2021/06/23
「好奇心をそそるオマケが盛り沢山の、ブライアン・メイ再発シリーズはいかがかな?」「今、計画を立てているところなんだ!!!」とクイーンのギタリスト、ブライアン・メイが自身のインスタグラムに綴ったのは2020年のこと。そして今回、ブライアンの傑作ソロ・デビュー・アルバム『バック・トゥ・ザ・ライト~光にむかって~』(原題: Back to the Light)が待望の復刻を果たし、その計画の第一段階が実現することとなった。発表から約30年が経つ『バック・トゥ・ザ・ライト~光にむかって~』は、同世代のギタリスト/ソングライターの中でも最重要な一人であるブライアンの才能と、彼の不屈の精神の証として存在する、個人的かつ多角的な作品だ。
1992年9月の発売当時、『バック・トゥ・ザ・ライト~光にむかって~』は文句なしの大ヒット作であった。全英アルバム・チャートで6位を記録した同アルバムは、不朽の名シングルを次々と輩出。「ドリヴン・バイ・ユー」(原題: Driven by You / 1991年11月発売)が全英シングル・チャート6位にランクインした後、1992年4月に英ウェンブリー・スタジアムで開催された<フレディ・マーキュリー追悼コンサート>でクイーン・ファンに披露され、感動的なパフォーマンスが話題を呼んだ「愛の結末」(原題: Too Much Love Will Kill You)は、全英5位を記録した。さらに壮大なアンセム「バック・トゥ・ザ・ライト~光にむかって~」(原題: Back to the Light)と、陽気な「華麗なる復活」(原題: Resurrection)も全英シングル・チャート入り。また、インストゥルメンタル曲「地平線の彼方へ」(原題: Last Horizon)は、ブライアン・メイ・バンドのソロ・コンサートのみならず、後にクイーンとして復帰を果たしたメイのライヴ定番曲となっている。
『バック・トゥ・ザ・ライト~光にむかって~』の収録曲は、ブライアンが個人的な激動の渦中にあった1988年から1992年にかけて書かれたもので、カタルシスに満ちた率直さと芸術性を伴ったこのアルバムにより、ブライアンにスポットライトが当たることとなった。本作が発表されたのは、ブライアンが自身の父親とクイーンのフロントマンであるフレディ・マーキュリーを亡くし、バンドの活動を一時的に休止していた時のこと。また、それに続いて最初の妻と1988年に別居し、女優アニタ・ドブソンと交際を始めたことにより、タブロイド紙の注目を否応なく浴びるという状況にもあった。こうした人生の変化に伴う苦悩についてインタビューで語ったブライアンは、本アルバムを一種のセラピーだったと表現している。
このアルバムの制作にあたり、彼は友人や名高いコラボレーター達の協力を仰いだ。ジョン・ディーコン、コージー・パウエル、ドン・エイリーに加え、ベースにはニール・マーレイとゲイリー・ティブス(アダム&ジ・アンツ、ロキシー・ミュージック)が、ドラムにはジェフ・ダグモア(「想いのままに」「ローリン・オーヴァー」)が参加しており、また、マイク・モランが3曲でピアノ/キーボードを提供。ヴォーカルには、イギリスの著名歌手クリス・トンプソンが(「ローリン・オーヴァー」で)アシストに加わっている他、ミリアム・ストックリー、マギー・ライダー、スージー・オリスト、ジル・オドノヴァンが、随所でバッキング・ヴォーカルを披露している。
CD盤、アナログ盤レコード、デジタル配信(ストリーミング再生、ダウンロード購入)のいずれも、本作は長らく入手不可能な状態にあった。今回の待望のリイシュー版で音響監督の任に就いたのは、ジャスティン・シャーリー=スミスとクリス・フレドリクソンだ。オリジナル盤のライナーノーツでブライアンは、シャーリー=スミスについて、「僕の気まぐれなレコーディング習慣に付き合ってくれた」共同プロデューサー兼エンジニアとして紹介。1984年からクイーンと仕事をしているシャーリー=スミスは、「ブライアンは完璧主義者で、自分の満足がいくまで、何事も決して途中で放り出したりしないんだ」と語っている。
