Billboard JAPAN


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<コラム>「SixTONESとは何か」その答えを刻み込んだライブ映像作品『on eST』



コラム

試練を乗り越え、ストイックに作り上げたステージ

 SixTONESが今年1月にリリースしたデビュー・アルバム『1ST』を提げて回った全国アリーナ・ツアー【on eST】。同ツアーは、Billboard Japan の総合アルバム・チャート“Hot Albums”で2021年上半期1位に輝いた『1ST』の曲を中心に、初めて全曲がオリジナル曲で構成された念願のアルバム・ツアーであり、彼らの強烈な個性がぎゅっと濃縮された内容になっていたのも記憶に新しい。10月20日にリリースされる『on eST』は、そんな同ツアーから6月7日に行われた横浜アリーナ公演を収録したライブ映像集だ。横浜アリーナはSixTONESがジャニーズJr.の頃から数えきれないくらいステージに立ってきた、彼らにとってホームとも呼ぶべき会場。6月7日の公演は、そんな横アリで4日間7公演にわたって開催されたコンサートの千秋楽に該当する。

 もちろん、あの時期のSixTONESの傍らには困難もあった。新型コロナウイルスの感染拡大によって【on eST】ツアーは延期、無観客開催、制限ありの有観客開催、大阪公演の中止……と次々に対応を迫られることになったからだ。それがデビュー2年目の上昇気流に乗っていた彼らにとって大きな試練だったことは間違いないだろうし、試行錯誤を続けながらステージを作り上げていった日々は、『on eST』の特典映像のドキュメンタリーにも記録されている。



SixTONES -「DOCUMENT “on eST”」digeST from LIVE DVD/Blu-ray 「on eST」通常盤


 1年5か月ぶりに有観客の横アリに戻ってきたSixTONESだったが、それでも当時は未だ緊急事態宣言下であり、観客数の制限に加えてオーディエンスの声出しも原則NGとされていた公演だ。絶え間ない歓声や悲鳴、コール&レスポンスと見事な合唱、そうしたアイドルのコンサートで当たり前とされてきた楽しみ方が奪われたなかで行われたアイドルのライブ……『on eST』の本編映像は、そんな特殊なハンディキャップ戦とも呼ぶべきシチュエーションで、SixTONESがいかに戦ったのかを余すところなく映し出している。

 前述のように【on eST】ツアーは、全曲彼らのオリジナル・ナンバーでセットが組まれた『1ST』ありきのアルバム・ツアーであり、結果として「これが、これこそがSixTONESだ」という彼らのビジョンが全面に押し出された、極めてコンセプチュアルなステージになっていた。真っ先に驚かされるのがオープニングだ。ヘヴィなベース・ラインが地を這うヒップホップ・ビートをバックに、なんとSixTONESはスクリーン越しのシルエットだけで「Mad Love」を丸々1曲やりきってしまうのだ。こうしてスクリーンを真正面から捉えた映像で再確認すると、6人はリズムと完璧に同期し、計算し尽くされたフォーメーションでシルエットを“デザイン”していたことがわかる。

 続く「Dance All Night」では、一糸乱れぬロボット・ダンスを披露。エレクトロ・ポップのSF的世界をさらに引き立てるライティングもすごい。縦横無尽に走るグラフィカルなレーザーが、シンプルな長方形の横アリを宇宙船のような空間へと早変わりさせていく様は、映像として目の当たりにすると改めて圧巻だ。普段なら大歓声に包まれるはずのオープニングだが、この日はもちろんそうはならなかった。むしろ歓声が封じられたことによって固唾を飲んでステージを見守る唯一無二のテンションが生まれ、そのテンションはSixTONESが作り上げたストイックなオープニングに相応しいものだったと思う。

 ストイックという意味では、セットの前半にアイドルらしいフレンドリーな曲、シンガロング・ナンバーがほぼないというのもSixTONESらしい構成だ。センシュアルなダンスで魅了する「Telephone 1ST ver.」、天井から降りてきた巨大ブリッジを練り歩きながら見得を切るように踊る「S.I.X.」、そして横アリにいきなりレイブ・パーティーを出現させてしまうビート・チューン「Special Order」と、とことんサウンドありき、楽曲ありきで組み立てられたパフォーマンスなのだ。歓声や悲鳴をぐっと堪えてペンライトを振るオーディエンスに向けて、6人は手を振る代わりにパフォーマンスで魅せ、迫り、容赦なく興奮を撃ち込んでいく。



SixTONES - 「Special Order」 from LIVE DVD/Blu-ray「on eST」(2021.06.07 YOKOHAMA ARENA)


強烈な個性が入り乱れるパフォーマンス

 そんな極めてストイックでアーティスト的なパフォーマンスと対照的に、曲のインターバルの彼らはどこまでもチャーミングでアイドル的だ。空振りのリスクも厭わずダジャレをフルスイングしていくジェシー。そのクールな佇まいと裏腹に身体を張ったギャグを繰り出す京本大我。シュールでちょっとわかりづらいサブカル的ユーモアが滲む松村北斗。最年少ならではのはっちゃけぶりを発揮する森本慎太郎……と4人が自由に暴れた(?)後に、さすが最年長のリーダーらしく場をまとめる高地優吾、そしてツンデレ気味なメッセージでファンを蕩けさせる田中樹と、わずか1~2分のメンバー紹介ですら6人の個性がはっきり浮かび上がってくるのも、彼らがアイコニックな存在としてのアイドルに他ならないからだろう。

