2021/07/29
2020年11月のデビュー以来、約半年でシングル2枚、ミニアルバム1枚、ミニアルバムからのリカットシングル3枚とハイペースでリリースしてきたRAKURAが、新曲「Time will tell」を発表した。今回の楽曲は“限界の先に見る希望”がテーマ。皮肉めいた言葉を交えながら、閉塞感から抜け出したいと願う歌詞は、コロナ禍の社会も映している。現在18歳のRAKURAは、この楽曲をどのように作り上げたのか。今回から作詞だけでなく作曲にも携わるようになった彼女に、そのきっかけにもなったというミニアルバム『In me』から振り返ってもらった。
——今年4月にリリースしたミニアルバム『In me』は、RAKURAさんにとって、どんな作品になりましたか?
RAKURA:私の大切なものを詰め込んだ、宝物のような作品になりました。曲を作る段階から関わらせてもらった初めての作品が『In me』なんです。次はこういう曲を歌いたい、こういう歌を書きたいっていう意欲が生まれてくるきっかけの作品にもなりました。
——デビュー以来、二人三脚で楽曲制作をしてきたプロデューサーのRa-Uさんとの作業方法が変わったんですか?
RAKURA:デビュー当時はRa-Uさんが私をイメージして楽曲を作ってくださったんです。でも、『In me』からは、私が伝えたいこととか、曲の方向性とか、コード感をRa-Uさんに伝えて、それを形にしていくという方法になりました。
——『In me』には、60年代モータウンサウンドや70年代ディスコ、80年代シンセポップや90年代R&Bを彷彿させる楽曲が並んでいます。
RAKURA:私が出したアイデアと、Ra-Uさんのこの音を使いたいというのをまとめていったらああなりました。それで最終的に60年代~90年代の楽曲というコンセプトにしたんです。
——RAKURAさんにとっては、リアルタイムじゃないサウンドばかりだから新鮮だったんじゃないですか?
RAKURA:もともと、ああいうサウンドは大好きなんです。お母さんに聴かせたら「なんか懐かしい感じがするね」って言われたんですけど、その感覚がわからなくて。映画とか観てると昔の曲も出てくるし、大好きなクリスティーナ・アギレラ経由でああいう音には触れているので。私と同世代の若い人たちにはもちろん、幅広い世代の人たちに伝わればいいなと思ってます。
——今回の「Time will tell」は、どんな作品をめざしたんですか?
RAKURA:今、本当に苦しくて苦しくてどうしようもない人たちってたくさんいると思うんです。もう限界に達していて諦めかけてるけど、その中でも少しの希望を見たいっていう気持ち。その希望にすがるような曲を作りたかったんです。
——コロナ禍の社会にも通じる思いを書きたかった?
RAKURA:今のご時世とリンクして捉えることもできるんですけど、この先、また違う時代になっても、そのときに苦しんでいる人がこの曲を聴いて、自分の辛い過去を乗り越えて新しい未来を見られるような。どの時代でも希望のある曲になったらいいなと思って作りました。
——この曲の起点とかタネになったものは?
RAKURA:もともと私が「すべてを失った3年前も、今はもうただの3年前」っていうフレーズを書いていて、そこからこの曲ができていきました。過去にどんなに辛い出来事があったとしても、3年経った今ではもうへっちゃらでしょ。だから今辛いことがあっても3年後には笑えてるからきっと大丈夫だよっていうメッセージを込めて書いていて。
——そのフレーズは恋愛感情から生まれたものなんですか?
RAKURA:違うんです。3年前に私が失恋しちゃったから、とかではなくて。「3」という数字も、過去とか未来とか明日とかそういう抽象的な言葉を使いたくなくて「3年前」としたんです。当時、私はまだ学生だったから「3年」というのが身近な括りだったし、数字を使うことによって聴いてくれた人が具体的に何かを思い出してくれるといいなと思ったんです。
——新曲の歌詞で、歌っていて特に気持ちが入るフレーズは?
