Billboard JAPAN


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2026/01/16 17:45

TOTOのスティーヴ・ルカサーとマイケル・ランドウを中心に結成されたグループ=Boone‘s Farm、ビルボードライブ東京初日公演のライブレポートが到着

 TOTOのスティーヴ・ルカサー(Gt/Vo)とマイケル・ランドウ(Gt)という当代きっての人気ギタリストであり、12歳からの親友でもある2人が中心となり、キース・カーロック (Dr)、ジェフ・バブコ(Key)、ティム・ルフェーヴル(Ba)を加えた5人で今回の来日の為だけに結成された=Boone‘s Farm(ブーンズ・ファーム)がビルボードライブに登場。東京初日公演のオフィシャル・ライブレポートが到着した。(※セットリストのネタバレあり)

 2007年8月に東京・ビルボードライブ東京のこけら落としを飾ったスティーリー・ダン公演でもドラムを叩いていたキース・カーロック、ラリー・カールトンのグループなどで度々ビルボードライブのステージに立つキーボードのジェフ・バブコ、2018年までテデスキ・トラックス・バンドに在籍し、デヴィッド・ボウイの遺作『ブラックスター』への参加でも知られるベースのティム・ルフェーブルという超豪華な5人組によるステージが1月15日、ビルボードライブ東京で行われた。ブーンズ・ファームによる公演の映像収録・録音は一切行われず、体験できるのはこの公演に立ち会う観客だけ。彼ら5人は、これまで半世紀にわたり合計で1万タイトルを超えるアルバムに参加し、累計数億枚のセールスを記録している。音楽史を築いてきたプレイヤーたちによるこの奇跡の来日公演は、日本のビルボードライブでのみ開催される。

「ルークに初めて会った時のことは、とてもはっきり覚えているよ。僕は12歳で、仲間のひとりからやっぱりギターを弾く友人のことを聞いた。別の中学へ通っているけど、家は近所っていう話だった」(マイケル・ランドウ)

「俺は自分の腕がかなりいいと思っていたが、マイクは本物の凄腕だった。俺より小柄で歳も若い、ちっぽけなガキだったが、ギターに関しちゃ生まれながらの才能を持っていた。マイクとつるんで彼がやってのけることを見るだけで、俺の腕は上達した」(スティーヴ・ルカサー)

 <ブーンズ・ファーム>とは、その頃2人が仲間たちと隠れて飲んでいたというストロベリー・テイストの安物ワインのこと。当時の彼らは、それぞれのバンドを率い、互いに機材を共有したりして助け合いながら、良きライバルとして腕を競い合った。やがてスティーヴ・ポーカロが兄ジェフやデヴィッド・ペイチからスティル・ライフを引き継ぐ時に、2人揃ってそれに参加。スティーリー・ダンのトリビュートを得意としたこのバンドで、マイケルはジャジーなデニー・ダイアス役を、ルークはロックン・ロ―ラーであるジェフ・バクスター役を担ったという。

 それから早55年。ブーンズ・ファームの名を掲げての来日ステージは、言わば究極の同窓会ライブと言えるだろう。ルーク68歳、マイケル67歳、髪の毛は真っ白になったり、失なわれてしまったけれど、プロに憧れたギター・キッズの夢は見事に実現し、それを遥かに通り越して世界の音楽シーンを代表するツー・トップにまで上り詰めた。だがこのブーンズ・ファームが単なるトップ・ギタリスト共演に止まらないのは、そうした多感な少年時代を一緒に過ごした者同士の深い絆があるから。セットリストを見ただけも彼らのルーツは明らかながら、それぞれのリーダー・バンドでのステージとはまた違う、旧友同士ならではの気持ちが通じ合った、それでいてエッジィなサウンドのせめぎ合いが伝わってくる。連日フルハウスというオーディエンスも、フロアがライトダウンすると同時に拍手や手拍子でメンバーを迎えるなど、そのあたりをよく理解した上で熱い期待を寄せていた。

 ショウは、ジミ・ヘンドリックスのカヴァー「Freedom」で威勢良くスタート。リズムを刻みながらボーカルを取るルークに、マイケルがオブリで絡んでいく。ギターソロでは早速2人の激しい掛け合いで、フロアは早くもヤンヤの喝采。そしてルークがギターを持ち替えて、マイケルの1stソロからのライヴ定番「I'm Buzzed」へ。このツアーが発表された瞬間から、2人一緒のこの曲を心待ちにしていたファンは多いはずで、上手・下手に立つ2人が中央で軽く絡む場面も。ルークは爆音系のスタートから一転、マイクの浮遊感たっぷりの空間プレイに呼応し、見事な音使いでフレーズを重ねていく。

 「さぁ、ブルース・タイムだ!」というルークの掛け声で始まったのは、エリック・クラプトンのレパートリーとしてお馴染み「Worried Life Blues」。リード・ボーカルは意外にもマイケルの担当だ。自身のアルバムでもボーカルは他人任せだから、“歌わない人”というイメージが強いマイケル。なのに意外や意外、実は結構歌えるじゃないのぉ~? 曲半ばでは、ルークが“Ny Man”と呼ぶ名脇役ジョン・バブコがロングソロをカマし、火を吹くような2人のソロへと繋いだ。そういえば彼は、スティーヴ・ガッドのバンドでもマイケルと一緒にプレイしている。

