2021/09/29
【グラストンベリー・フェスティバル】の会場内を流れるホワイトレーク川から、有害なレベルのコカインや一般的にエクスタシーとして知られているMDMAが検出され、科学者たちは同フェスティバルの会場内で排尿した参加者に責任があると考えている。
英ウェールズのバンガー大学の研究者たちは、2019年に行われた同フェスティバルの開催数週間前、開催期間中、そして開催数週間後にこの川で違法薬物の検査を行った。
今月発表された分析によると、すべてのサンプル回収場所でコカインとMDMAが検知され、同フェスティバル開催の1週間後には、上流の104倍となるMDMAの量が下流で見つかった。また、下流のコカインの量は、上流の40倍だった。
科学者たちは、ホワイトレーク川で検出されたMDMAの濃度が、水生生物に有害な「環境破壊レベル」に達していると警告した。また、検出されたコカインの濃度は、絶滅危惧種であるヨーロッパ・ウナギのライフサイクルを乱すのに十分なレベルだったと科学者たちは明かしている。
近隣のレッドレイク川の分析では、薬物レベルに大きな変化は見られず、汚染はフェスティバル開催が「原因である可能性が高い」ことが確認された。2019年の【グラストンベリー・フェスティバル】には、20万人以上が参加した。(2020年、2021年は新型コロナウイルスのため、同フェスティバルは開催されていない)
研究を行ったバンガー大学のチームの一員であるダン・アバーグは、「公衆の排尿による違法薬物の汚染は、どの音楽フェスティバルでも起きています」と述べた。「残念ながら、【グラストンベリー・フェスティバル】は川の近くで開催されているため、フェスティバルの参加者の体内から排出された薬物が土壌で分解される時間が十分ではありません。そのため壊れやすい淡水の生態系に入ってしまうのです」と説明した。
同フェスティバルの広報担当者は、今回の研究結果を受けて、地元の川や野生動物を守ることは主催者にとって「最も重要」であり、近年は会場内での参加者の排尿防止策に努力していると述べた。また、フェスティバル側は、毎年環境庁と合意の上で「徹底した排水路のサンプリングの管理」を運用しており、2019年の同フェスティバル開催後に懸念事項は挙がらなかったと明かした。「土地に排尿することを、今後のフェスティバルにおいても厳しく防止し続けます」と広報担当者は語った。「また、私たちは【グラストンベリー】での違法薬物の使用を容認しません」と述べた。
今回の研究を主導したクリスチャン・ダンは、薬物や製薬廃棄物から生じる「隠れているが、潜在的に壊滅的な汚染物質」についての認識を高めるために、さらに多くの行動を起こす必要があると述べた。彼は、参加者に主催者が用意した公式トイレを利用するよう呼びかけるとともに、湿地帯の浄化など、環境に配慮した汚染対策の研究を提案した。
今年1月に同フェスティバルの主催者は、新型コロナウイルスのパンデミックのため、【グラストンベリー】を2年連続で中止した。代わりに、コールドプレイ、デーモン・アルバーン、アイドルズ、ウルフ・アリス、レディオヘッドのサイド・プロジェクトであるザ・スマイルなどが出演した『ライブ・アット・ワージー・ファーム』と題した有料のライブ配信を5月に行った。
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