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2021/07/08

福士誠治×濱田貴司=MISSION「すべて叶うさ、望むなら」コロナ禍でも歩み止めず“再会の場”約2年ぶりの有観客ライブ実現! 劇的な人間ドラマ生む

 主演映画『ある用務員』やスーパー歌舞伎II【ワンピース】などで役者として注目を集める福士誠治(vo)。伝説の音楽ユニット・arp解散後も、舞台やテレビドラマなどの音楽を手掛け続けている濱田貴司(key)。このふたりによるバンドプロジェクト“MISSION”が、6月27日 新宿ReNYにて【シアターロック・ザ・ミッション「0627」】を開催した。

<コロナ禍でも決して動きを止めなかったMISSIONとファンの再会>

 コロナ禍により当初の予定通りの活動が出来なくなるも、日本の音楽シーンを代表する歌姫・平原綾香とリモートコラボ動画を公開し、未発表曲「道」をサプライズな形で発信。これを皮切りに2020年6月27日に無観客ライブ【MISSION Youtube LIVE from 新宿ReNY】を開催したり、2021年2月19日にライブと映画の融合【シアターロック・ザ・ミッション「半人半鬼」】を公開したり、彼らは決して動きを止めることなく精力的な音楽活動を継続してきた。そうしてファンとの絆を途切れることなく深め続けてきた結果、前述の無観客ライブからちょうど1年後となる2021年6月27日に念願の有観客ライブ【シアターロック・ザ・ミッション「0627」】をここに実現。入念な感染予防対策が敷かれた会場は満席状態、この瞬間を待ち侘びていたオーディエンスが集結していた。

 実力派ミュージシャンのみで編成されたバンド(飯塚直斗(g)、門脇大輔(vn)、片山タカズミ(dr)、辻怜次(b)、佐久間薫(mnp))を従える形で登場した福士誠治(vo)と濱田貴司(key)は、何があろうと音楽愛とファンへの想いを貫いた結果としての“再会の場”に相応しい「Over The Galaxy~愛が聴こえる~」からライブをスタート。ステージに現れたMISSIONに贈られる拍手はまさしく愛の音色で、それを受け止めた彼らもまた「すべて叶うさ、望むなら」「愛が聴こえる」と全力の愛の歌と演奏で応えていく。互いにこの瞬間を願い続けたからこそ実現した宴の幕開けを飾る、とても美しいセレモニーだった。「皆さんが来てくれたことを本当に嬉しく思います! 今日は心を解放して楽しんで帰っていってください!」そのまま彼らはまるでこの日の為に作られたラブソングのように響く楽曲群をこの上なくエモーショナルに体現。

<想定外の音響トラブルを乗り越えた福士誠治×濱田貴司の絆>

 そんな誰もが気持ちを溢れさせていた約2年ぶりの有観客ライブ。何の運命の悪戯か、ひとりだけ想定外の事態に翻弄されている男がいた。おそらく今日のライブの重要性を誰より理解していた濱田貴司である。何故かピアノの音が常に爆音で鳴ってしまうトラブルが発生、優しく静かな旋律を弾こうとしてもピアノがフルパワーで反応し、よって他のメンバーの音が聴こえなくなってしまい、動揺しながらライブを進行することに。後日ツイッターでもこの件について「どう弾けばいいのか 、止めていいのか? 原因はなんなんだ?! 目の前の映像がグルグル回るほどのパニックの中、すべてが中途半端にライブが半分終わってしまいました」と記していたが、その心中が穏やかでなかったことは客席から見ていても明らかだった。が、しかし、このトラブルを常にフォローし続けていた男がいた。福士誠治である。

 福士と濱田のまるで漫才コンビのような掛け合いは、今やMISSIONのライブの緩急を演出する要素だが、その台本なしでも成立するコミュニケーションは福士が常に生の現場で戦い続ける役者として培ってきたキャリアあってこそ。この日もMCの度にトラブルの原因を探す濱田に対し「本番中にサウンドチェックすな!」などのツッコミを入れては客席から笑い声が巻き起こり、ふたりだけの弾き語りで披露した「大停電の夜」演奏後も「(フルパワーで鳴ってしまうピアノに対して)めちゃくちゃ気合い入ってんなと思っていたけど(笑)」とナチュラルにフォロー役を演じていた。MISSIONは福士にとって初めての音楽ユニットであり、それまでライブ経験のなかった彼を支え続けてきたのが濱田だった。その関係性は凄まじい速度での成長と共に対等となり、気付けば福士が濱田のピンチを救う存在になっていたのである。

<人間ドラマを完成させたファンたちの存在>

 ライブは生モノであり、トラブルは付きもの。しかし、そのハプニングを観客の前でどうドラマティックに転じるかで演者の裁量ははかられる。バンドであるなら、メンバー同士の関係性の良し悪しも大きく影響するわけだが、この日にMISSIONが繰り広げたソレはバンドの理想系そのものだった。不穏な空気が流れてもおかしくない状況下でアットホームなムードを自然体で作り上げ、しかも後悔の念が最も大きかったであろう「大停電の夜」をアンコールで急遽再び披露し、この日いちばんの感動を生み出したストーリーまでお届けしてみせたMISSIONは、バンドとしてのひとつの完成系に到達したと言える。演劇と音楽という異なるジャンルで活動してきたふたりが仕事やプロジェクトとしてのバンドではなく、共にステージで生きていくことを決めた者同士としてのバンドになった瞬間。

 そして、この人間ドラマを完成させる上で最も重要だったのは、そんなハプニングも含めた同公演を常に全力で楽しんでいたファンたちの存在である。音響トラブルが解決した後半戦、約2年間お預けを食らっていた生のコール&レスポンスをハンドクラップで繰り広げた「Born to be」、この日のライブの為にリリースされたと言っても過言ではない「ライブでみなさんと笑顔で歌ってる、そんな風景を想い描いて書いた」と云う新曲「風と」、コロナ禍で離れ離れになってしまったMISSIONとファンの絆を繋げ続けた「道」と、オーディエンスは感染予防対策でマスクの中の口を閉ざしたままだったにも関わらず、まるで全身全霊のシンガロングが響き渡っているかのような熱量で会場を埋め尽くしていた。そんなMISSION史上最も人間臭く劇的であった“再会の場”【シアターロック・ザ・ミッション「0627」】は、この先もファンのあいだで語り継がれるライブとなるだろう。また、この大きな分岐点を経てのMISSIONの新たなストーリーにも要注目である。

取材&テキスト:平賀哲雄

◎ライブ【シアターロック・ザ・ミッション「0627」】
2021年06月27日(日)新宿ReNY セットリスト:
01.Over The Galaxy~愛が聴こえる~
02.ゴースト
03.Black -夜闇の向こう-
04.半人半鬼
05.人として、時として、花として。
06.大停電の夜
07.鬼の涙
08.シニガミ
09.二律背反-antinomie-
10.自転と光点
11.Born to be
12.風と
13.道
En1.大停電の夜

◎リリース情報
ニューシングル『風と』
2021/6/23 RELEASE
https://nex-tone.link/A00088399

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