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片平里菜 『Oh JANE / あなた』インタビュー

片平里菜 『Oh JANE / あなた』 インタビュー

 亀田誠治プロデュースの痛快なロックナンバーで、フルーツを食べまくるミュージックビデオも話題の「Oh JANE」と、映画『ライヴ』の主題歌となっている「あなた」を収めた両A面シングルがいよいよリリース。今回のインタビューでは、今作についてはもちろん、初の海外ライブに初のワンマンツアー、地元・福島との関係性、さらにはこの先に控えているであろう1stアルバムについても話を伺った。

東京にだけ居たら……多分、歌っている意味が分からなくなる

片平里菜 「Oh JANE」 Music Video
▲片平里菜 「Oh JANE」 Music Video

--どうでしたか? 初の海外ライブ(世界最大の楽器トレードショウ【the NAMM show 2014】)は。

片平里菜:海外ライブは……このタイミングでアメリカに行けて良かったなって思います。演奏中はかなり緊張していて、最初はなかなか思うように歌えなかったりもしたんですけど(笑)。でも「あ、違うな。こんなに気負う必要ないな」って気付いて、自分なりに楽しんで歌うことができました。

--そもそもどんな心持ちで臨んだ海外ライブだったんでしょう?

片平里菜:刺激をもらいに行った感じですかね。前日に下見に行ったんですけど、そこで地元のアーティストさんの演奏を観たりして、レベルの高さに驚いたりもしました。

--前回のインタビューで「めちゃくちゃブーイング受けるかもしれないし……でもそれはそれで知りたいというか、自分の実力を知りたい。」と仰っていましたが、そこはどうだったの?

片平里菜:耳の肥えた方ばかりだったと思うんですけど、本当に真剣に観て下さいました。終わった後にスタッフさんや媒体の方から「みんな、すごく「良いね」って言ってたよ」という話を聞けたので、それは嬉しかったですね。ただ、また次に行く機会があったら、反応をもっとちゃんと体感できたらいいなって思います。

--行く末は海外でも精力的に活動したいと思ったりする?

片平里菜:そうですね。海外でも歌えたらいいですけど、どちらかと言うと、私はプライベートで行きたい感じですかね(笑)。「片平里菜、海外進出!」っていう感じじゃなくて、なんかフラーっと遊びに行って、たまたま見つけたバーで歌ったりとか、そういうのが良いなって思います。

--片平里菜って全編英語詞の曲とかってないの? ストックの中に。

片平里菜:ないですね。英語詞の曲は好きなんですけど、それを英語ペラペラの人がやるならともかく、英語詞の書き方もよく分からないで、中途半端な英語詞にはしたくないので(笑)。だから今のところは作らない予定です。誰かに日本語詞を英語詞に訳してもらうのもなんか違うなって思いますし。だから今は英語の曲に挑戦するにしても、カバーとかでいいのかなって。

--また、日本での初のワンマンツアー【片平里菜 1stワンマンツアー2014“女の子は泣け、笑え、叫べ”】は、自身にとってどんなツアーになりました?

片平里菜:ある意味、今までの活動の一区切り。初めてのワンマンでしたし、自分の今いる位置とかも確認できたし、お客さんに対して「こんなに集まってくれるんだ!」っていう安心感もありましたし、あとは「まだまだやれるな」っていう想いがありました。

--「まだまだやれるな」っていうのは、具体的に言うと?

片平里菜:あの時点で私自身が未熟だったのもありますし、お客さんの反応を観てて「もうちょっと距離を縮めることができるかな」って。

--これまでのイメージを凌駕するヒリヒリした未発表曲も歌っていましたよね。「最高の仕打ち」。あれはどんな背景や想いがあって生まれた曲なの?

