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スウィング・アウト・シスター特集
80年代以降のUK発オシャレ・サウンド。そんな代名詞が似合うアーティストといえば、どんなアーティストが思い浮かぶだろう。シャーデー、スタイル・カウンシル、インコグニート、マット・ビアンコ、ワークシャイ、エヴリシング・バット・ザ・ガール、etc。今も現役で、音楽的にもぶれずに第一線を歩んでいるグループといえば、やはりスウィング・アウト・シスターの名を真っ先に挙げたい。ソフトロックからジャジー・ソウルまでサウンドの振り幅は大きいが、独自の美学は結成して30年たった今も不変だ。
スウィング・アウト・シスターは、1984年にマンチェスターで誕生した。様々なバンドで活動していたキーボードのアンディ・コーネルとドラムのマーティン・ジャクソンの二人に、もともとファッション・デザイナーやモデルとして活動していたコリーン・ドリュリーがヴォーカリストとして参加することで、正式にトリオ編成でスタートする。一風変わったグループ名の由来は、1945年のアメリカ映画『Swing Out, Sister』から取られたそうだ。
グループとしてまとまったスウィング・アウト・シスターは、新鮮なサウンドが認められてマーキュリーと契約。ポール・オードフィーをプロデューサーに迎えてレコーディングに入り、1985年にシングル「Blue Mood」でレコード・デビューを果たした。当時はそれほど話題にもならなかったが、翌年に発表した2ndシングル「Breakout」がいきなり大ヒット。UKのチャートでは4位、USでもBillboard Hot 100で6位まで上昇し、一気にブレイクした。続く「Surrender」もUKで7位を記録し、1987年には待望のファースト・アルバム『It's Better To Travel』を発表。ジャジーでファッショナブルなエレクトロ・サウンドが散りばめられた本作は、UKでついに首位を獲得しただけでなく、日本も含め全世界で大ヒット。グラミー賞にノミネートされるなど、一躍最先端アーティストとしての地位を築いた。
勢いに乗ってセカンド・アルバムのレコーディングに着手するが、ドラマーのマーティンが音楽性の相違によって制作中に脱退。その後はアンディとコリーンのデュオ編成となる。そして、1989年に発表されたのが『Kaleidoscope World』だ。映画『華麗なる賭け』へのオマージュともいえる先行シングル「You On My Mind」のビデオクリップに象徴されるように、往年のソウルやソフトロック、サウンドトラックなどを彷彿とさせるレトロなサウンドでコーティングされている。ジミー・ウェッブがオーケストラ・アレンジを手がけたことでも話題になった。ちょうど、日本でも渋谷系の黎明期ということもあり、ピチカート・ファイヴを始め、多くのミュージシャンに影響を与えたことも大きい。
▲ 「Am I The Same Girl?」 (Live)
大規模なワールドツアーや、リミックス作品などのリリースを行った後、3年のブランクを経てサード・アルバム『Get in Touch With Yourself』(1992年)を発表。バーバラ・アクリンやヤング・ホルト・リミテッドのヴァージョンでも知られる「Am I The Same Girl?」のカヴァーのようにソウルフルなテイストを強調するだけでなく、ディスコ・ビートなども積極的に取り入れ、ボトムの太いダンス・ミュージック・アルバムに仕上げた。本作もUKや日本など多くの国でヒットし、彼らの代表作に数えられる一枚となっている。
来日公演情報
【Swing Out Sister
Billboard Live Japan Tour 2014】
ビルボードライブ東京:2014/9/1(月)~9/3(水)
>>公演詳細はこちら
ビルボードライブ大阪:2014/9/5(金)~9/6(土), 9/8(月)
>>公演詳細はこちら
INFO: www.billboard-live.com
EXシアター スペシャルライブ】
EXシアター六本木:2014/9/10(水)
>>公演詳細はこちら
INFO: www.tv-asahi.co.jp/ex-theater
関連リンク
Text: 栗本斉
▲ 「La-La (Means I Love You)」 (Live)
欧米ではこのあたりからセールス的に低迷することになるが、アルバム自体は常に意欲作を作り続けてきた。1993年には、初のライヴ・アルバム『Live At The Jazz Cafe』をリリース。翌1994年に発表した4枚目のアルバム『The Living Return』では、それまでのポール・オードフィーに代わってレイ・ヘイデンがプロデュース。ジャジーでクールな世界観を前面に押し出し、映画『フォー・ウェディング』にも使われたデルフォニクスの名曲カヴァー「La-La (Means I Love You)」というキラー・チューンも生み出した。
