2021/11/25 09:00
デイヴィッド・バーン、アレサ・フランクリン、デヴィッド・ボウイなど、数多くの音楽映画が上映された今年も残すところあとわずか。2021年の締めくくりとして、ザ・ローリング・ストーンズの音楽ドキュメンタリー『ワン・プラス・ワン』が、12月3日より全国順次リバイバル上映する。
2021年を振り返ると音楽映画が豊作な1年だった。クラシックでは、ルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラスのコンサートの舞台裏に迫るドキュメンタリー『甦る三大テノール 永遠の歌声』。ジャズではマンハッタンのロフトで気鋭のジャズ・ミュージシャンたちが繰り広げた伝説のセッション『ジャズ・ロフト』。ソウルでは、アレサ・フランクリンのライブ・ドキュメンタリー『アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン』と彼女の生い立ちからスターダムにのし上るまでを描いた『リスペクト』など、多様なジャンルの音楽映画がほぼ毎月公開された。
さらに、元トーキング・ヘッズのフロントマン、デイヴィッド・バーンによる伝説のブロードウェイ・ショーを鬼才スパイク・リーが映画化した『アメリカン・ユートピア』や、50年間封印されていた幻の音楽フェス【ハーレム・カルチャラル・フェスティバル】を描いた『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった)』、オアシスがキャリア絶頂期の1996年に行った伝説ライブのドキュメンタリー『オアシス :ネブワース1996』の大ヒットは記憶に新しい。音楽ファンにとって、2021年の締めくくりにぴったりの一本と年明け早々から公開される珠玉の映画二本をご紹介しよう。
★『ワン・プラス・ワン』(12月3日公開)
ロックンロール史上に輝く名曲「悪魔を憐れむ歌(Sympathy For The Devil)」誕生の瞬間を捉えた音楽ドキュメンタリー。1968年、英ロンドン。カメラが映し出すのは、5月革命のパリを離れ、ロンドンにやってきたヌーヴェルヴァーグを代表する巨匠ジャン=リュック・ゴダールと、世界最強バンドのザ・ローリング・ストーンズ、そしてストーンズのレコーディング風景やブラック・パワー、我が闘争、革命のヒロインであるアンヌ・ヴィアゼムスキーなどなど……。今もなお最前線で活躍し続けるゴダールとストーンズの若き日のコラボレーションは、唯一無二の映像体験だ。
★『ジギー・スターダスト』(2022年1月7日公開)
デヴィッド・ボウイが1972年~1973年にかけて日本を含む世界各地をまわった長期ツアーの最終公演である英ハマースミス・オデオン劇場のライブを撮影したドキュメンタリー。ボウイ自身が製作に関わっている。この時のステージ衣装を手がけたのは、ロンドンでコレクションを発表して間もない27歳の山本寛斎。監督はボブ・ディランの『ドント・ルック・バック』で一線を画した<アカデミー賞名誉賞>受賞監督のD.A.ペネベイカーで、全曲の歌詞翻訳を含む字幕をシュガーベイブのベーシストだった寺尾次郎が担当している。
★『ロックフィールド 伝説の音楽スタジオ』(2022年1月28日公開)
今から50年以上前、ウェールズの片田舎で音楽好きの兄弟キングズリーとチャールズが家業の酪農場を引き継ぐ。当時エルヴィス・プレスリーに夢中だったふたりは、農場の仕事の傍ら、屋根裏に録音機材を持ち込み、大胆にもレコーディング・スタジオを作ってしまう。当初は友人らと使用する目的だったが、空き部屋を宿泊施設に改修したことで、兄弟は無意識に世界初の宿泊可能な滞在型音楽スタジオ「ロックフィールド」を設立。図らずもまたたく間に情報が広がり、バンドマンが録音したい場所として国際的な注目を集める。ブラック・サバス、クイーン、エコー&ザ・バニー・メン、イギー・ポップら多くの人気ミュージシャンが利用したというこの場所で、オアシスの「ワンダーウォール」やコールドプレイの「イエロー」といった数えきれない名曲たちが誕生した。クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」をレコーディングしたのはこの地であり、映画『ボヘミアン・ラプソディ』でもその様子が描かれたことで広く知られている。
◎公開情報
『ワン・プラス・ワン』(PG-12)
2021年12月3日(金)より、全国公開
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
出演:ザ・ローリング・ストーンズ、アンヌ・ヴィアゼムスキーほか
配給:ロングライド
(C) CUPID Productions Ltd.1970
関連記事
最新News
アクセスランキング
インタビュー・タイムマシン
注目の画像