片平里菜:自分の胸にいつもある想いというか、結構考えていることで。何が一番“最高の仕打ち”なのかって考えた……いや、そんな怖いことは考えないですけど(笑)、誰かに何かをされたときにそのまま同じことをやり返すんじゃなくて、相手に弱ってる姿とか可哀想な姿を見せるのでもなく、輝いている姿を見せるのが一番良いなと思って。ずっと曲にしたいテーマだったんですよ。すごく美しいなと思って。

--あの曲は今後リリースされないんですか?

片平里菜:どうだろう? まさか今回「最高の仕打ち」について質問されると思っていなかったので、どう答えていいか分からないんですけど(笑)。

--では、もしリリースすることになったらまた詳しく聞かせて下さい。あと、渋谷WWW公演の終盤では「皆さんに東北、被災地にもぜひ遊びに来てもらいたいなって思ってます。あったかさとか優しさとかすごく持った方ばかりなので、機会があれば遊びに来てもらいたいなって思ってます」と仰っていました。あれはどうしても伝えたかった?

片平里菜:そうですね。今、東北に来たら絶対得るものがあると思うし、いろんな人に来てほしいなって。本当にもてなし方が半端ないんですよ、東北の人って。初対面でも「あれ食べな、これ食べな」って、全然モノがなくてもいろいろ出して下さったりとか、分け与えてくれたりとかするので、そういう温かさとかはいっぱい持ち帰れるんじゃないかなって。

--片平さんにとって地元はどんな場所なの?

片平里菜:好きなところもたくさんあるんですけど、当然のように嫌なところもたくさんある。でも何よりやっぱり地元なので、愛郷心、地元を愛する気持ちは根底にあるので。あと、今はやっぱりいろいろ考えさせられる場所でもあるんですけど、そういう話を地元に帰るとできたりするので、それはほっとします。地に足がついている感じがして。東京にだけ居たら……多分、歌っている意味が分からなくなる。自分の為にしか歌ってない感じがしちゃうし。

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--では、「地元の良さをもっと届けていきたい」とか「地元の為にも頑張りたい」みたいな気持ちがあって音楽をやってるところもある?

片平里菜:うん。でもそれがメインではないです。それもある。

--かつての「売れないと意味がない」という発言の背景には、それもある?

片平里菜:そうですね。まぁでも「地元の為に」っていつも想っている訳ではないですね。そういう立ち位置にはなっていますけど、それを目指すというよりは、自然とそうなることを望んでいます。自分の為に歌っていたら、それが自然と地元にも繋がったら良いなって。

--いつか片平里菜主催のフェスとか、大きいイベントを地元でやれたらいいですね。それこそ好きなアーティストばかり集めて。

片平里菜:フェスですか。フェスって出来ちゃうもんなんですよね。簡単ではないでしょうけど。ただ、やるならちゃんと意味を持ってやりたいです。……これから考えよう(笑)。

--それだけの影響力を持つ為にも、片平里菜の音楽を世に広めることは不可欠だと思うんですが、その為の大きな一歩。今作『Oh JANE/あなた』は、自身ではどんな印象や感想を持たれていますか?

片平里菜:前作『女の子は泣かない』よりもひとつ大人になった女性像なのかなって思っています。あとは、毎回そうですけど、いろんな楽曲。バラエティーに富んだシングルになってると思います。

--「Oh JANE」のMVでは、大量のフルーツやけ食いに挑戦しています。やってみていかがでした?

片平里菜:面白かったです。なかなかイチゴをあんな贅沢に食べる人はいませんからね。画的にもかなり……(笑)。でもそれぐらい吹っ切れた曲だし、映像も吹っ切れたものになるといいなと思っていました。実際、仕上がりを観たら格好良い映像になっていて、なおかつひとつのストーリーになっていて、多分、観終わったらもう一回再生したくなる感じなんじゃないかな。中毒性のあるものになったと思います。

--また、同曲のアレンジは、亀田誠治さんがアレンジャーを務めています。ご一緒してみていかがでした?

