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コモン 『ノーバディーズ・スマイリング』インタビュー

コモン インタビュー

 1992年に『キャン・アイ・ボロー・ア・ダラー?』でデビューし、これまでに数々の名盤をリリースしてきた孤高のリリシスト/ラッパーのコモン。カニエ・ウェストとともに制作した2005年にリリースの『BE』では、4つのグラミー賞にノミネート、2007年には再びカニエとタッグを組んだ『ファインディング・フォーエヴァー』で、米ビルボード・アルバム・チャートで1位に輝いた。そんな彼の名をアメリカのヒップホップ史に刻んだ代表作『リザレクション』から20年となる今年、デフジャム傘下で旧友No I.Dが主宰する<ARTium Records>から最新作『ノーバディーズ・スマイリング』をリリースした。デイヴ・シャペルが企画したドキュメンタリー作品『ブロック・パーティ』をはじめ、『アメリカン・ギャングスター』、『ウォンテッド』など近年では俳優としても活動しているコモンに話を訊いた。

グレイトな音楽を作って、ドープであり続けたいが、
たまには楽しんで、深く考えないことがドープなのさ

I Used To Love H.E.R
▲ 「I Used To Love H.E.R」MV

??最新作『ノーバディーズ・スマイリング』の制作に入る際に、今年『リザレクション』がリリースから20周年を迎えることを認識していましたか?

コモン:最新作の制作に入る時、頭にあったのはフレッシュなサウンドを作ることだ。だから、『リザレクション』にこだわってはいなかったし、むしろ頭にもなかった。今年に入って、94年代のヒップホップや『レザレクション』について話し合い始めた時に、自然と形になっていった。でもこれは新たなサウンドを持ったコモンのアルバムだ。俺は、“現在”を生きることを信念としているから、色々なことを過去と結びつけようとはしてない。人は憶えてないだろうし、今更昔やったことで食って行こうとは思ない。

??とはいえ、最近シカゴではストリートっぽい話題が多いので、『リザレクション』について話すのにもいい機会だと思います。ミュージック・ビデオでも、表向きにオマージュしていましたし。その面について知っている人も少ないですよね。

コモン:俺はシカゴのサウスサイドで生まれ育った。母は先生で、インディペンデントな強い女性だったけど、そのうち義父ができた。別に貧しくはなかったけれど、近所だったから低所得者が多い“フッド”で育った。サウスサイドだと、近所だから。87thストリートでもそうだ。ギャング抗争、ドラッグ、家庭崩壊、そういうのを体験してきたから、その道を進むことも可能だったと思う。でも人生で何かを成し遂げたいと思っていた。それが何かが分からなかったが、誰かになりたいのは確かだった。

They Say
▲ 「They Say w/ Kanye West」(Live)

??J・ディラ、ザ・ルーツ、カニエ・ウェスト、DJプレミア、ザ・ネプチューンズ、ウィル・アイ・アム、そして今回またNo I.Dを起用し、ヒップホップ界の重鎮プロデューサーとはほとんどタッグを組んでますよね。

コモン:ドクター・ドレーとティンバランド以外、全員な。彼らから学んだことは今も活かされてる。No I.Dはミュージシャンだから、音楽をきちんと作ることを学んだ。何故をこれをやっているか、その目的を思い出させてくれる。彼の課題はヒップホップ文化で、それに忠実にあり続け、どのように良くしていくかなんだ。会話をすると、その都度その都度、リマインダーになるんだ。「ヘイ、マン。ラジオっていうのはこういうもので、ホワイト・ハウスに行ったことだって知ってる。それはそれでクールだけど、お前はヒップホップの人間で、この目的の為にやってるんだ。」って言う風に。
 J・ディラは、とても音楽に忠実で、相手がジェイ・Zだろう構わなかった。一緒にビートを作りたいと思ったら、そうする。したくなかったら、しない。常に音楽を作っていた。アートとゲトーの感性を兼ね備えている初めて出会った人物だった。アートっぽくなろうとしている偽りのアートではなく。ジャズをサンプリングするけれども、ストリップ・クラブへも行く。チェーンをぶら下げて、エスカレードで迎えに来るけど、車内ではダフト・パンクを流してた。2つの世界の融合させていたんだ。

??これまでにアルバムをリリースしてきたレーベルからはきちんとしたバックアップを得られていなかった印象がありましたが、No I.D.の<ARTium Records>へ移籍し、彼がアルバムのプロデュースを務めたことによる変化は?

