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2021/09/18

『ゲーム・オブ・スローンズ』劇中音楽家ラミン・ジャヴァディが最新作『レミニセンス』で仕掛けた音楽トリックとは

 『ゲーム・オブ・スローンズ』の視聴者数を抜き、全米を騒然とさせた『ウエストワールド』のリサ・ジョイ監督×『ダークナイト』『インターステラー』の脚本を務めたジョナサン・ノーラン製作で贈るSFサスペンス超大作『レミニセンス』が全国公開中だ。

 昨年、社会現象を巻き起こした『TENET テネット』のクリストファー・ノーランを兄に持つジョナサンは、兄と極めた時間軸マジックを今作でさらに進化させ、圧倒的な記憶世界を創り上げた。ヒュー・ジャックマンが主演を務め、『グレイテスト・ショーマン』でヒューと共演したレベッカ・ファーガソン、そして『ウエストワールド』のタンディ・ニュートンら豪華キャストが集結している。

 リサ・ジョイ監督は作品の世界を映像と音楽で伝えるため、信頼のおける『ウエストワールド』のスタッフに声をかけた。その中には、『ゲーム・オブ・スローンズ』『ウエストワールド』ほか、数々の大ヒットドラマ・映画の音楽を手がけてきたラミン・ジャヴァディも入っている。監督は「私が関わった作品で最高のシーンのいくつかはセリフのないものだった。音楽は本当にユニバーサルな言語で、字幕も、言葉や慣用句の意味を探る必要もなく、とても純粋。そういったことをラミン以上にうまくやれる人はいない。だから、私は彼としか仕事をしないの」と、ラミンに全幅の信頼を寄せている。

 都市が海に沈み、水に支配された世界で、マイアミとニューオーリンズを中心に展開していく本作ではロック音楽が全編を彩る。ギターを多用した理由にラミンは“時代を超えた楽器”であることを挙げる。また、音楽でストーリーも描いているようで、「例えば、愛のテーマが映画のまさにオープニングでほのめかされている。何が起きるかまだわからない時に、トーンを設定するんだ。それから、そのテーマを徐々にオープンにしていき、最後にギターと共に管弦楽団で大きく演奏する。そういうふうに、キャラクターと共に音楽を進展させていくのはとても楽しい。キャラクターがどのように変わっていくのか、ストーリーテリングを音楽で追いかけていくんだ」と、詳細を明かしている。

 さらに「こういったミステリーのある映画では、スコアでちょっとヒントを与えるんだよ。セリフがない時、役者の顔や目など強調したいものがある。それをライトモチーフ――キャラクターやプロットとコネクトしたモチーフでやるんだ。そうすると観客はすぐに気づかないかもしれないが、無意識に彼らは(物語の中に)運ばれていくんだ」と、音楽に隠された誘導があることも示唆した。

 『ゲーム・オブ・スローンズ』や『ウエストワールド』では、ドラマで繰り広げられる異文化や違う国々のトーンを作り出すために、多くの楽器を使われた。本作では水の囲まれたマイアミとニューオーリンズを演出するために、どのように取り組んだのだろうか? 「僕がリサと話している時にいつも出てきた言葉は、“ブロークン(壊れている)”だった。水没した街だから、スコアも混乱していて、壊れているんだ。僕がギターや他の楽器を入れたサウンドは、少し音が外れている。逆回転させたギター音があって、音をUターンさせているんだ。不安に感じさせるものがあってクリーンじゃない。」

 ジャンルにとらわれない作品に挑み続けるラミンにとって、その基本はストーリーにあると言う。「あなたたち観客に感じてもらいたいんだ。あなたたちに映画を体験させながら、スコアがストーリーと共にあなたを導く手助けをする。僕がいつもやろうとしているのは、音楽でストーリーを語ること。画面で見るものと並行してね。」

 序盤からその雄大な音楽と圧巻の世界が広がる『レミニセンス』。圧倒的なスケールで描かれた話題作をぜひスクリーンで体験してほしい。


◎公開情報
『レミニセンス』
全国公開中
監督:リサ・ジョイ
出演:ヒュー・ジャックマン、レベッカ・ファーガソン、タンディ・ニュートン、クリフ・カーティスほか
(C) 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

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