 それにしても、ステージ・コスチュームとしてここまでサングラスやメガネ、キャップやハットの採用率が高いジャニーズのグループも珍しいのではないか。前半のギラギラとクールな衣装から中盤ではカラフルでカジュアルなものに変わるのだが、アイテムは6人バラバラで、着こなしも雰囲気も全然違う。可愛らしいキャスケットやツナギで10代の少年のような佇まいの高地とハリウッド・スターのような迫力のジェシーが一緒に踊っているのを観ると、SixTONESの強みはこの多様性だとつくづく思うし、フォーメーションを組んで同じ振り付けで踊っても、全身バネのようにパワフルな森本としなやかでスムースな京本のそれは全く別物に見える。

 かつて、「同じクラスにいたら絶対に仲良くならないタイプの6人が集まったのがSixTONES」と言ったのは松村だったが、仲良くならないタイプの6人が“それでも”出会い、互いを引き寄せ合ったのは運命だったということが、SixTONESのパフォーマンスを観ていると確信できるはずだ。フォーメーション・ダンスですらバラバラの個性が暴れ出す彼らが、むしろフリー・スタイルで好き勝手に踊っているときほど一体感を感じさせるのも、彼らの強烈な個性がミラクルな補完関係を持っているからこそだろう。仲良くならないタイプなのに、なぜか仲良くなってしまった6人が、放課後にファミレスのドリンクバーで延々粘ってダベっているようなトークを繰り広げるMCも楽しい。当日のファンは笑いを堪えるのが大変だったかもしれないが、こうしてパッケージになったことで、こちらも家でダラダラしながら彼らのトークを堪能できるのが格別だ。



SixTONES – 「Strawberry Breakfast」 from LIVE DVD/Blu-ray「on eST」(2021.06.07 YOKOHAMA ARENA)


 二人ずつ3組のユニット曲のセクションで最後を飾ったジェシーと田中の「EXTRA VIP」を皮切りに、いよいよセットのなかでも特にエッジーで洋楽的なナンバーが続く後半戦へと突入する。トラップからローファイまで田中の硬軟自在のラップが冴えるヒップホップや、ジェシーや京本のファルセットを活かしたオルタナR&Bは、SixTONESの純音楽的ポテンシャルを最大限に発揮するもので、このセクションだけ観ていると、彼らがジャニーズのアイドルだということを一瞬忘れそうになってしまう。特にドラムン・ベース風のゴツい打ち込みからレゲトンに雪崩れ込む「Bella」は、前半の「Special Order」と並んで、SixTONESのアイドルとしての“規格外”を告げるパフォーマンスだったと思う。

 そして「NEW ERA」以降の最終盤はまさにクライマックス、SixTONESがデビュー・アルバムの『1ST』に、自分たちの第1章に刻んだステイトメントを明らかにするメッセージ性の強いセクションだ。火花の雨が彼らの頭上に降り注ぐ「Imitation Rain」のパフォーミング・アーツとしての完成度と、未来は強い光のほうにある、それはまだまだ遥か先だと歌う「ST」のロック的初期衝動の対比も鮮烈だ。



SixTONES - 「ST」 from LIVE DVD/Blu-ray 「on eST」(2021.06.07 YOKOHAMA ARENA)


 この『on eST』を観ていると、SixTONESが理屈ではない華やぎと、鍛錬を重ねた実力を兼ね備えたグループであることが見て取れるはずだ。光を一身に集めるアイドルとしての自覚と、光を生み出すクリエイターとしての矜持が、このユニークなライブ作品を生み出したのだと理解できるはずだ。最後の挨拶で「またすぐ会えるとは約束できない」と田中は言う。「でも会いたいと思う、だからそのために全力で頑張る」と言う。妙にリアリスティックでありながら、夢をひたむきに追うナイーブさを失わない彼のこの言葉もまた、すごくSixTONESらしいと思った。SixTONESとは何か。現時点で、その問いに対する最も端的な答えとなっているのが『on eST』なのかもしれない。

Text by 粉川しの

SixTONES「on eST」

on eST

2021/10/20 RELEASE
SEXJ-7/8 ¥ 6,600(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.Mad Love
  2. 02.Dance All Night
  3. 03.NAVIGATOR
  4. 04.Telephone (1ST ver.)
  5. 05.S.I.X
  6. 06.Special Order
  7. 07.Call me
  8. 08.My Hometown
  9. 09.ってあなた
  10. 10.So Addicted
  11. 11.NEW WORLD
  12. 12.“Laugh” In the LIFE
  13. 13.MC
  14. 14.僕が僕じゃないみたいだ
  15. 15.EXTRA VIP
  16. 16.Coffee & Cream
  17. 17.Lemonade
  18. 18.Strawberry Breakfast
  19. 19.Bella
  20. 20.RAM-PAM-PAM
  21. 21.NEW ERA
  22. 22.Imitation Rain
  23. 23.ST
  24. 24.Lifetime
  25. 25.うやむや (EC)
  26. 26.この星のHIKARI (EC)

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