2021/07/07 18:00
レゲエを日本の音楽シーンに根付かせた立役者のひとりであり、老若男女に愛される楽曲をこれまでいくつも生んできたMINMI。2020年に開催した初のオンラインライブや自身のレーベル初となるオリジナルソング「imacoco」も話題となったが、2021年夏は7月7日配信の新曲「C lover(シーラバー)」を皮切りにリリースラッシュすることが決定している。
コロナ禍による混沌や閉塞感に世界中の人々が悶々としている今、これまで「サマータイム!!」「シャナナ☆」を筆頭に夏に相応しいキラーチューンを発表してきたMINMIが巻き起こす2021年夏祭り! この盛大なカーニバルとも言える勢力的なプロジェクト稼動を記念し、今のMINMIの想いを世に届けるべくインタビューを敢行した。ぜひご覧頂きたい。
◎MINMI『C lover』配信記念インタビュー
<20周年に向けて2021年夏祭り「【FREEDOM】を復活開催したい」>
--2020年10月「imacoco」配信時のインタビュー(https://bit.ly/3gTCdAC)以来約8か月ぶりになりますが、あれからコロナ禍における日常や音楽活動はどんな風に変わってきていますか?
MINMI:ここ数か月でたくさん曲を作っていて、今年の夏に次々とリリースしていこうと思っていまして、7月7日配信の新曲「C lover(シーラバー)」もその中のひとつなんです。そんな感じで最近はずっと制作モードが続いていますね。ライブイベントはコロナ禍で減っているんですけど、音楽活動自体はバリバリやっている感じです。
--MINMIさんと言えば、夏女のイメージも強いですけど、2021年夏に精力的にリリースしていこうと思ったのは?
MINMI:来年で20周年を迎えるんですよ。そのタイミングで【FREEDOM】(MINMI主催の各地で開催している音楽野外フェス)を復活開催したいなと思っていて、そこに向けて盛り上げていく意味でも2021年夏にいろいろリリースしていこうと。
--なるほど。20周年を迎えるほどのキャリアを積んできたことに対して、何か感慨みたいなモノはありますか?
MINMI:自分的にはまだ10周年ぐらいの気持ちなんですけど(笑)「20周年! 本当に? もうそんなに経ったんだ?」って感じですね。忙しかったせいか、時間感覚がおかしくなっているのかもしれない。「親子で聴いています」とか「お母さんの車でずっと聴いています」みたいな人がすごく多くて、例えば「シャナナ☆」は十数年前の曲なんですけど、あの頃は子供だった人たちが20代になって親になっていくわけじゃないですか。そうやって何世代にもわたって私の曲が聴き継がれていく。それはすごく不思議な感覚ですね。
--最近、アニメ『サムライチャンプルー』を見返していて、それについてツイートしたりすると「四季ノ唄」を好きだった人たちが反応したりするんです。そういう各楽曲単体のファンも含めるとMINMIファンは莫大な数になるわけで、しかも世代を超えて聴かれる状況になっている。そう考えると物凄く濃厚な20年ですよね。
MINMI:そうですね。例えば、その『サムライチャンプルー』のNujabesと作った「四季ノ唄」でMINMIを知っている人もいれば、レゲエ界のMINMIとして知っている人もいれば、お母さんとして子供や妊婦さんに向けた歌で知ってくれた人もいたりして、MINMIの全体を知っているわけではなくても「あのとき、この曲が自分にすごくハマった」みたいな、それぞれの楽曲のMINMIのファンがいてくれる。それはすごく嬉しいことで。デビュー時はレゲエシンガーになりきれないことに戸惑いがあって、いろんな音楽が好きで表現したかったから、ひとつのジャンルに入りきれないゆえの肩身の狭さを感じていたんですけど、でも「それが自分だ」と思って音楽活動を続けてきて良かったなと今は思います。
<レゲエ界での葛藤~「世の中を変えたい、ひっくり返したい」>
--MINMIさんって「レゲエシーンの新しい主役」みたいな謳われ方でデビューされたじゃないですか。で、いきなりブレイクしましたよね。ただ、いろんな音楽を表現したいMINMIさんとしては、そこに大きな葛藤もあったわけですね。
