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「世界で活躍するボーイズグループを作りたい」――BE:FIRST を生み出したBMSG主催のオーディション番組『THE FIRST』は、SKY-HIのこの想いから始まった。そのために「まずはこの国を獲る」。決して机上の空論などではない。デビューからちょうど850日目を迎えた日、BE:FIRSTは結成当初からのひとつの目標であった東京ドーム公演を開催。そして2025年には、国内ドームツアーに加え、ワールドツアーを敢行することも決定している。
オーディション番組やボーイズグループに関心を寄せてこなかった層も巻き込みながら、日本を代表するアーティストにまで成長したBE:FIRST。なにがそれほど多くの人の心を掴むのか? その答えは、映画『BE:the ONE -MEANT TO BE-』にある。
<強烈な“個”が生み出す、“驚異的な存在感”と“身体を震わせる圧力”>
本作は、2023年に公開された『BE:the ONE』に続く「BE:FIRST THE MOVIE」第2弾。【BE:FIRST LIVE in DOME 2024 “Mainstream-Masterplan”】東京ドーム初日公演のパフォーマンスを軸に、舞台裏やインタビューなどと共に公演当日までの850日を振り返ることが出来るライブドキュメンタリー作品である。初の東京ドーム公演という重要な一日と、それまでの軌跡が収められている映画が、兼ねてよりBE:FIRST を見続けているBESTY(※BE:FIRSTファンの総称)にとって特別な作品であることに間違いはない。作品の性質上、観客の多くがBESTYということもあるだろう。ただ、“ファンのための映画”として片づけてしまうのは、あまりにも惜しいのだ。
正直なところ、2時間という長さでBE:FIRSTのすべてを知るのは難しい。しかし、テンポよく簡潔に提示される彼らのアティチュードを学び、彼ら自身の口から発せられる言葉を耳にすれば、大方“BE:FIRSTとは何者か”を理解することは出来る。その上で、結成当初から掲げる「クオリティファースト、クリエイティブファースト、アーティシズムファースト」が体現されたステージを目撃すれば、“世界”が単なる夢物語ではないことを納得するはずだ。BE:FIRSTに惹かれながらもライブへ足を運ぶことにハードルの高さを感じている人にとっては、BESTYへの扉を開くきっかけになり得るし、BE:FIRSTをまだよく知らずとも音楽を愛している人であれば、日本の音楽シーンを大きく動かそうとしているアーティストを一度目にしておいても損はない。
そもそもBE:FIRSTには、いわゆる“音楽好き”のファンも多いのだが、その大きな理由のひとつがライブである。とにかく、ライブがすごい。ハンドマイクでの生歌にこだわっている彼らだが、“踊りながら歌う”という技術があるというだけではなく、その時、その場所でしか繰り出されないものだからこそ、魂が宿る。個性を重視しているため、端的に言えば歌声もダンスも“バラバラ”だ。それを“不協和音”と例えてしまうとマイナスイメージが強いかもしれないが、クラシック音楽では多く取り入れられているように、絶妙な組み合わせとバランスを保つことで、強い印象を残し、作品の深みが増す。BE:FIRSTのメンバー7人の個性がぶつかり合うことで、7人ならではの調和が生まれる。ライブほどその真髄を味わえるものはないだろう。
中でも「Scream」は圧巻だ。バンド演奏によるライブバージョンで披露され、ダンスブレイクも大幅にアレンジされた同曲は、人を叫ばすどころか、むしろ沈黙させてしまうほど。興奮の前に、衝撃がある。強烈な“個”が生み出す、グループとしての驚異的な存在感。生演奏だからこその厚みと力強さのあるサウンドを背負い、歌詞にある通り、「最高が何なのか証明しよう」というメンバーの気迫。クライマックスと思われた瞬間の先に、さらなる驚嘆が待ち受ける。涙腺を緩ませたのは、“心を揺さぶる感動”というよりも“身体を震わせる圧力”だった。
<世界へ羽ばたく前、この先も続く“Masterplan”の始まり>
言ってしまえば「Scream」だけでも劇場に足を運ぶ価値はあると思うが、特筆すべきは、本作がBE:FIRSTが世界へ行く前、ひとつの区切りでもあるということだ。映画に収められているのは、デビュー曲「Gifted.」など1stアルバム『BE:1』の収録曲、オーディションのテーマ曲「To The First」、自分たちのスタイルとスタンスを提示した「Boom Boom Back」「Mainstream」「Masterplan」といった、2024年3月時点でのBE:FIRSTを象徴する楽曲群。初の東京ドーム公演は2ndアルバム『2:BE』のリリース前に実現した故、前述した2025年のツアーでは披露されない楽曲も含まれているはずである。
もちろん、ドームという大きな会場では見えづらい表情、目の前に広がる景色とその先の世界を見据える眼差しや繊細な指先の動きまで、大画面では鮮明に見える。本作は2D版の上映に加え、正面スクリーンと2つの側面スクリーンで構成されたScreenX、パフォーマンスと音楽に合わせて動くシートにモーション効果・環境効果が加わった4DX、ScreenXと4DXの機能をすべて搭載したULTRA 4DX(旧4DXScreen)でも上映されており、ScreenXは計3面スクリーンだからこその演出が特徴だ。初のドーム公演を実現したメンバーが涙ながらに各々の想いを語るMCや、彼らの素の表情が映し出されたドキュメントパートも含め、BE:FIRSTの歴史的な一日が視界いっぱいに広がるのだから、没入感は凄まじい。
あの日、東京ドームに行くことが出来なかった人も、映画を観ればわかる。先日行われた舞台挨拶にて、本作を手がけたオ・ユンドン監督が、なにをもってして「BE:FIRSTに東京ドームは狭すぎる」とコメントしたのか? なにがそれほど多くの人の心を掴むのか? あれほどの広さをもってしても、何万人ものオーディエンスを置き去りにせず、熱狂させ、時に呆然とさせる爆発的なパワーは、画面越しでも明らかだった。つまり、これはひとつの区切りであると同時に、この先も続く“Masterplan”の始まりである。
Text by 佐藤悠香
映画『BE:the ONE -MEANT TO BE-』場面写真 by 田中聖太郎写真事務所
◎映画情報
『BE:the ONE -MEANT TO BE-』
2024年11月15日(金)より全国公開
監督:オ・ユンドン、キム・ハミン
エグゼクティブプロデューサー:SKY-HI
出演:SOTA、SHUNTO、MANATO、RYUHEI、JUNON、RYOKI、LEO
(C)B-ME & CJ 4DPLEX All Rights Reserved.
配給:エイベックス・フィルムレーベルズ
Xアカウント:@BEFIRSTthemovie
https://befirst-themovie.jp
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