コモン:ビジネスだ、っていうのは変わらない。彼は会社の重役でもあるから、色々な顔を持たなければならない。彼のレーベルに所属しているけれど、彼はデフジャムに対しても責任がある。今まではレーベルを見て、「こいつは部外者だ。」と思っていたけれど、中に知り合いがいることで、より情報が得られる。頭を使った論法を行うこともできるし、ビジネスを円滑に進めることができる。レコード会社の中の事情を知っていて、「ヘイ。賢明に物事を進めよう。レーベルだけじゃなくて、君の為にも。」言ってくれる人がいる。

Kingdom (Explicit) ft. Vince Staples
▲ 「Kingdom (Explicit) ft. Vince Staples」MV

??契約はどのように現実化したのですか?

コモン:時間と共に進んでいった感じだね。一緒に音楽は作っていたけれど、契約はしてなかった。まだどこに当てはまるか定かじゃなかった。ある意味、俺は音楽業界の一員でないと感じてきた。<ARTium Records>に所属したいとはずっと思っていたけど、どうなるかわからなかった。そんな時にNo I.D.が突然やってきたんだ。俺の誕生日の3月で、「お前のために契約書を持ってきた。」って。まるで誕生日プレゼントのようで、「マジかよ!」って返事したよ。

??このアルバムの制作中に映画の撮影などはあったのですか?

コモン:今回自分がひとつやったことで、認識しないといけないのは、集中してたってことだ。とても小さなシーン以外、映画はやってない。オファーは受けなかった。どんどん曲が出来上がっていったし、曲を書くペースもいつもより早かった。10~15分以上かかったビートはひとつもなかったと思う。ループを聴きながら、彼に「これいいじゃん」と言われたら、曲を書きに行った。

??ヒップホップ界は競争が激しいですが、曲を書く時にその認識はありましたか?まだ自分にも価値があると証明しなければならないと思ったり?

コモン:一緒にラップする奴らといると、誰とでもそう思うよ―いつだって自分がベストでありたい。でもおかしなことに、このアルバムを制作する上で、「何を証明する必要があるんだ?」って悟った。グレイトな音楽を作って、ドープであり続けたいが、たまには楽しんで、深く考えないことがドープなのさ。

Q&A by Paul Cantor / 2014年7月29日 Billboard.com掲載

"Diamonds (Explicit) ft. Big Sean" Music Video

コモン「ノーバディーズ・スマイリング」

ノーバディーズ・スマイリング

2014/08/06 RELEASE
UICD-6211 ¥ 2,695(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.ザ・ネイバーフッド feat.リル・ハーブ&コケイン80s
  2. 02.ノー・フィアー
  3. 03.ダイアモンズ feat.ビッグ・ショーン
  4. 04.ブラック・マジック feat.ジェネイ・アイコ
  5. 05.スピーク・マイ・ピース
  6. 06.ハッスル・ハーダー feat.スノー・アレグラ&ドゥリージー
  7. 07.ノーバディーズ・スマイリング feat.マリク・ユセフ
  8. 08.リアル feat.イライジャ・ブレイク
  9. 09.キングダム feat.ヴィンス・ステイプルズ
  10. 10.リワインド・ザット
  11. 11.アウト・オン・ボンド feat.ヴィンス・ステイプルズ
  12. 12.7 デッドリー・シンズ
  13. 13.ヤング・ハーツ・ラン・フリー feat.コケイン80s
  14. 14.シティ・トゥ・シティ (ボーナス・トラック)

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