片平里菜:本当に気さくな方でした。やっぱりやりやすかったですね。歌録りもサクサクと伸びやかに録れて。女性アーティストの楽曲をたくさん手掛けてきた方なので、さすがだなって思いました。楽曲もひとつひとつの楽器が鬩ぎ合っていて、その楽器だけ追って聴いても楽しいぐらいで、飽きないんですよ。サビがしっかりしててJ-POPの要素もちゃんとあるし、だけど洋楽っぽさもある。亀田さんと出逢えてよかったです。

--歌詞はどんなイメージを膨らませて書いていったの?

片平里菜:元々こういう歌詞を書こうと思っていた訳じゃなかったんですけど、コードに乗せてたまたま浮かんできたフレーズが「たまには乱れてみたい」とか「いつでもちやほやされたい」だったりして(笑)。歌ってみたらなかなか面白いぞ!と思って、そこからどんどん書き進めていったら結構つるっと出来上がってしまったもので、レコーディングも構成とかメロディーとか全部このまんまでした。

--この歌詞を見て、片平里菜はJ-POPの歌詞を書くのが面白くなってるんだろうなと感じました。言葉のチョイスにおける思い切りのよさを感じる。

片平里菜:ありがとうございます! たしかにそうかもしれないですね。この曲は何の制限もかけずに、そのままガァーって書いてしまったので、「こんな表現していいのかな?」みたいなところも結構あるんですけど(笑)、面白いっていうことで済ませておこうかなって。

--そういう歌詞ですよね。だって、片平里菜が「お酒に溺れてみたい」ってなかなか衝撃ですからね(笑)。

片平里菜:本当ですか?

--あれ? まだお酒呑める年齢じゃないですよね?

片平里菜:21歳ですよー!

--あ、呑んでいいのか。実際「お酒に溺れてみたい」と……

片平里菜:うぅー……まだ10代だったんですか!? 平賀さんの中では!

一同:(笑)

--いや、ずっと10代のイメージがあって……デビュー前から追いかけてるのに、本当に申し訳ない!

片平里菜:もう(笑)!

--お酒を呑むイメージがなかったもんで……。で、実際「お酒に溺れてみたい」と思うこともある?

片平里菜:常に思いますよ。

--(笑)

片平里菜:Aメロの歌詞は常に思ってることですね。でもちゃんと自制はしています。酔っ払ってもちょっとよく喋るぐらいですし。すぐに酔ってしまうんですけど(笑)。

--「始まりに」や「夏の夜」とは違う感覚で書いてますよね。この歌詞って。

片平里菜:全然違う感覚で書きましたね。「Oh JANE」を書いてる最中とかは、自分の持ってる感性を頼りに言葉を選んでいったりしてるんですけど、書き終わってからバランスを考えて「違う言葉だな」って変えたりする。

--職人感覚が出てきた?

片平里菜:職人感覚って言うのかな(笑)?

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忘れたくない気持ちがいっぱい詰まっている

片平里菜「夏の夜」Music Video
▲片平里菜「夏の夜」Music Video

--「始まりに」や「夏の夜」は、片平里菜の内面から滲み出てしまったものそのままですよね。でも「Oh JANE」は“こっちのほうが面白いだろう”とか“こうしたほうが気持ち良いだろう”っていう感覚で言葉を選んでいる。

片平里菜:たしかに職人っぽい!

--そんな「Oh JANE」と両A面の「あなた」。この曲はどんな想いや背景があって生まれたんでしょうか?

片平里菜:この曲はだいぶ前で、震災があってちょっと経ってから書いたものなので、その時期の、失ってからしか気付けない儚さとか……。それを人間らしいとは思うんですけど、改めて「大事なことって何かな?」と考えながら書いていました。

--この曲の「傷つくより 守り抜けないことを怖れたい」というフレーズは、すごく強い言葉ですよね。

片平里菜:これを書いた当時は、18とか19とか、まだ10代でもあったので、やっぱり自己防衛しているところはあって。なるべく自分が傷つかないように生きようとしがちだったんですけど、でもそうすることで「逆に周りを傷つけたりとかしてるんだな」って気付き始めた時期だったんだと思う。

--今歌うとどんな気持ちになったりします?

