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大橋純子『LIVE LIFE』インタビュー
40年経って、ココに来て体を張るみたいな(笑)
??とにかく、こんなに凄いライブをずっと続けていらっしゃったのかと驚かされるアルバムでした。
大橋純子:ライブ・アルバムを出したことがなかったというのもあったけど、今回はホントにやってみて良かったなと思います。今回のレコーディングに参加している7人のメンバーで20年近くライブを一緒にやってきて、その集大成というのもアリだなと思ったし、すごくライブ感のあるアルバムを作ってみたかった。それと私としては“シティ・ポップス”という(自分の音楽の)基盤も出したかったし、これまでにやってきた振り幅の広い音楽を今ならまだどれでもちゃんと歌えるというのもありました。
で、ここまでバンドでライブを続けてきて出来上がっているモノを形にしたいと取りかかってみると、思っていた以上に手応えのある作品に仕上がって。私のというよりも、メンバーひとりひとりのイイところがすごくよく出ていて、そこは私も驚きました(笑)。もちろん今までもいいプレイヤーだとは思っていたけど、改めてホントに凄いんだねというのがよくわかりましたね。
??大橋さんのボーカルのパワフルさも強力ですが、バンドのメンバーの皆さんが遠慮なく好プレイを連発されていて。キャリア豊かなベテランの方々が、全力で弾きまくっているスリリングさに満ちています。
大橋純子:ここ10年くらいに作ったアルバムにも今回のメンバーに参加してもらったりはしていたけど、どちらかと言うと譜面通りに弾いてもらうような感じだったので、今回のように“いいプレイ”が出るようなものではなかったですね。というよりも、今回のようにバンドが“せーの!”で録音するというやり方自体が、美乃家セントラル・ステイション時代の最後のアルバムの『HOT LIFE』(1980年)以来のことでしたから。だから、実は最初はちゃんといいものに仕上がるだろうかと不安もありましたよ。演奏も普段のライブでやってきたまんまをやるわけですから。でも、レコーディングは5日間で1日に3曲くらいを目処に録っていったんですけど、だんだん“いいじゃない!”となってきて。ただ、歌もコーラスも演奏と一緒に録りますから、多少は歌が荒っぽくなったりするところは目を瞑って、この緊迫感とライブ感のある中でいいノリのテイクをみんなで選んでいきました。
??デビュー40周年で代表曲をセルフ・リメイクした作品となると、通常はもっと落ち着いた感じのサウンドになるものですが、このアルバムはいい意味で正反対ですね(笑)
大橋純子:そうだね、みんなキチンとキレイにね。でも、今回の私は“キレイ”は置いておいて、ボコボコしていてイビツでもいいんだからライブ感、臨場感、ダイナミクスを一番大事にしたいと思っていましたね。40年経って、ココに来て体を張るみたいな(笑)
??いや、でも、このアルバムで聴くことができる、70年代に録音された秘蔵ライブ・テイクかと思うような熱さと、キャリアを重ねてきた実力派ぞろいのバンドだからこその説得力が同居したサウンドは、なかなか誰でも出来るものではないと思います。
大橋純子:私も年を重ねたし、今のバンドにも美乃家~の時代のオリジナル録音に参加したメンバーもいるんですけど、当時と同じようにやったとしても、ビート感やフレーズの出し方はまた違ったものになっていて。ココに来てこうやって録音したことは、私だけじゃなくて他のメンバーにとっても感慨深いことだったんだと思います。
レコーディングを終えたものってそんなに何度も聴き直したりしないですけど、みんな今でもしょっちゅう聴いていると言っていますから。自分たちでやっているものだけど、聴いていて楽しいからって。だから、それほどにいい仕上がりだったんだろうなと思います。自分のプレイに溺れるとかではなくて、この中の自分を聴いて発見するところとかがあるんだろうね、きっと。
??バンドのメンバーのみなさんにとってもこれまでの活動の集大成的な作品になりえたというか。そもそも、ここでスタジオ・ライブ・アルバムを録ろうというキッカケになったことなどはあったんですか?
大橋純子:ちょうどポール・マッカートニーがスタジオ・ライブという形態でスタンダード・ナンバーのアルバムを出したのを聴いた時に、ライブ・アルバムでもスタジオでというのはいいなと思いましたね。で、やっぱりそこで一番出したかったのは今の私で、一緒にやってきたメンバーも等身大の自分たちを出す機会がなかなかないだろうと思っていたので、こういうことをやろうと思っていると話すととても喜んでくれて。スケジュールはちょっとキツくなるけどやろうと録ったのが、今回のアルバムですね。だから、みんな気合いが入っていましたよ。
あとは、今回は自分たちの集大成みたいなアルバムだから、外のミュージシャンは入れないで作ろうということで、2曲だけはストリングスが入っていますけれど、こちらも別の編成でやる時のライブ・ヴァージョンなんです。それで今回のようなアルバムが作れたのは私にとっては誇りだし、バンドのメンバーたちも今の自分の音とプレイを出せたことで喜んでくれたと思います。
??そして、この濃密なライブ・アルバムを引っさげての7/30(水)・31(木)のビルボード・ライブ大阪の2days、続く8/5(火)のビルボードライブ東京は、もちろんレコーディングと同じメンバーで、これまで以上に強力なセットとなりそうですね。
大橋純子:いつもそう言ってますけど、今回こそは正真正銘の体力勝負なライブになりそうです。1セットが70分なので全曲はできないですけれど、2~3曲が欠けるくらいでアルバムに収録した曲はほとんどやろうと思っています。
ライブライフ
2014/06/18 RELEASE
VPCC-81806 ¥ 3,300(税込)
Disc01
- 01.WELCOME TO MUSIC LAND -2014-
- 02.SOUL TRAIN まっしぐら -2014-
- 03.クリスタル・シティー -2014-
- 04.SMILE AGAIN -2014-
- 05.眠れないダイヤモンド -2014-
- 06.鍵はかえして! -2014-
- 07.ビューティフル・ミー -2014-
- 08.たそがれマイ・ラブ -2014-
- 09.シルエット・ロマンス -2014-
- 10.サファリ・ナイト -2014-
- 11.ペイパー・ムーン -2014-
- 12.愛は時を越えて -2014-
- 13.シンプル・ラブ -2014-
- 14.RAINBOW
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