サウンド・エンジニアのフレドリクソンは、そういった完璧主義を今回のリイシューに反映させたいと考えた。「しばらく入手不可能だったものを今回リイシューするのであれば、世界最高のマスタリング・エンジニアにリマスターしてもらってはどうだ?と、僕らは考えたんだ」と、彼は述べている。そこで登場したのが、グラミー賞受賞者のボブ・ラドウィックだ。彼はオリジナルのマスターテープからフラットなミックスを復元、それを基に今回の『バック・トゥ・ザ・ライト~光にむかって~』のニュー・エディションに取り組み、これまで以上に素晴らしいサウンドになるよう仕上げた。
今回のリイシューを記念して、『バック・トゥ・ザ・ライト~光にむかって~』のコレクターズ・エディション・ボックス・セットが併せて発売される。この豪華セットには、ボックス・セット限定のカラー盤(白)LPレコード1枚と、2枚組CDに加え、32ページの別冊本、12インチのアートプリント、ダウンロード・カード、エナメル・バッジが付属。この全てが蓋付きの箱に収納されている。Queen Online Storeでは、このボックス・セットにサイン入り12インチ・アートプリントが付いた限定版(1,000枚)も購入可能となっている。
また、同アルバムは、高音質180g重量盤のLPレコード(1枚)、CD1枚の通常盤、CD2枚組のデラックス盤、カセット・テープ、デジタル・フォーマットでも発売され、『アウト・オブ・ザ・ライト』はボックス・セット、CD2枚組、及びデジタル・フォーマットで入手可能となっている。なお、Queen Online Store限定で、ピクチャー・ディスク(LPレコード1枚)の限定盤も発売予定だ。
◎ブライアン・メイ コメント
「このアルバムは、一連のシリーズの一部。つまり、“ブライアン・メイ・ゴールド・シリーズ”の一部だ。各作品に、小さな金印が押されることになる。そしてきっとその一つ一つが、これまで僕が旅してきた道程を再発見する機会を与えてくれるだろう。このことが僕にとって本当に魅力的だと思えたんだ。 僕の中のどんな記憶が掘り返されるのだろうか?と思いながら、最初は少し緊張した。けれども、そこに立ち返ることを心から楽しんだんだ。これまでこの作品を聴いたことのなかった人達に届けばいいと、ひたすら願っているよ。僕はクイーンのギタリストとして知られている。天文学者として、僕を知っている人もいる。動物の権利を主張する活動家として知る人もいる。僕は、ヴィクトリア時代における立体鏡学の熱烈な唱導者のような存在だ。でも、僕のソロ作品を聴いたことがある人はほとんどいなかった。だから、これを出したらどうなるか、成り行きがとても楽しみだ。このアルバムを作った当時に立ち返り、ある特定の題材について、なぜ自分がそれを書いたのか、その理由を再発見することに僕は非常に興味をそそられた。それが僕にとってどんな意味を持っていたのか。僕らがそれをどんな風にレコーディングしたかのか。中には、あまりに圧倒的なレコーディング作となっていて、自分達がやり遂げたとは思えないほどのものもある――何曲かは、本当に壮大だ。そこを気に入っているよ。また、同時に、とてもシンプルで、すごく控えめで、感情が露わになった、小ぢんまりとした曲もある。このアルバムの中で訴えていることの多くは、僕が今も感じていることだと気づいたんだ。僕は今もそういった、危険や、恐怖、希望、夢を感じている」
◎リリース情報
アルバム『バック・トゥ・ザ・ライト~光にむかって~』
2021/8/6 RELEASE
【1CD】 UICY-16011 / 1,980円(tax incl.)
【2CD】 UICY-79738/9 / 3,960円(tax incl.)
日本盤のみ1CD、2CDともにSHM-CD仕様
http://umj.lnk.to/BrianMay_bttl
Photography by Richard Gray
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