2026/03/02 18:00
俳優として八面六臂の活躍ぶりを見せると同時に、アーティストとしても精力的に活動する森崎ウィンが2月14日、神奈川・ビルボードライブ横浜にて【Back to Back Billboard Live】ツアーのファイナル公演を開催した。今ツアーは森崎にとって約1年半ぶり二度目となるビルボードライブ・ツアーであり、前回2024年以来の開催。各会場1日2公演が行われ、すべてがソールドアウトとなった。本稿ではファイナル公演の2ndステージをレポートする。
昨年10月に配信リリースした最新EP『LOVE SONGS』のテーマにちなんで“ラブソング”をコンセプトとして行われてきた今ツアー。最終日がちょうどバレンタインデーであることも相まってか、会場には開演前から芬々とした熱気が渦巻いており、暗転した客席に森崎が登場すると、途轍もない歓声が空間いっぱいに渦巻いた。オープニング・ナンバーとなったのは1月7日に配信リリースされたばかりの新曲であり、ツアータイトルにも冠されている「Back to Back」だ。ピアノ、バイオリン、チェロ、コントラバスのカルテットとドラムが奏でる、たおやかながらも力強いアンサンブルに森崎の包容力を備えた伸びやかな歌声が重なって、場内がみるみると幸福感に満たされてゆく。
「すごいね! みんなのパワーがすごすぎて1曲目、ピアノの音が全然聴こえなかった(笑)。じゃあ、いつものCREWはいつものように踊って、初めての方はその真似をしてください!」
歌いながら客席からステージへと上がった森崎は、彼が親愛を込めて“CREW”と呼ぶファンにそう呼びかけると、続けざまに「Fly with me」に突入。先ほどまでのしっとりとした空気を一変させ、グルーヴィーな雰囲気で場内を容赦なく揺らしにかかる。ビルボードライブといえば、着席で食事やドリンクともにゆったりと音楽を楽しむというラグジュアリーな鑑賞スタイルが特色であり、壇上の森崎もまた椅子に掛けて歌っているのだが、今この瞬間にほとばしる熱量は本当に全員座っているのか?と思わず訝しんでしまうほど。そうして会場はあっという間に一体感に包まれてゆく。
“ラブソング”というコンセプトを体現するべく、セットリストには自身のオリジナル曲のみならず、名曲のカバーもずらり。米米CLUBの「君がいるだけで」では、歌詞の一部を“たとえば CREWがいるだけで 心が強くなれること”と替え歌にしたり、久保田利伸 with ナオミ・キャンベルの「LA・LA・LA LOVE SONG」では、ピンクのライティングに黄緑色の照明が重なり、ビビッドな視覚演出で楽曲が生まれた当時の空気感が醸し出されるなど、森崎ならではの表現が随所に散りばめられていた。何より歌っている本人が心からそれぞれの楽曲を愛し、リスペクトしていることがひしひしと伝わってきて、それが耳にも実に心地よい。
森崎が向井康二(Snow Man)とW主演を務めた映画『(LOVE SONG)』を経て、「こんなメッセージの曲があったらいいな」とデビュー時から数々の作詞を手掛けてくれたEIGOと一緒に書いたと語って披露した「初恋 (LOVE SONG)」、最新EPのリード曲にしてまさしく今回のコンセプトを代表する、このうえなくエモーショナルな“ラブソング”を筆頭に、槇原敬之の「もう恋なんてしない」、宇多田ヒカルの「First Love」と、失くした恋の切なさと美しさをギュッと凝縮したブロックでは、持ち前の歌唱力を存分に発揮。森崎ウィンという生身の楽器から放たれる歌を、体温さえリアルに感じられそうな距離感で受け取ることができるこの至福は、ビルボードライブでなければ味わえない醍醐味だろう。会場の誰もが息をするのも忘れたように、繊細かつ豊潤なボーカリゼーションにただひたすら聴き入った。
折々のMCコーナーでは、前回のビルボードライブ・ツアーを振り返りつつ、「ビルボードライブでライブをするのが本当に夢だったんですよ。それが叶って、しかもこうしてまた帰ってこられたことがすごく嬉しい。本当にみなさんのおかげです」と声をはずませながら感謝を告げては、初めて足を運んだというCREWとトークを繰り広げるなど、心底楽しそうにコミュニケーションする森崎。客席の隅々まで行き渡らせるその柔らかな視線に、彼がどれだけファンを愛し、信頼を寄せているのかがはっきりと伝わってくる。もちろんそれはファンも然り。相思相愛な空気が音楽をいっそうふくよかなものにするのだと改めて思い知らされた気がする。
「みなさん、乾杯しませんか?」
後半戦に差し掛かったところで森崎が提案、全員でグラスを掲げるビルボードライブらしい一幕も。本人曰く、「隣同士、乾杯する感じがすごく好き」なのだそう。その後、ビリー・ジョエルの「Uptown Girl」とKANの「愛は勝つ」、さらに広瀬香美の「ロマンスの神様」とフランキー・ヴァリの「君の瞳に恋してる」を見事なマッシュアップで披露すると、客席も大興奮。場内に鳴り渡るハンドクラップもアンサンブルの一部となって、この日、この場所だけの音楽が織りなされていく様は圧巻だ。
