベント情報
【FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM】
開催日:2021年12月25日(土)・26日(日)・27日(月)・28日(火)
会場:京セラドーム大阪
https://radiocrazy.fm/
◎番組情報
【FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM HIGHLIGHTS】
●放送日時=2022年1月10日(月・祝)18:00~27:00
【FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM】(12月25日~28日・京セラドーム大阪)【FM802 RADIO CRAZY presents LIVE HOUSE Antenna-GSシリーズ-】(1月4日~6日・Zepp Namba(OSAKA))のライブ音源のみでお送りするスペシャルプログラム。
第1部 18:00-21:00 DJ 浅井博章×加藤真樹子
第2部 21:00-23:48 DJ 落合健太郎×田中乃絵
第3部 24:00-深夜3:00 DJ 土井コマキ×板東さえか
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