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ミシェル・カミロ 来日直前インタビュー

浅野xミシェル・カミロインタビュー

 5月に来日を果たすラテン・ジャズ界の至宝コンビ、ミシェル・カミロ & トマティート。ファン待望のグラミー・コンビによる来日公演を間近に控え、ミシェル・カミロにインタビューを敢行。トマティートとの出会いや『Spain』、『Spain Again』の制作話、自身のバック・グラウンドまで大いに語ってくれた。

トマティートは、とてもユニークで完結したミュージシャンだね。

??まずはじめに、ご自身のバック・グラウンドについて聞かせてください。音楽的影響は家族からおおく受けていると思いますが、子供のころはどんな音楽を聞いていたのですか?

ミシェル・カミロ: 私の家族は音楽的で、一堂に集まると叔父たちがピアノ、ギター、アコーディオン、パーカッションなどを演奏し、ほぼ全員ポピュラー音楽の作曲や演奏をしていたんだ。さらにクラシカル・ピアニストで先生だった叔母もいたし、ブギウギを演奏する叔父までいたよ。幼少期は様々な音楽を聴いて育ち、5歳の時にアコーディオンを演奏することからはじめて、6歳に時に初めての曲(バラード)を作った。9歳になった時に、ピアノが演奏したくて、両親に国立の音楽院へ通わせてほしいと頼み込んだ。ジャズと出会ったのは、従弟のラジオ番組がきっかけで、流れてきたアート・テイタム、ディジー・ガレスピー、チャーリー・パーカー、オスカー・ピーターソン、エロル・ガーナー、デイヴ・ブルーベックなんかの楽曲にとても惹かれたよ。そして16歳の時に、国立交響楽団に史上最年少のメンバーとして選出されたんだ。

??ご自身の人生を変えたアルバムはありますか?

ミシェル・カミロ: 沢山ありすぎるよ。アート・テイタム『Solo Piano Masterpieces』、マイルス・デイヴィス『Kind Of Blue』は外せないね。それからジョン・コルトレーン『Giant Steps』、デイヴ・ブルーベック『Take Five』、オスカー・ピーターソン『Night Train』、ディジー・ガレスピー『Manteca』なんかもそうだね。それにビル・エヴァンス、マッコイ・ タイナー、エロル・ガーナー、チャーリー・パーカー、ハービー・ハンコック、チック・コリアの作品。あとクラシックなところだとバッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパン、リスト、スクリャービン、バルトーク、ラヴェル、デビュシー、サティ、ガーシュウィン、レクオーナ、ラフマニノフもそうだよ。

??トマティートとはいつどういう形で出会ったのですか?

ミシェル・カミロ: 90年代初頭に、ヌーヴォー・フラメンコ・クループ、ケタマのプロデュースと演奏をマドリードのレコーディング・スタジオで行っていて、そこによくトマティートが遊びにきていたから自然と友人になったんだ。そして1997年にバルセロナ・ジャズ・フェスティヴァルに、スペインのハード・ボップ・ピアニスト、故テテ・モントリューのトリビュートととして、フラメンコのミュージシャンと共演することを打診された時に、トマティートを知っていると言ったんだ。全員個々でソロのパフォーマンスを行って、最後に3曲共演するというものだった。観客も演奏を気に入ったみたいで、すごく盛り上がっていたね!会場には各国のジャズ・フェスティヴァルの関係者もいたから、スイスや日本から演奏のオファーを貰ったよ。全部で40ぐらいのコンサートがあったので、いろいろと実験しながらレパートリーを増やしていった。2度目の日本ツアーが終わった1999年に、友人でアカデミー賞受賞歴のあるフェルナンド・トルエバ監督の助けを借りて、コネチカット州スタンフォードのキャリッジ・ハウス・スタジオで『Spain』をレコーディングして、翌年には【ラテン・グラミー賞】を受賞したんだ!

??トマティートの音楽的なスタイルや演奏についてどう思いますか?また彼と『スペイン』を制作するに至った経緯をお聞かせください。

ミシェル・カミロ: トマティートは、とてもユニークで完結したミュージシャンだね。自身の楽器からオリジナルな“声”を発し、彩色豊かなパレットとニュアンスを手に持っていると思うよ。

多分私たちが作った1stアルバム『Spain』をインスパイアしたのは、チック・コリアが『My Spanish Heart』で示したような、ジャズとフラメンコのテクスチャーによる融合の可能性、そしてマイルス・デイヴィスがギル・エヴァンスと制作した『Sketches of Spain』だね。私は幼い頃からフラメンコ・ミュージックの大ファンで、トマティートはビル・エヴァンス、ジョージ・ベンソン、パット・メセニー、ジャンゴ・ラインハルトなどのファンだった。そこでお互いがクリエイティヴ面で貢献できることを見つけるとともに、デュオのみでレコーディング行うことで、少しリスキーに進めたんだ。アコースティック・ピアノとフラメンコ・ギターを効果的に融合し、ユニークで忘れがたいサウンドを生み出すことを探究したよ。そして2005年に2ndアルバム『Spain Again』を制作することになり、スペインの音楽賞【Premio de la Musica】と受賞し、【グラミー賞】で最優秀ジャズ・アルバムにノミネートされたんだ。

??『スペイン』の制作時にもっとも難しかった点はどこですか?

ミシェル・カミロ: 一番難しかったのは、アコースティック・ピアノとフラメンコ・ギターのバランスをきちんととること、そしてお互いが生きるような空間を残すことに細心の注意を払うことだったね。

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  1. 私はいつでも新たな曲には無限の可能性を見い出したいと思っている
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ミシェル・カミロ&トマティート ファン・ルイス・ゲーラ「スペイン・アゲイン +3」

スペイン・アゲイン +3

2009/09/02 RELEASE
UCCM-1179 ¥ 2,619(税込)

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Disc01
  1. 01.想いの届く日
  2. 02.リベルタンゴ (ピアソラに捧ぐ)
  3. 03.フーガと神秘 (ピアソラに捧ぐ)
  4. 04.さらば父よ (ピアソラに捧ぐ)
  5. 05.星影のステラ
  6. 06.トワイライト・グロウ
  7. 07.ア・ロス・ニエトス
  8. 08.昼さがり
  9. 09.ラ・フィエスタ
  10. 10.フロム・ウィズイン
  11. 11.アモール・デ・コヌコ (feat.ファン・ルイス・ゲーラ)
  12. 12.ソレア・ブルース (新規ボーナストラック)
  13. 13.スペイン・イントロ (新規ボーナストラック)
  14. 14.スペイン (新規ボーナストラック)

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