「毎回ライブでみなさんの前に立って、みなさんの顔を見ていると“また一つ、奇跡が起きた”って思うんですよ」
まもなくのゴールを前に森崎はそう口にした。それぞれに違う人生を生きている人間が一つの場所に集まって、こうやって繋がれるという奇跡。時代とともに人との繋がりは難しいものになりつつあったりもするけれど、エンターテインメントがあれば、誰とだっていきなり繋がれるのだと彼は言葉を続ける。「そんなエンターテインメントを今やれていることが幸せで仕方がないし、すべてはみんなが応援してくれるおかげ。だからこそ感謝を何回でも言わせてください。本当にいつもありがとうございます」と椅子から立ち上がり、深く頭を下げる森崎に満場の喝采が注ぐ。
本編ラストを担ったのは、2022年リリースの「My Place, Your Place」だった。みんなへの恩返しは死ぬまで続けていくつもりであること、いつどんなときも心はみんなのそばにいるという想いを込めて届けられたこの曲。“そしてあの台詞を言うよ OK?”と歌えば「OK!」と全力で返すCREWに、森崎の今日いちばんの笑顔が炸裂する。最後の“From beginning to the end girl”は、“girl”を“CREW”に替え、会場の一人ひとりに手渡されるようにして迎えた大団円。だが、CREWはもとより森崎自身もまだまだこの温かな場所から離れがたかったらしい。
拍手がアンコールを求める手拍子に変わると、すぐさま応えて戻ってきた森崎。ブルーノ・マーズの「Marry You」、2021年リリースの「Love in the Stars -星が巡り逢う夜に-」と予定されていた2曲を歌い終えてもなお、まるで鳴り止もうとしない拍手に彼もまた湧き上がる衝動を抑えられなかったのだろう。「1曲だけいいですか? 惜しくも今回のセトリからなくなった曲を……」と切り出したのだから、客席が驚喜しないはずがない。バンドにも「大丈夫ですか?」と申し訳なさそうにお伺いを立てる森崎だったが、すぐさま演奏態勢に入るメンバーがまたとても頼もしい。感傷を吹き飛ばすがごとく奏でられたのは「BeFree」。パワフルでどこまでも開放的なアッパーチューンが【Back to Back Billboard Live】のオーラスを飾った。
「みなさんのおかげでビルボードライブ・ツアー、大成功です! また必ずビルボードライブで会いましょう。もし何かあったら、この瞬間を思い出してください。絶対に明日に進めるから。OK?」
最後にそんな約束を残してステージを去った森崎だったが、再会のときはそう遠くないはずだ。なぜなら来たる5月8日、ビルボードライブ東京にて作曲家・編曲家・音楽プロデューサーの武部聡志とのセッションライブ【Billboard Live presents Piano Duo Session #10 森崎ウィン×武部聡志】の開催がこの日、本人の口からアナウンスされたのだから。ちなみにビルボードライブ東京に森崎が登場するのはこれが初。また、それに先駆けて3月には東京と大阪で武部聡志プロデュースによる【『ジブリをうたう』 コンサート その2】への出演も決定した。さらに映画『黄金泥棒』の公開や、ミュージカル『SPY×FAMILY 2』への出演なども控えている。2026年も彼の動向から目が離せない1年となるに違いない。
Text: 本間夕子
Photo: 相澤一茂
◎セットリスト
【Back to Back Billboard Live】
2026年2月14日(土)神奈川・ビルボードライブ横浜 2ndステージ
1. Back to Back
2. Fly with me
3. 君がいるだけで
4. LA・LA・LA LOVE SONG
5. 初恋 (LOVE SONG)
6. もう恋なんてしない
7. First Love
8. All I Have to Do Is Dream
9. Missing
10. Uptown Girl & 愛は勝つ
11. ロマンスの神様 & 君の瞳に恋してる
12. My Place, Your Place
13. Marry You
14. Love in the Stars -星が巡り逢う夜に-
15. BeFree
◎公演情報
【武部聡志プロデュース 『ジブリをうたう』 コンサート その2】
2026年3月13日(金)東京・東京国際フォーラム ホールA
2026年3月20日(金・祝)グランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)
【Billboard Live presents Piano Duo Session #10 森崎ウィン×武部聡志】
2026年5月8日(金)東京・ビルボードライブ東京
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