2021/12/25 19:30
広瀬香美が12月24日クリスマスイヴの夜に【香美別邸2021~ピアノ弾き語りライブ~クリスマスナイトin公会堂】を大阪市中央公会堂で開催した。
舞台袖からピンクに銀ラインが際立つドレスで登場した広瀬香美。「メリークリスマス!」と威勢よく挨拶をして、大切な日に自分に逢いに来てくれた事を感謝して、音楽家冥利に尽きると語る。「今日は泣くな! 最後号泣させて頂いて!」と冗談交じりに話し、1曲目「歌いたいわ」を歌う。「歌いたいわ 貴方のために 歌いたいわ 私のために 今宵も私は歌う 貴方の旋律をI sing for you」という歌い出しの歌詞は、彼女の決意表明にも、歌いたいという気持ちにも伝わり、これぞ1曲目という歌だった。この御時世、中々、観客の前で歌えなかった状況も長かっただけに、その熱情がとんでもなく伝わる。
広瀬香美と言えば、ウィンターソングのイメージがあり、そのイメージを90年代に決定付けたのはアルペンCMソングであった。2曲目は98年12月にリリースの同年アルペンCMソングである「ストロボ」。観客へ顔を傾けて、語り掛けるかの様に丁寧に歌い上げる。勢いのある曲調の2曲に続いて3曲目「日付変更線」は、しっとりとしたスローバラードではあるが、力強く訴えかけてくるものがある。歌い終わり、中央に出て、ピンクのドレスを不意に脱ぐと、中は金と黒のラメが光るヒョウ柄のパンツスーツで、何と尻尾まで付いている! 「これくらいの歳になって、こういう職業に就いているから尻尾大丈夫なんです!」と嬉しそうに話して、マイク無しのアカペラで歌うサービスも。というか、最初の影アナからわかってはいたが、とにかく本当にサービス精神旺盛の人であるし、とにかくよく歌い、とにかくよく喋る。人を楽しませる事が本当に好きな人なんだと想う。
そんな彼女も来年デビュー30周年を迎えるが、幼少期は大阪の門真で育ったというルーツを持つ。門真団地4号棟で育った門真の星は、冬の女王様として30年君臨している。その凄みをクリスマスイヴに体感できるというのは、誠にメモリアルな事だ。もはやトークショーの如く、父親の職業や九州にも住んでいた事などを音階として取得したという大阪弁イントネーションで流暢に話しまくる。そして、大阪でデビュー曲の人気に火が付いた事も話し、プライベートでもよく大阪を訪れる事も明かした。
今シーズンの冬の新曲として、来年大きな世界的スポーツイベントのテーマソングとして発表される未発表曲も一節アカペラで歌う。何度、サービス精神旺盛と書くのだろうというくらいのサービスの連続から、「冬の女王様として、まだまだ頑張ります!」という宣言の後は、満を持してクリスマスソングとして楽しい「赤鼻のトナカイ」から、しっとりとした「ビバ☆クリスマス」を披露。緩急の付け方、そして振れ幅の大きさに改めて感心してしまう。
「冬に歌う高音の歌手やないよ! ピアノ弾けるねんで!」と笑い飛ばしていたが、ピアノ弾き語りライブと言うのは、やはり貴重である。本人もフリースタイルと謳ったが引き倒し、歌い倒し、喋り倒しと自由にパフォーマンスしていく。過去には自由にやり過ぎて退館時間が迫ってきてしまい、ラストに「ロマンスの神様」を早く歌ったというエピソードも笑いながら話す。
ピアノ弾き語りライブのデメリットとしてピアノから動けない事も説明するが、「だから、ひとつ武器を用意しました!」とハンドマイクを使って、ステージを自由に歩きながら喋り倒す。この自由な振る舞いも観ている側としては楽しくて仕方ない。
そんな爆笑モードから一気にガラッと緊張感を持ったモードに切り替えて、「DEAR…again」を歌い始めたりするのだから、やはり、その緩急の振れ幅には驚愕してしまう。自身が凄く大事にしてる曲なので真剣に歌われるし、ピアノを弾き出した瞬間に起きた拍手からも、その人気がわかる。ポップなメロディーであり、とても響いて沁みる。
「という事でお待たせしました! みなさん、こっからの曲を聴きに来たんだと想います! 今までは長いフリでした!」と8曲目に「promise」へ。自身をネタにしてまで楽しませる姿勢は素敵すぎるとしか言い様が無いが、続いて「ゲレンデがとけるほど恋したい」を歌う。まさしく絶好調でスピードに乗った歌と演奏に、観客はずっと手拍子を鳴らしている。広瀬も手拍子をしながらアカペラでも歌うが、そのパワフルさには圧倒されてしまう。気が付くと早くもラストナンバー10曲目。「これを聴きに来たんだよ! 日本中誰でも知っている名曲! 宝物で御座います。みんなで歌いたいけど、心の中で歌って下さい。「ロマンスの神様」お待たせ~!!」と完璧な〆へ。
アンコールでは、赤と金のドレスで登場して、「年末ジャンボ交響曲」のサウンドが大音量で流れる。CM同様、ハンドマイクで振り付きで歌いきったが、場内は揺れんばかりの大盛り上がり。 「来年は当たるといいね! みんなで当てにいこう!」という呼びかけには、みんな明るい気持ちになったに違いない。「一番盛り上がったアンコールありがとう! 悲しいかな私が作った曲ではありませんでした!!」とちゃんとオチをつける事も忘れない。「これ以上の曲を作れよ香美! がんばってまいります!!」という言葉も、ただただかっこよかった。
最後は、公式LINEでのアンケートで開演までに募られた楽曲を披露。自身を開花させてくれたというデビュー曲「愛があれば大丈夫」を披露。観た者全てを満面の笑みにしてくれる最高の聖夜だった。このライブの模様は読売テレビで1月末にも放送される予定。是非とも楽しみに待って頂きたい。
TEXT:鈴木淳史
PHOTO:ヨシモリユウナ
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