▲ 「Now You're Not Here」 (Live)
そして、日本での人気をさらに決定付けたのが、1996年にリリースされたシングル「Now You're Not Here」だ。この曲はテレビドラマ『真昼の月』に起用され、日本だけで30万枚を超える大ヒットを記録。日本ゴールドディスク大賞も獲得した。そして、この曲を含む5枚目のアルバム『Shapes And Patterns』(1997年)は日本先行発売され、こちらも大ヒット。プロデューサーにポール・オードフィーが復活し、屋敷豪太も参加。恒例のカヴァーではローラ・ニーロの「Stoned Soul Picnic」を取り上げるなど、全体的にソフトロック的なテイストが戻ったことで、『Kaleidoscope World』あたりのサウンドに反応したファンへもアピールする作品となった。
その後もグループとして、順調に活動を継続していく。1999年には日本のみで6枚目のアルバム『Filth And Dreams』を発表。ひんやりとした質感を持って、これまで以上にシンプルなサウンドに向かった。2001年にはフランス録音した7枚目のアルバム『Somewhere Deep In The Night』をリリース。再びソフトロックやサウンドトラックなどのレトロなテイストを導入し、華麗なオーケストラ・サウンドが印象深いポップ作に仕上げている。この時期にはジャズ・シンガーakikoのプロデュースを手がけ、ますます日本との親密な関係を築き上げた。ロジャー・ニコルスやハービー・マンをサンプリングするなどソフトロック路線をさらに突き進んだ8作目『Where Our Love Grows』(2004年)、久々にソウル色を強めた現時点での最新オリジナル・アルバム『Beautiful Mess』(2008年)、映像も付属したセルフ・カヴァー・アルバム『Private View』(2010年)と、コンスタントにアルバムを作り続けているところはさすがだ。
▲ 「Forever Blue」 (Hoxton Studio Rehearsals)
もはや定番となったスウィング・アウト・シスターの、ジャジーでソウルフルでソフトなサウンド。アルバムによって変化はあるが、デビュー以来一貫して洗練された世界を作り続けている。また、来日公演を含めて精力的にライヴ活動も行い、あの世界観を生で体感できるのも嬉しいところ。今夏も予定されているビルボードライブ公演で、ぜひオシャレな時間と空間を楽しんでもらいたい。
S.O.Sから来日公演へ向けたビデオ・メッセージが到着!
来日公演情報
【Swing Out Sister
Billboard Live Japan Tour 2014】
ビルボードライブ東京:2014/9/1(月)~9/3(水)
>>公演詳細はこちら
ビルボードライブ大阪:2014/9/5(金)~9/6(土), 9/8(月)
>>公演詳細はこちら
INFO: www.billboard-live.com
EXシアター スペシャルライブ】
EXシアター六本木:2014/9/10(水)
>>公演詳細はこちら
INFO: www.tv-asahi.co.jp/ex-theater
関連リンク
Text: 栗本斉
スウィング・アウト・シスター<結成30周年記念ベスト>
2014/08/27 RELEASE
UICY-15337 ¥ 2,750(税込)
Disc01
- 01.ブレイクアウト
- 02.サレンダー
- 03.トワイライト・ワールド (スパーブ・スパーブ・ミックス)
- 04.フールド・バイ・ア・スマイル
- 05.ホエア・イン・ザ・ワールド
- 06.ウェイティング・ゲーム
- 07.ユー・オン・マイ・マインド
- 08.ラ・ラ・ミーンズ・アイ・ラヴ・ユー
- 09.セイム・ガール
- 10.ノットゴナチェンジ (フランキー・ナックルズ・クラシック・クラブ・ミックス)
- 11.プレシャス・ワーズ
- 12.ヘヴン・オンリー・ノウズ
- 13.ウォーターズ・オブ・マーチ (ウィズakiko) (シングル・エディット)
- 14.サムウェア・ディープ・イン・ザ・ナイト
- 15.フォーエヴァー・ブルー (ビッグ・バンド・ヴァージョン)
- 16.ラヴ・ウォント・レット・ユー・ダウン
- 17.風のささやき
- 18.あなたにいてほしい (オリジナル・シングル・ミックス) (日本盤ボーナス・トラック)
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