MINMI:デビュー曲「The Perfect Vision」をリリースした時点で「これ、レゲエちゃうやん」みたいな声もあったんですよ。一部のレゲエ界隈の人たちから紛い物のように思われたんですよね。例えるなら「ラーメン職人の輪の中でひとりだけ蕎麦粉を使ってみた」みたいな(笑)。「いや、これはラーメンじゃないだろ」っていう。やっぱり新しいことをやるとハレーションは起きるんですよ。だからレゲエシンガーと呼ばれることで、一直線でレゲエをやっている職人の人たちに気を遣うところはあったんですけど、20周年直前の今になってみると、私はレゲエシンガーと呼ばれることに対して堂々と誇れる。レゲエシーンの若者たちは私を「代表的なレゲエシンガー」と認めてくれているし、自分もちゃんとレゲエの文化を表現してきたと今は断言できるので。そういう意味では、来年の20周年は逆に「レゲエシンガーたるや」みたいなコンピレーションを作ってもいいかなと思っています。
--音楽性は多種多様ながらも、社会に対してメッセージしていくスタンスやその内容、音楽仲間たちとムーヴメントを起こさんとしていく姿勢などマインドは「レゲエ」という言葉が一番相応しい人だと個人的にも思います。コロナ禍になってからの表現者としての在り方もソレが顕著だったなと。
MINMI:ありがとうございます! 仲間と何か行動を起こすとか、社会的なメッセージも音楽で表現していくこととか、そういう姿勢は「レゲエ」だと自分でも思います。ミュージシャンとしては「ジャンルに捉われていたらもったいない、レゲエのルールの中だけでクリエイティヴを考えるのはもったいない」と思っているんですけど、ボブ・マーリィのような音楽で社会に影響を与えた人たちのように自分もそういうメッセージは発信し続けたいと思っていますし、人として「ポジティブなモノを発信したい」という想いが先にあって、そのツールが音楽であり、レゲエであったのかなと思いますね。出来れば「世の中を変えたい、ひっくり返したい」という願望がずっとある人間なんだと思います。
--個人的には「音楽で世界を変えたいんだ」という純粋な想いを持っている人が長く太く音楽を続けていける。そう思っているんですけど、MINMIさんはその代表格と言ってもいいんじゃないかなって。今年4月に貧困に苦しむ子供達のためのチャリティーソング「Good Good」を配信されましたけど、あのプロジェクトもそういう想いがある人ゆえのアクションだと思いますし。
MINMI:あのチャリティーソングのきっかけは、DJ YUTAKAさんから「日本で貧困が問題になっているってニュースで見てさ」と連絡があって。YUTAKAさんはロサンゼルスに今住んでいるんですけど、「俺がいた頃の日本では考えられなかった。日本の子供たちが食べることに困っているなんて信じられないし、ショックだ」と。それで「何か一緒にやろうよ」とお声掛け頂いて、それでトラックを頂いて私が歌を乗せて、ラップはYUTAKAさんが可愛がっている晋平太さんとSIMON JAPさんが担当して生まれたのが「Good Good」。で、この活動に関しては、あの1曲を配信して売り上げを寄付するだけじゃなくて、今後もいろいろアクションを起こしていきたいなと思っていて。実際、私もいろんな支援団体の方とお会いして、そこに私もメンバーとして加わって、お母さんの働き口をサポートすることだったり、子供たちに音楽を教えることであったり、そういうことをやり始めています。それも「世の中を変えたい」のひとつですし、日本の未来を背負っていく子供たちにいろいろチャンスを与えられる状況が作れたらなと思っています。
--「世の中を変えたい、ひっくり返したい」それを体現していくことは、MINMIさんの今やライクワークでもあるんでしょうね。
MINMI:そうですね。それはあらゆる方面でやっていきたいことで、アニメとか日本独特のカルチャーがあるじゃないですか。私もバーチャルアイドルをプロデュースしたんですけど、ああいうのって世界的に人気がある日本のカルチャーですし、それこそ『サムライチャンプルー』もそうなんですけど、日本独特のモノで海外に出ていけるというのは素晴らしいし、私も20周年以降アメリカでもっと挑戦したいなと思っていて、そこでアニメのカバーとかをどんどんやってみたりとか「日本人、世界でがんばる」みたいな感じで(笑)自分も含めてそういうアプローチを多くの日本人が実現していける状況になったらなって。
<MINMIの恋愛経験が詰め込まれた新曲、中川翔子も大共感>
--そんなMINMIさんが今年の七夕に新曲「C lover(シーラバー)」をリリースします。ひさしぶりのラブソングとなっていますが、今作はどのような想いや経緯から制作されたものなんでしょうか?