片平里菜:この頃の自分を受け入れながら歌っている。そういう感覚。

--では、忘れたくない気持ちが「あなた」には込められている?

片平里菜:あ、そうですね。「こんな気持ちあったな」って。本当にその通り。忘れたくない気持ちがいっぱい詰まっている。

--映画『ライヴ』主題歌になっていますが、映画主題歌が決まったこと自体にはどんな感慨を持たれていますか?

片平里菜:この映画の主題歌になるって決まらなかったら、私はこの曲を出していなかったし、この曲とまた向き合うこともなかったと思うので、感謝しています。映画『ライヴ』という作品はとてもユニークだし、衝撃的なところもいっぱいあるんですけど、映画のテーマとしては自分の曲に合っていたので、エンディングでこの曲が流れてきたらホッとしてもらいたいです。

--この映画が「あなた」を呼び戻してくれたというか、表に出させてくれたんですね。

片平里菜:そうですね。CDになるとは思ってなかったです。封印していたので。でも監督さんがこの曲を気に入ってくれたので、世に出すことができました。

--また、今回のシングルも4曲入りとなっています。3曲目「小石は蹴飛ばして」はどんな状況の中で生まれた曲なんでしょう?

片平里菜:ちょっと反社会的な気持ち?「枠にはまるな」とか、ちょっと革命的な感じだったり、そういう自分もどこかにいたりするんで、それがこの曲では全面に出てきた感じですね。ちょっとキャラの濃い片平里菜になってます。あと、ライブでお客さんがノってる姿を思い浮かべながら作りました。「このタイミングで、お客さんがめちゃくちゃにうわぁ!ってなったらいいな」とか(笑)。「今日は全部忘れて楽しもう!」みたいな、関西寄りのバンドっぽいテンションの曲だと思う。

--そして今作の最後を飾るのが「あの場所で偶然」。こちらは“誰と私”の歌だったりするんでしょう?

片平里菜:これは「夏の夜」とか書いた時期に書いていて。初めて渋谷で路上ライブをしたときに来てくれた、初めてのお客さんのことを書いた曲なんです。路上ライブが終わって、地元に帰る夜行バスの駐車場で、Aメロだけ書いてました。

--なんでそれを歌にしようと?

片平里菜:なんでですかね? 可愛いですよね(笑)。

--それだけ嬉しかったんでしょうね。

片平里菜:私、田舎者だったので、東京にひとりでいるっていうのは、ちょっと寂しいところもありましたし。しかも渋谷の駅で路上ライブ。ちょっと怖かったので、初めて聴いてくれた人がいただけでもう……すごく嬉しかった。初心に返れる歌。

--以上、4曲入りのニューシングル『Oh JANE/あなた』。どんな風に響いていってほしいと思いますか?

片平里菜:今回のシングルもいろんな人に聴いてもらいたいし、いろんな人に共感してもらえるんじゃないかなと思ってます。一言でまとめるにはバラバラ過ぎる4曲なんですけど(笑)。本当に今回は作った時期もバラバラだったりするので、そこの違いとか、私の成長とかも楽しんでもらえたらなと思います。

--今回でシングル3作目ですが、そろそろ1stアルバムの発表を期待する人も出てくると思います。この先に待っているであろうアルバムは、どんな作品になったらいいなと思ってますか?

片平里菜:なるべく初期衝動的なものを集めたい。まずは10代の方に刺さるようなアルバムになるんじゃないかなって思ってます。

Music Video

片平里菜「Oh JANE/あなた」

Oh JANE/あなた

2014/04/30 RELEASE
PCCA-4010 ¥ 1,320(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.Oh JANE
  2. 02.あなた
  3. 03.小石は蹴飛ばして
  4. 04.あの場所で偶然

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