2021/07/13
現地時間2021年7月12日、【ステージコーチ】の2022年のラインナップのポスターが発表された。一部のファンはこれまでのカントリー・ミュージックのファンが見てきたラインアップからは些細だが、大きな意味を持つ変化があったことにいち早く気づいた。新型コロナウイルスのため2年ぶりの開催となる【ステージコーチ】のポスターは、お馴染みのデザインだが、4月29日から5月1日にかけて開催されるフェスティバルに出演するアーティストを詳しく調べてみると、例年とは少し違ったラインナップになっていることがわかる。
プロモーターのゴールデンヴォイスは、有色人種やLGBTQ+コミュニティなど、このジャンルのオーディエンスが増加していることを象徴するような、これまでで最も多様で制限のないラインナップを組んだ。【ステージコーチ】お気に入りのブラザーズ・オズボーンのT.J.オズボーンは、今年2月に米タイム誌に自身の体験を語り、米ナッシュビルのメジャー・レーベルと契約したゲイを公表した初のアーティストとなった。オズボーンの他に、長年にわたりLGBTQ+の権利の活動家であるブランディ・カーライルとオーヴィル・ペック、そして人種とサウンドの垣根を超えカントリーのルーツとローファイ・インディやガレージ・ロックを組み合わせた2021年のアルバム『ウェアリー+ストレンジ』が高く評価され、ブレイク中の黒人アーティストのアメジスト・キアが出演する。
キアは、【ステージコーチ】に出演する4人の有色人種の女性のうちの1人で、有色人種がこのジャンルで著しく過小評価されていた過去数年間からの顕著な変化となった。2019年に黒人シンガーのヨラがデビューしたことは、長い間、南部の白人の経験や伝統を中心にサウンドや物語を狭く定義してきたこのジャンルにとって、転機となった。1960年代、バック・オーウェンス、マール・ハガード、そしてドワイト・ヨーカムらが開拓したベーカーズフィールド・サウンドの登場で、カントリー・ミュージックの地理的な見方が広がったが、有色人種にはほとんど閉ざされたままだった。
ヨラのカントリー・シーンへの登場にまつわる話題と成功は、カントリーのサウンドが新たな領域に進出する中での出来事となった。英ブリストル出身のヨラは、カントリーにパワフルなソウルの影響をもたらす。一方、ブレイク中のレイナ・ロバーツのサウンドは、2日目のヘッドライナーを務めるキャリー・アンダーウッドのようなメインストリームのカントリー・アーティストのファンに馴染み深いものだ。
キア、ヨラ、レイナ・ロバーツのサウンドや、フィドル、バンジョー奏者でシンガーのリアノン・ギデンズのルーツ・スタイルの大きな違いは、2021年のカントリーはアーティストから影響を受けていることを示し、これまでの特定のサブジャンルや馴染みのあるサウンドの枠にアーティストをはめ込もうとしたものとは異なる。
ヘッドライナーに関して言えば、【ステージコーチ】は、2021年【アカデミー・オブ・カントリーミュージック賞】の<男性アーティスト・オブ・ザ・イヤー>を受賞したトーマス・レットを初日のヘッドライナー、2019年の同フェスティバルに出演したルーク・コムズを最終日に初めてヘッドライナーとして招いており、馴染みの名前が並んでいる。
今回のラインナップには、2020年に予定されていた同フェスティバルを締めくくるはずだったエリック・チャーチが含まれなかったが、彼は今年の残りをアルバム『ハート&ソウル』を引っさげたツアーに費やす。その他、3人組のヴィンテージ・カントリー・スターのミッドランド、タニヤ・タッカー、LOCASH、ジミー・アレンらが出演する。ザ・ブラック・クロウズは、【ステージコーチ】初出演となり、彼らの長年のファンであるルーク・コムズのサポートも務める。
【ステージコーチ】には、カントリーというジャンルには全く当てはまらないが、スモーキー・ロビンソンのようなヒット曲満載のあらゆる層のファンから愛されるアーティストが必ず出演する。
同フェスティバルのブッキングを担当し、2007年の立ち上げ以来携わってきたゴールデンヴォイスのバイス・プレジデントのステイシー・ヴィーは、「スモーキー・ロビンソンは私が最も好きなアーティストの一人で、以前から彼に出演して欲しいと思っていました」と語った。「私たちはいつも、ジェリー・リー・ルイスやトム・ジョーンズのようなアーティストに出演してもらい、少し変わったことをしようとしています。スモーキー・ロビンソンはたくさんのヒット曲があり、彼がステージに立った瞬間、観客は一緒に歌うことになるでしょう」と続けた。
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