MINMI:この曲を作り始めたのは1年前ぐらいだったんですけど、わりとピュアなラブソングを春夏あたりに届けたいなと思っていて。で、トラックを作ってくれたのが「imacoco」のT-SPICEなんですけど、彼が送ってくれたコメントをここで紹介させてください。
◎T-SPICEコメント
好きな女性を口説く様に僕から何度もアプローチして、何度もダメ出しされながら、それでも少しづつ作り上げていった曲で、MINMIさんと沢山話しをしたり、一緒にご飯を食べたり、製作だけじゃなくて濃い時間を共有しながら時間を掛けて作った曲でした。それこそ一夏の恋の様な製作でしたw
MINMIさんの昔や今の恋愛や恋愛観を垣間見ながら、その場その場、本当に切ない気持ちだったり、出会った時のワクワクした気持ちだったりがMINMIさんの体からいっぱい溢れて来て、詩もメロディーもそんな感じで書いているのを隣で見れて感じれたのが僕にとっても良い経験だったし、曲のベースにそれがあるから、感動させれる曲になっていった気がします。
--製作自体もめちゃくちゃピュアな取り組み方だったんですね。
MINMI:私がピュアに好きな人がいた当時の話とか、今まで外に出してこなかった気持ちをこの曲に込めた話とか、T-SPICEに伝えた上で製作したんです。あと、タイトルの「C lover」はクローバーと書いてシーラバーと読むんですけど、四つ葉のクローバーみたいに「運命的な人に出逢えた」と思って惹かれつつも一緒になれない、そういう切ないストーリーになっていて。それで最後の仕上げのときに、私は生ライブ配信のアプリを最近よく使っているんですけど、そこでファンの方たちにこの曲を聴いてもらって「ここの言葉はこうしたほうがもっと伝わるんじゃないか」みたいな意見も取り入れて完成させたんです。
--その仕上がりにはどんな印象を?
MINMI:私のピュアな恋愛経験を詰め込んだ楽曲ということもあって、ミュージックビデオを観たときにすごく感動して。今回のMVに出てくれているふたりが『テラスハウス』に出演していたカップル(大志とチカコ)なんですけど、番組内で結婚して、その後に破局しちゃったふたりなんすよ。だから「お互い気持ちはあったけど、一緒になれなかった」その感じが「C lover」の内容とすごくリンクしていて、自分的には泣きそうになってしまう作品に仕上がったなと思っています。そういう切ないラブソングではあるんですけど、聴く人によっては今から始まるワクワクした恋の歌にも聴こえるかもしれない。ちなみに、しょこたん(中川翔子)と先日会ったときに、この曲の最初のLINEに既読がついて思わず閉じるところがめちゃくちゃ「あるある」だったみたいで、そういう女子心に共感して「私、この曲リリースされたら課金します!」と言ってくれました(笑)。
--そんなしょこたんも大共感している「C lover」、どんな風に盛り上がってほしいなと思います?
MINMI:夏と言えば、出逢いを求めて出掛けたり、カップルが成立したり、デートしたりするシーズンだと思うんですけど、今はコロナ禍で毎年あった海開きや夏祭りといったイベント自体が失われちゃっているじゃないですか。でも、やっぱり10代や20代の若い子たちはコロナ禍でも関係なく夏の到来にワクワクしていると思うし、そういう恋のトキメキとかって大事だと思うから、人を好きになったり、好きになるがゆえに切なくなったり、そういう気持ちと一緒にこの曲を楽しんでもらえたらなと思います。
<精神的に閉じ込めていたモノを解放できるブチアゲソング>
--先程「今年の夏に次々とリリースしていく」と仰っていましたが、この先はどんな作品を世に出していきたいと思っているんでしょうか?
MINMI:何曲かデモが上がってきていて、その中にブチアゲソングが2曲あるんです。コロナ禍で今打ちのめされているからこそ沸々とマグマが溢れそうになっているんですよ(笑)。しばらくチルな感じの音楽が世界的に主流になっていて、お祭り騒ぎできる曲が少なくなっていたんですけど、それもあって閉じ込められていたエネルギーみたいなモノを「どっかん!どっかん!」爆発させたくなっているんですよね。それは私だけじゃなくきっと世の中的にも。さすがにもう放たれたくなっている。なので、精神的に閉じ込めていたモノを解放できるブチアゲソングたちがこれからリリースされていくんで、みんなが求めている「これぞMINMI!」という曲を躊躇なく打ち出していくんで、それを楽しみにしていてください!
Interviewer:平賀哲雄
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