RAKURA:「お偉いさんたちの児戯に世界が振り回されても」です。今の若い人には共感してもらえるところでもあると思うんですけど、大人に頼っても解決しないのはわかってるし、「もういいや」って諦めかけてる気持ち。それをもっと強い表現にしようと思って、こう書いたんです。それでもまだ希望を見出そうとしてる。それくらい限界だっていう状態を表現したくて書いたんです。
——絶望の中でも希望を見出したいと。
RAKURA:そう。もともとはこういう皮肉めいた歌詞とか、小悪魔的な歌詞を可愛い音に乗せて歌うような曲をめざしていたんです。だけど、私が書いた歌詞が強すぎてサウンドの方向性を変えていきました。
——今回の楽曲は、これまでの楽曲の中で最もロック寄りですが、サウンド面で意識した部分は?
RAKURA:ちょっとダークな感じが欲しかったのと、ベースの音を際立たせようと。最初、Aメロはベースだけでいいんじゃないかって話してたくらい(笑)。
——アコースティックギターをメインに使うアイデアは?
RAKURA:Ra-Uさんです。もともと私の歌声にはギターが合うとずっと言ってて、今回もギターを鳴らしたいって。
——そこにエレクトロポップな味付けがされていて、ちょっとSiaを連想しました。
RAKURA:Bメロですよね。あれは私のアイデアです。緩急がついたメロディーが好きで、Aメロはビートに合わせてメロディーもリズムを刻んでる。サビは強さを全面に出すから、その前のBメロは滑らかなメロディーにしたかったんです。
——「Time will tell」ではブルージーな歌声も印象的でした。
RAKURA:楽曲を作っていく段階から、そういう声で歌おうと決めてました。今回はシャウトしながらも、まっすぐに歌ってるんです。チャーリー・プースみたいなまっすぐな歌い方の格好良さの要素を採り入れました。
——RAKURAさんは、キュート系、パンチ系、パワフル系、爽やか系、さらにはラップ風のヴォーカルなど、いろいろな歌声を持っています。今回の歌声を〇〇系と言うなら、どんな感じになりますか?
RAKURA:ローボイス系かな。私、こういう歌い方はすごく好きなんです。だけど、今まではもうちょっと鼻を使って、腔内の上部を響かせて出す声が多かったんです。前に向かって声を飛ばすようなイメージというか。だけど、これはもっと下から支えて前に押し出すように歌うことを意識しました。
——ブルドーザー系みたいな?
RAKURA:そうです、そうです(笑)。だから、レコーディングのときはめっちゃ大きな声で歌ってるんです。前に押し出すっていうことを意識して、AメロもBメロも変わらず声を出し続けて歌いました。
——今回の楽曲制作で新しく挑戦した部分は?
RAKURA:メロディー作りに関わったのは今回が初めてなんです。高校を卒業して4月に上京したので、Ra-Uさんとスタジオに入って、私が隣で歌いながら一緒に作っていって。楽曲作りにより深く関われるようになったし、今後に繋げていければいいなと思ってます。
——RAKURAさんは映像やファッションに興味があるそうで、実際、これまでのMVやアートワークのスタイリングもご自身でアイデアを出されてきました。それも今後続けて行きたいですか。
RAKURA:続けて行きたいです。今回もスタッフさんと意見を交換しながら、アーティスト写真の衣装とメイクとヘアスタイリングをやらせてもらいました。
——今回のアーティスト写真のコンセプトは?
RAKURA:ガールズパワーです。反発的な感情だったり、激しい情熱を表現したくて、全体的に赤味を帯びた色にしました。私の目線を見て頂けたら強さを感じられると思います。
——4月に上京したそうですが、東京生活はどうですか?
RAKURA:人が多いなって(笑)。あと、東京って星が見えなくてびっくりしました。あんまり空がきれいじゃないなって。あと福岡出身なんで、東京のラーメンが太いなって思ったり(笑)。初めてのひとり暮らしなので、すべてが新鮮です。料理の献立を考えるためにスーパーに行ったりするのも楽しいです。
——生活環境が変わって、歌詞の視点なども変わってきていませんか?
RAKURA:今までしなかったことをしたり、行動範囲が広がったことで、視野も広がりました。外に出れば人が多いし、いろいろな動きが見える。東京はいろんなものが集まって発信されてる場所だなって思うから刺激を受けるし、インスピレーションも沸いてくる。それも今後の曲作りに活かしていきたいです。
Interview:猪又孝
◎配信リリース情報
「Time will tell」
2021/7/29 配信スタート
https://rakura.lnk.to/Timewilltell
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