2021/09/20 12:00
2021年9月15日発表のBillboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”は、首位のKAT-TUN以外はロングヒット勢が粘り強さを見せている。その激戦区にじわじわと上り詰めてきたのが、10位にチャートインしたザ・キッド・ラロイxジャスティン・ビーバーの「ステイ」だ(【表1】)。この曲は7月9日にリリースされているので2か月以上も前の楽曲ではあるが、7月21日発表のHOT 100でチャートインしてから徐々に右肩上がりで上昇し、9週目にしてついにトップ10入りとなった。
ザ・キッド・ラロイはデビューしたばかりの新人アーティスト。まだ10代でオーストラリアの先住民の血を引くという話題性もあって、世界的に注目されているニューカマーのひとりだ。ジャスティン・ビーバーとは同じマネージメントということもあって、今回のコラボレーションも2曲目となる。話題性や楽曲のキャッチーさもあって、日本では当初から騒がれていた。7月21日発表分のチャートでは、ラジオのオンエア回数が16位と、ユーザーよりもメディア先行といった印象が強い。
ただ、マスコミが騒ぐだけでは結果は出ない。徐々にストリーミング再生数も上昇し、8月25日発表分では14位、9月1日発表分と9月8日発表分では10位、そして今週が8位という結果となった。邦楽に関してもそうだが、昨今の洋楽がロングヒットになるには、ストリーミングでいかに再生されるかが非常に大きなポイントだ。洋楽においてフィジカルのシングルはほぼ絶滅状態だし、カラオケで歌われることも少ない。そうなると、ストリーミングや動画再生数などで稼げないと、チャートの上位に食い込むのは難しいのだ。
そのバックアップとなるのが、ラジオやTwitterなどだが、最終的にはストリーミング再生に繋げないことには、結果は出ない。その結果を生み出すためには、やはり楽曲のインパクトやキャッチーさが必要となってくる。そういった意味では、ジャスティン・ビーバーをフィーチャーするという飛び道具的な「ステイ」は申し分ないといえる。来日プロモーションやツアーもままならない現状で、洋楽シーンは冬の時代であるが、「ステイ」のヒットで再び活気を取り戻していただきたい。
Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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