ステージに登場し、エレキギターでワンコードを鳴らす大橋ちっぽけ。直後にドラムのカウントが入り「アイラブユーにはアイラブユー」でライブはスタート。身体を揺らしたくなるサウンドと温かみのあるメロディが1曲目から大団円のような雰囲気を作り出していく。「ありがとう」と一言つぶやくと、そこからデジタルな音像が特徴的な「幸せについて」へ。どこか悲観的な歌詞を大橋が繊細な歌唱で視聴者に届ける。
アコースティックギターに持ち変え、短めのMCタイムに入る。「こんな素敵な、すごく豪華なセットの中で生配信ライブを初めてやるんですけど、すごく楽しくなりそうな予感がしております」「今日は僕のライブを初めて観る方もたくさんいらっしゃると思うので、そういう人が少しでも興味を持ってくれる夜になったらいいなと思ってます」と改めて挨拶と意気込みを語ると、「By Your Side」が始まる。シンセが際立つ曲調に思わず目を閉じて浸りたくなってしまう。
続いて披露されたのは、TikTokでも話題となっている 「常緑」。やはりこの楽曲の知名度は特に高いようで、演奏が始まってからのコメント欄はどんどん熱量を増していった。バンドサウンドで奏でられるこの曲は暖かく、ジャムセッションのような雰囲気で演奏しているメンバーの姿からは“音楽の楽しさ”が伝わってきた。
メンバー紹介を経て、初披露の新曲 「嫌でもね」へ。本人の 「悲しいけど踊れるような曲」という紹介の通り、切なさとダンサブルさが共存している。「嫌でもね」と 「いや、でもね」を掛けていたり、方言が登場する遊び心のある歌詞も印象的なこの曲が、4月29日にユニバーサルミュージック移籍第1弾の配信シングルとなることがライブ終了後に発表された。
ラストに披露されたのは「沈黙の少年」。切なくも人間味に溢れている歌詞は直接聴くもの心に訴えかけてくる。コメント欄でも感動を綴る視聴者が多く見受けられた。楽曲の終盤へ向かうにつれてサウンドの“バンド感”がより増していき、最後は余韻を残すような形でこの日のライブの幕を下ろした。
Text: Haruki Saito
Photo: Masanori Naruse