2021/05/31 12:20
オリヴィア・ロドリゴのデビュー・アルバム『サワー』が1位に初登場した、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
5月21日にリリースされた『サワー』は、4月24日付チャートでテイラー・スウィフトの『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』が記録した291,000を上回る2021年最大の週間ユニット295,000を記録して、堂々のNo.1デビューを飾った。そのうち、218,000がアルバム・ストリーミング(SEA)、4,000がトラックごとのユニット(TEA)、72,000がアルバム・セールスで、ストリーミング、セールスいずれも今週最大の数字を記録している。
なお、そのテイラー・スウィフトは本作収録の「1 step forward, 3 steps back」にソングライター(サンプリング曲として「New Year’s Day」を提供)として参加している。テイラーは、オリヴィア・ロドリゴが最も敬愛するアーティストであり、実力や楽曲を称えるなど彼女のブレイクにも大きく貢献した。
『サワー』の初週ストリーミングは3億73万回で、R&B/ヒップホップ・アルバムを除く女性アーティストの作品としては、2019年2月23日付チャートでアリアナ・グランデの『thank u, next』が記録した3億707万回に次ぐ、歴代2番目に高い週間ストリーミングを打ち出した。なお、『thank u, next』は12曲だったのに対し『サワー』は11曲で同等の記録を打ち出している。
11曲以下で1位を獲得したのは、12月5日付チャートでBTSの『BE』(8曲)がNo.1デビューして以来約半年ぶりで、過去12か月で1位を獲得した27枚のアルバムのうち、20作は15曲以上、11作は20曲以上が収録されている。その中には、アルバムを発売した後に数曲を追加したデラックス・エディションとして再リリースした作品もあり、本作『サワー』もいずれデラックス盤をリリースする可能性はあるが、現時点では11曲での記録としてみなされる。
なお、今週6位に再TOP10入りしたPooh Shiesty(プー・シャイエスティ)の『Shiesty Season』も、5月21日に4曲を追加したデラックス盤がリリースされ、前週から97%増加の35,000までユニット数を増加させている。ストリーミング記録は、収録曲数が多いほど再生数が増し有利になるため、昨今では曲数が多いアルバムやデラックス盤を再リリースするケースが増えている。
そのストリーミングが集計に加算されるようになった2014年12月13日付チャート以降では、2018年4月21日付チャートで255,000を記録したカーディ・Bの『インベージョン・オブ・プライバシー』を上回る、女性アーティストのデビュー・アルバム最大の週間ユニットを更新した『サワー』。同時に、女性アーティストによるデビュー作が1位を獲得したのも、その『インベージョン・オブ・プライバシー』以来約2年ぶりの快挙となる。
ソング・チャート“Hot 100”では、2021年1月23日から3月13日付チャートの計8週を記録したデビュー曲「drivers license」と、先週(5月29日)にNo.1デビューした3rdシングル「good 4 u」の2曲が1位を獲得。2ndシングル「deja vu」も4月17日付チャートで8位にデビューし、デビュー曲から3曲連続でTOP10に初登場するという史上初の記録も打ち立てた。
発売元であるレーベルGeffen Records(ゲフィン・レコード)としては、4月10日付チャートで1位に初登場したロッド・ウェーブの『SoulFly』に続く2021年度2作目のNo.1タイトルで、名前に「オリヴィア」が付くアーティストのアルバムが1位を獲得するのは、オリビア・ニュートン=ジョンの『イフ・ユー・ラブ・ミー、レット・ミー・ノウ』(1974年)と『そよ風の誘惑』(1975年)に続く3作目の記録となる。
先週1位に初登場したJ.コールの『The Off-Season』は、初週から67%減少の92,000までユニット数を落とし、今週2位にダウンした。
続いて3位に初登場したのは、米オハイオ州出身のポップ・ロック・デュオ=トゥエンティ・ワン・パイロッツの新作『スケイルド・アンド・アイシー』。初動ユニットは75,000で、そのうち51,000がアルバム・セールス、24,000がアルバム・ストリーミング、トラックごとのユニットは1,000程度だった。TOP10入りは、No.1アルバム『ブラーリーフェイス』(2015年)、最高2位を記録した前作『トレンチ』(2018年)に続く3作目で、3作いずれもTOP5入りを果たしている。本作からは、オルタナティブ・ロック・チャートで1位を獲得した「シャイ・アウェイ」がスマッシュ・ヒットを記録し、アルバムのプロモーションに繋げた。
4位は、先週から若干数ユニットを増加させたモーガン・ウォレンの『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』が同位をキープ(55,000ユニット)。マネーバッグ・ヨーの『A Gangsta's Pain』は、12%減少の49,000ユニットに落ち込み3位から5位にダウンした。前述の『Shiesty Season』が6位に再ランクインし、7位はデュア・リパの『フューチャー・ノスタルジア』が先週の5位から2ランクダウンした(34,000ユニット)。
8位にデビューしたのは、米ミシガン州デトロイト出身のラッパー=42ダグの新ミックステープ『Free Dem Boyz』。初動ユニットは32,000で、そのうち31,000がアルバム・ストリーミングと全体のほとんどを占めた。週間再生数は4,356万回を記録している。本作は、昨年4月に同チャート58位に初ランクインを果たした前作『Young & Turnt, Vol.2』から約1年ぶり、通算4作目のミックステープで、先行シングルとしてリリースしたロディ・リッチとのコラボレーション・ソング「4 Da Gang」がHot 100で67位、R&B/ヒップホップ・ソング・チャートでは28位に自己最高位を更新し、アルバムのヒットに繋げている。
9位は、先週の7位からダウンしたジャスティン・ビーバーの『ジャスティス』(31,000ユニット)、10位はポップ・スモークの『シュート・フォー・ザ・スターズ、エイム・フォー・ザ・ムーン』(30,000ユニット)が同位をキープした。
Text: 本家 一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートは6月4日以降掲載予定となります。
◎【Billboard 200】トップ10
1位『サワー』オリヴィア・ロドリゴ
2位『The Off-Season』J.コール
3位『スケイルド・アンド・アイシー』トゥエンティ・ワン・パイロッツ
4位『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』モーガン・ウォレン
5位『A Gangsta's Pain』マネーバッグ・ヨー
6位『Shiesty Season』Pooh Shiesty
7位『フューチャー・ノスタルジア』デュア・リパ
8位『Free Dem Boyz』42ダグ
9位『ジャスティス』ジャスティン・ビーバー
10位『シュート・フォー・ザ・スターズ、エイム・フォー・ザ・ムーン』ポップ・スモーク
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