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 A夏目がクリスマスツリーとライトで彩られたスタジオに登場する。「この後もクボタカイさんとRin音さんという同じ事務所の先輩が待っているので、ご飯でも食べながらゆっくり聴いていってください」と挨拶すると、始まったのは「Stay true」。優しげなトーンの声質が浮遊感のあるサウンドに載せて“決意”を感じさせる歌詞を届ける。

 「続いてはスペシャルゲストに来ていただいてます!」とハク。のボーカル、あいが呼び込まれる。「11月にハク。と一緒に曲を作ってリリースしたんですけど、この曲は人生のかけがえの無い時期とか、青春を歌った曲です」という紹介から「青いとばり feat ハク。」へ。男女のツインボーカルで紡がれていく情景が切なく甘酸っぱく聴き手の心に刺さり、揺さぶってくる。

 あいが捌けると、再びMCへ。「次の曲で最後になるんですけど、この曲がいろんな人に出会わせてくれた、僕にとって凄く大切な曲です。高校生の頃に自分の好きな人に向けて作りました」と話すと、自身が出演したABEMAの恋愛リアリティーショー『恋する♥週末ホームステイ 2020冬 Tokyo』を題材にした「東京の冬」が始まる。リアルさと同時に温かみを感じる歌詞、そして心地よいグルーヴにこちらも自然と身体を揺らされた。

 A夏目のセットが終わると、入れ替わる形でクボタカイが登場する。自己紹介を終えるとすぐさまアップテンポでファンキーな「MIDNIGHT DANCING」がスタートする。サポートのギターとキーボードが奏でる力強いグルーヴに載るハイペースなラップはこちらも聴いていてテンションが上がる。どこか荒々しさもあるクボタのステージングも魅力的だ。

 「ここ数年で一番噛んじゃったかもしれないですね(笑)。まぁこれもライブということで、引き続きお楽しみください」というMCを経て、クボタがアコースティックギターを手に取る。そして始まったのは「せいかつ」。タイトル通り、生活感のある歌詞と優しいサウンドが印象的な曲だ。

 そして、クボタが最後に披露したのはTikTok人気楽曲チャート<TikTok Weekly Top 20>で4週連続チャートインした「ピアス」。様々な声質を使い分けるクボタの歌唱が光るこの曲は視聴者の中でも認知度が高かったようで、コメント欄の勢いも目に見えて増していった。

 再び入れ替わりでRin音がスタジオに入る。「TikTokをご覧の皆様、こんばんはRin音です」と挨拶をし、流れるように「heaven town」に突入する。チルでクールなサウンドで場は大人な空気に。そこから「Blue Diary」とアルバム『cloud achoo』の収録曲が続く。落ち着きの中にエモーショナルさも滲み出ているメロディアスなコーラスが印象に残る。

 「改めまして、福岡県から来ました、ラッパーのRin音です!そしてバックDJはShunMarunoと言います。よろしくお願いします」と挨拶をすると、MCへ。「今回はNEXT FIREの12月ピックアップ・アーティストに選出していただきありがとうございます。僕がヒップホップ/ラップという激アツな文化に出会ったきっかけは携帯越しのもので、それこそ今のTikTokのような。そういうものからいつか何かが見つかる日があると思うんですよ」「今日は同じ事務所の友達も出ていて、彼らと一緒に色んな歴史を紡いできたわけなんですが、一緒にライブをしたいと思います!」とまずはクボタカイを呼び込む。

 「クボカイとは昔からの仲で、MCバトルで初めて出会ってから初ライブのタイミングとか、ずっと一緒」と語る二人が披露したのは、2021年にリリースされたコラボ曲「春にふられて」。キャッチーさのあるラップフレーズでは互いのスタイルの違い、コーラスでは両者の歌声の相性の良さを堪能することができた。

 続いて、トップバッターとして出演したA夏目が登場。今ではROOFTOPという事務所に入りたいというアーティストが増えてきていて、A夏目もそうだったという話から、こちらも2021年にリリースされたコラボレーション「raspberry」に。ホーン等が登場する明るく陽気なビートで一転してスタジオがハッピーな雰囲気に染められていく。まさしく踊りたくなるサウンドだ。

 「僕も4年、5年前はとにかく追う側だったんですけど、今ではA夏目くんみたいな後輩もできたし、戦友のクボタカイくんもいて。昔の夢が少しずつ少しずつ叶ってきてて。でもそのきっかけって、本当に足元に落ちているようなチャンスだったんですよ。だから今TikTokを見ている子でもそうだし、僕と同い年くらいの人でもそうだし、もっと上の人でもそうだけど、すぐに夢を諦めるのはもったいないなと思います。何故かと言うと、運や偶然もありますけど、叶った夢がたくさんあって。最近だと、ドラマの主題歌をやらせていただきました。皆が応援してくれるからこそ叶った夢だと思っています。決まった時は感動しました」

 想いの込められたMCに続いて披露されたのはドラマ『Sister』の主題歌「qualia」。本人曰く、ドラマのドロドロを残したまま、少し聞きやすくしたというリリックが壮大な音像に載って届けられる。コメント欄にはドラマ経由でこの曲を知っていたユーザーの書き込みも見受けられた。

 「次の曲で最後になります。この曲でたくさんの人に出会えて、今もこの様に歌わせていただいております。みなさんの今年の冬が素敵な冬になりますように」という紹介からコロナ禍の学生の間でヒットとなっていた「snow jam」へ。冬がピッタリなゆったりとした音の流れに身を任せたくなるこの人気曲を聴けて視聴者も感動を多くコメントしていた。良い意味で余韻を残さないあっさりとした形でこの日のステージは幕をおろした。



Text: Haruki Saito
Photo: Masanori Naruse

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