 続くビリー・コブハムのカバー「Crosswind」では、ルーク~マイケル~ジョンによる3人のソロ回しが延々と。ただ自分の得意技をカマすだけでなく、前の人のフレーズに対して機敏なリアクションを交えてのインタープレイの応酬に、思わず手に汗握る場面も。しかもその前後には、リズム隊のソロ・パフォーマンスが用意され、ティム・ルフェーブルがアグレッシヴなベースソロを披露。テデスキ・トラックス・バンドに在籍したり、デヴィッド・ボウイ『★』にも参加した彼は、一方でバブコとプロジェクトを組んだり、敏腕ギタリスト:ウェイン・クランツのバンドでは、キース・カーロックともしばしばプレイを重ねてきた。そのキースといえば、再編スティーリー・ダン周辺はもちろん、TOTOやジョン・メイヤーとの活動で有名だが、ラリー・カールトンとルークの来日公演でも叩いていたし、その豪腕プレイはつとに有名。この夜もその腕っぷしの強さと振動のようなグルーヴで、オーディエンスの心を激しく揺さぶってくれた。

 スペイシーなS.E.で幕を切った「Bridge Of Signs」は、ルークの21年のソロ『I FOUND THE SUN AGAIN』に収録されていた、ロビン・トロワーの楽曲。ゆったりウネるようなビートに乗せて延々ソロを弾き倒していくインプロヴィゼーション主体のナンバーで、かつてはTOTOのツアーでもセットに組まれていた時期がある。バブコのオルガン・プレイ、若かりし頃を思い出させるマイケルの激しいアドリブ、それに煽られてかルークの早弾きもギアが上がっていく。ギター・バトル後は、そのままメドレー形式でジミ・ヘンドリックス「Third Stone from the Sun」をインサートした終盤へ。名曲揃いのジミ・ヘンでは地味な部類に入る楽曲だが、ルークの自伝『THE GOSPEL』を読むと、ジミヘン1st『ARE YOU EXPERIENCED』に入っていたこの曲は、ルークにとってビートルズ、クリームに次いでギターにのめり込むキッカケになった楽曲のひとつらしい。03年に制作されたジミ・ヘンのトリビュート・アルバム『VOODOO CROSSING』に参加した際も、ルークはこの曲をカバーしていた。きっと余程思い入れの強い楽曲なのだろう。

 これに次いで今回のツアーのハイライト的ポジションに置かれていると思しきが、マイルス・デイヴィス「Tutu」である。あの深遠なテーマを、ルークとマイケルがツインギターでヴィヴィッドに再現。ティムのベースもフォーチャーされ、各メンバーがそれぞれの力量をフレキシブルにアピールしながら、イントロスペクティヴな世界観を描き出していく。このコンビ、ルークの方が兄貴分だから、ともすれば“ルカサー・バンド withランドウ”になってしまう可能性もあったと思う。が、そこはやはりお互いにギターの腕や音楽観を研鑽し合った旧知の間柄。ルークは自分が前へ出る場面とマイケルに譲るところをシッカリわきまえ、マイケルはマイケルでルークより前には出ない、そんな絶妙なバランスを肌で感じた。ライヴ盤にもなったルークとラリー・カールトン共演の時と比べ、明らかにルークのスタンスは変わっている。マイケルとの関係は、それだけ特別ということだ。

 ところが、このあたりで規定時間いっぱい。幸い 1st Stage / 2nd Stageを通しで観せていただけたが、1stはクリームで有名な「Crossroad」、2ndはジェフ・ベック「The Pump」を締めに。1stではその後「Brush with the Blues」(ジェフ・ベック)の触りをチラリと披露した(いや、ジミヘン「Red House」のイントロのみかも)が、ほんのふた回し程度でタイムアップ。アンコールはなく、その分時間が許す限りプレイし切った印象で、2ndセットは80分超えのパフォーマンスになった。

 告知の前振りにもあったように、ルークとマイケルのライブ共演は、2004年ベイクド・ポテトでのパフォーマンス以来。それだけに両人も楽しみにしていたようだが、個別にしか彼らのライブを観られなかった日本のリスナーにとっては、コレはまさに夢の実現だ。実際に2人がどんな気持ちでステージに立っていたか、現時点でそれを知る由はないけれど、追加公演含めて残る4日間8公演、彼らが思いの丈を込めてギターを弾くことだけは間違いない。偶然にも現在、彼らがベイクド・ポテトで憧れの目を持って観ていたリー・リトナーが、ハーヴィー・メイスンやパトリース・ラッシェンを伴ってジャパン・ツアー中。ルークとマイケルも、ショウの合間にそこへ足を運んだことが漏れ伝わってきている。

 ここのフレーズがどうの、あそこの音作りがこうの…。このラインアップだけに、そうした演奏技術や機材に目や耳が行くのは無理もない。けれど一番重要だと思うのは、彼らがこの日本のステージで何をしたかったのか、オーディエンスに何を伝えたかったのか、彼ら自身が何を確かめたかったのか、ということ。それを慮りながら、その熱きパフォーマンスを見つめて欲しいのである。

Text by 金澤寿和

◎公演情報
【Boone's Farm featuring Steve Lukather, Michael Landau, Keith Carlock, Jeff Babko, Tim Lefebvre】
大阪・ビルボードライブ大阪(1日2回公演)
2026年1月12日(月祝)
1stステージ START 16:00 / 2ndステージ START 19:00
2026年1月13日(火)
1stステージ START 17:30 / 2ndステージ START 20:30

東京・ビルボードライブ東京(1日2回公演)
2026年1月15日(木)
1stステージ START 17:30 / 2ndステージ START 20:30
2026年1月16日(金)
1stステージ START 17:30 / 2ndステージ START 20:30
2026年1月17日(土)
1stステージ OPEN 15:00 START 16:00
2ndステージOPEN 18:00 START 19:00
2026年1月18日(日)
1stステージ OPEN 15:00 START 16:00
2ndステージOPEN 18:00 START 19:00

神奈川・ビルボードライブ横浜(1日2回公演)
2026年1月20日(火)
1stステージ START 17:30 / 2ndステージ START 20:30
https://www.billboard-live.com

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