2012/09/16
鳥羽一郎の長男にして、高校時代に自ら事務所を設立してインディーズデビューを果たすなど異色の経歴を持つシンガーソングライター 木村竜蔵が、9月12日にミニアルバム『6本の弦の隙間から』でメジャーデビューした。
<アジア各地を巡って知った、“僕には何もない”>
17歳でギターを始めた彼は、その後インディーズでのリリースや弾き語りライブを地道に行い、実力を高めてきたシンガーだ。メジャーデビューを飾る本作では、音響系アーティストの細海 魚(ホソミサカナ)がプロデュースを担当。演奏面でも元ザ・ルースターズの池畑潤二と井上富雄、THE GROOVERSの藤井一彦、松田文と名立たるミュージシャンが参加し、本格的なロックサウンドで木村の歌をバックアップしている。
一方、本作に収録された全5曲の作詞作曲は全て木村自身が手掛けている(M-02「四季」のみ細海との連名)。「四季」「雨薫ル」「入道雲」といったタイトルも含め、歌詞には日本の風土を感じさせる言葉が並んでいるが、そこには学生時代にアジア各国を巡った時の経験が活かされているという。
「海外の人たちはみんな、“自分の国にはこういう文化があって、家でもこんなことをやっていて……”って言えるじゃないですか。でも、僕には何もなかった。彼らに日本の魅力を伝えられなかったんですよ」
世界を旅することで自身が日本人であると再確認させられた木村は、帰国後から陶芸も始めたそうだ。加えて幼少期より演歌、歌謡界の大物である父の現場に足繁く通ったという特異な経験を持つ彼は、とかく欧米寄りになりがちな音楽やエンターテインメントの中にも日本らしさ、日本の文化を感じさせる言葉を埋め込んでいきたいと胸を張る。
<将来の夢はジブリ作品の声優?>
他にも、母の影響で知った尾崎豊や過去に共演経験もある松山千春をフェイバリットアーティストに挙げるなど、今時の23歳とは思えない感性を持つ彼だが、将来の夢は意外にもジブリ作品で声優をやること。もちろん「音楽家として、作り手として評価されてから」の野望ではあるが、モノを作る人間から認められたいという気持ちは強いようだ。
ちなみに、お気に入りの作品を訊ねてみると、しばらく悩んだ末に“あくまで今ならば”と前置きした上で、宮崎駿監督作なら『紅の豚』と『もののけ姫』。他の監督作では『耳をすませば』が好きだと、あどけなさの残る笑顔を見せてくれた。
偉大な父の背中を見て育ち、世界に誇る文化を愛する23歳の新星ミュージシャンが鳴らす、日本人ならではの音楽。実直で頼もしいニューカマーがシーンに躍り出た。
◎ミニアルバム『6本の弦の隙間から』
2012/09/12 RELEASE
CRCP-40328 1600円(tax in.)
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