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 6月のNEXT FIRE、まずトップバッターとして登場したのは、シンガーソングライターの浅場佳苗だ。浅場は事前に行われたオープニング・アクトを決めるオーディションにて見事優勝し、NEXT FIRE出演の切符を手にした。

 スタジオに笑顔で登場しピアノの前に座ると 「Fendi」でライブはスタート。透き通るような歌声とピアノで奏でられるバラードはダイレクトに心に刺さる。「初めての方もそうじゃない方も、こんばんは。浅場佳苗です」と挨拶し 「普段は1.5畳の自宅の防音室から歌をお届けしていることが多い私ですが、今夜は画面の向こうで観てくださっている皆さんだけでなく、たくさんのスタッフの皆さんが一緒にこのステージを作ってくださっていて。この場所に今夜こうして立てることを幸せに思っています」と感謝を伝えた。

  「メイクをテーマに、このコロナ禍で感じる息苦しさをちょっとでも拭えるような曲が作りたいと思って描き下ろした曲」という紹介から、 「Make A Wonderful Day」へ。ハンドマイクに持ち換え、体全体でポップなサウンドに身を揺らしながら歌う姿にこちらも明るい気持ちになってくる。聴き手の背中を押すような快活なパフォーマンスでこの日のステージを終えた。

 続いて、6月のマンスリーピックアップアーティストに選ばれたLaughing Hickがスタジオに登場。メンバーがそれぞれの持場につき、ほりうちこうた (Vo./Gt.)が 「山梨県Laughing Hick、あなたに歌を届けに来ました。最後まで楽しんで行きましょう!」という一言から「Local Hero」が始まる。アップテンポで軽快なロックが前向きな歌詞と絶妙にマッチしている。ほりうちとあかり(Ba.)のハモリも良いアクセントだ。そこから立て続けに「中指を立てて」に突入。どこか懐かしい哀愁や切なさと同時に反骨精神も感じられる歌詞が印象に残る。

 続くMCでほりうちが「今回NEXT FIRE』の6月のマンスリーピックアップアーティストに選んでいただきどうもありがとうございます。こういう形での生配信ライブは僕たち初めてなので、とても緊張しているのですが、最後まで楽しんでいきますので、どうぞよろしくお願いします」と改めて挨拶をし、サポートメンバーのKAZUKI (Gt.)を紹介する。

 「続いては、TikTokでもたくさんの人に聴いていただいてる、“クズな男のラブソング”」という紹介から始まったのは「愛してるって」。温かみのあるサウンドと、あまりにも生々しいフレーズが並ぶ歌詞の対比が衝撃的ながらも面白い曲だ。

  「あなたが生きているだけで、きっと世界のどこかでは救われている人がいるんじゃないかなって考えてます。少なくとも僕らは、何気なく観て聴いてくれているMVの1再生、TikTokで楽しく踊ってくれている投稿を観てとても救われました。その小さな一つ一つが積み重なって今日こんな大きなステージに立てています。大げさではなく、出会ってくれたあなたのおかげです。本当にどうもありがとう」とほりうちが語ると 「たくさんの出会いをくれた曲」として 「カシスオレンジ」へ。壮大さと切なさが共存しているメロディーが耳に残る。メンバーも曲が進むに連れ楽曲にどんどん入り込んでいる様子が伺えて、それが演奏の力強さに反映されていたように見えた。

「いつも応援してくれているあなたにも、今日はじめましてのあなたにも、これからも歌を届けられますように。光を掴めますように。いつまでも消えない炎を」というメッセージ性の強いMCを経てラストの 「ランプ」が始まる。未来への希望が湧いてくるような歌詞と力強い歌唱に気がついたら身体がノッていた。まさしくライブの最後にふさわしい疾走感のある曲調。バンドの“これから”に対する期待感が大きく膨らんだ形で終演となった。



Text: Haruki Saito
Photo: Masanori Naruse

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