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SOUL'd OUT ラストインタビュー 『To From』
2014年1月30日、SOUL'd OUTの解散が発表された。その1週間前、2003年のメジャーデビューからちょうど11年目にあたる1月22日に彼らはファンクラブ限定ライブを開催し、最後の1曲として、ラストメッセージと呼ぶに相応しい楽曲「Dear My Cru」を披露していた。
そんなライブへの想いを皮切りに、終わりない挑戦と探究、ジャンル、プレイヤー、王道、ヒューマニズムとアート、解散。フロントマンとして常に強烈な存在感を示し続けてきたDiggy-MO'に、ラストアルバムと銘打たれた素晴らしい傑作『To From』について答えてもらった。
あのライブは実質上の解散発表だった
--今年の1月22日、解散発表の直前に開催されたモバイルファンクラブの限定ライブで、最後に今回の新作のラストトラック「Dear My Cru」を披露していました。
Diggy-MO':これは1月22日という日にライブをやることも含めてずっと考えていたことで、みんなとの間に築いてきた大切な物だったり、自分たちが表現してきたコアな部分、核となる部分の示しから外れない楽曲をセットリストに組むことは決めていて。それで「ALIVE」から始まって「Dear My Cru」で終わる形になったんだけど。
やっぱり解散コメントとか、オフィシャリーになるとスクリーンから文字面だけが出てくるわけじゃないですか。そういう物じゃない、俺らから直接伝えることが礼節も含めたスジというか、ルールの中で表明できない代わりに、自分の中で誠意を持ってスジを通せないかをずっと考えてて。ただまあ、あのライブは実質上の解散発表だったよね。わかった人もいただろうし。
--確かに終わった後のファンの表情は様々でしたね。
Diggy-MO':とはいえ平日の最中には足を運べなかった人もいるだろうし、そういう人たちにはウェブ上での発表になってしまったことは、とても心苦しいんだけどね。そこが後手になっちゃったのは。
--ただ、確かに解散というのは大きなトピックなんですが、今回のインタビューでまず訊きたいのはそこではないんですよね。というのもこの『To From』というニューアルバムが、とにかく素晴らしい! いわゆる解散アルバム的な作品ではないじゃないですか。
Diggy-MO':ありがとうございます。
--本作に収録されている楽曲は、解散が決定する前に作られたのでしょうか。それとも決まってから制作されたのでしょうか。
Diggy-MO':どっちもですね。当然、「Dear My Cru」なんかは後になってくるんだけど、「MARTIAN MARTIAN」とか「Sweet Grrl パイセン」とかは意外と(解散が)決定してからなんだよね。
--それが意外じゃないのがDiggy-MO'さんなんですよ。
Diggy-MO':この辺の妙を理解していただけてると、「とはいえ後にも先にも俺という人間は音楽人なんだ」というということを理解されてるのかなって、ありがたい気持ちになるんだよね。
「やっぱりそういうのやるんだね」って言われた
--「Sweet Grrl パイセン」は凄い曲ですよ。タイトルのライトな感じとか、Shinnosukeさんの持っている武器を最大限に使ったキャッチーなテイストがありつつ、音色のひとつひとつがとことんまで突き詰められていて。
Diggy-MO':まぁ、ね……。ありがたいッス(笑)。
▲最優秀レコード賞を受賞したDaft Punk「Get Lucky」
--この曲は、グラミーを5部門制覇したダフト・パンクの『ランダム・アクセス・メモリーズ』や、現在空前のヒットとなっているファレル・ウィリアムス『ガール』に通じるサウンドだとも感じるんですが、たとえばファルセットで歌い切るサビメロなどは、ソロの時の「バンビ」などでもトライしてたましたよね。
Diggy-MO':まさにまさに。でも、今言った2作って本当に良い作品だったよね。
--それらがこの曲に与えた影響はありますか?
Diggy-MO':でもカッティング系のサウンドってSOUL'd OUTは昔からやってるんだよね、ブラックミュージックのカッティングギターの系譜っていうのはずっと。結局、カテゴリの枠をどこかでブレイクしたい、ジャンルとは違う次元で変換、アウトプットしていきたいっていう想いがあるから、最終的にはひとつに収まらずに表現することを楽しくやっているんだけど。
--そういう深みや探究心が音になっているのがSOUL'd OUTの面白い所であり、同時に「何故もっと伝わらないんだ」と憤りを感じる部分でもあるんですよ。
Diggy-MO':アッハッハッハ!
--「もっと気づいて!音楽マニア!」って毎回思うんですよ。
Diggy-MO':「何故もっと伝わらないんだ」って面白いなあ(笑)。
--だって「Sticky 69」を配信リリースするグループって、単純に面白いじゃないですか。これはかつての復活第一弾が「and 7」だったことにも繋がるんですが、日本のトップフィールドでこの曲を推し曲にする面白さ。近年、ジャズとダンスミュージックの融合は珍しくありませんが、最近アメリカ西海岸のトラックメイカーにその辺りを奇妙に融合させている人たちがけっこういて、彼らのサウンドとも通ずる部分があるんですよ。
Diggy-MO':「Sticky 69」はね、本当はプロデュース曲にしようと思ってたんだよね。曲を作る時、最初の段階では何に使うかとかは考えてなくて、後々になって決まっていくんだけど、女の子が歌うと面白いと思ってて、実は。女性の持っているブルーズと合致すると、よりグロくなる(笑)。女の子はさ、なんだかんだその性でさ、生まれながらにブルーズを知ってるじゃないですか。そこに自分の書いた歌詞が合致すると、グロくも生々しい刺激的な楽曲になるかなって。まぁ自分が歌うならこういう風に泳げるっていうイメージも無くは無かったので、結果的にそっちになびいていったというか。
--終盤、ランニングベースのジャズっぽいアプローチが導入されていくアレンジはシビれました。
Diggy-MO':前に「Wardrobe #6」とかで一緒にやってたArs Wizard C-VEのスタジオで、いつも楽曲デモとか打ち込んだり、プリプロのボーカルRECとかやってるんだけど、「やっぱりそういうのやるんだね」って言われた(笑)。まああのままエレクトロで終わってもかっこよくはできるだろうし、よりシャープにできるだろうけど、……思いついちゃったんだよね(笑)。
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リリース情報
To From
- 2014/04/09 RELEASE
- 初回限定盤[SECL-1486/8(CD+DVD)]
- 定価:¥3,780(tax in.)
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関連リンク
Interviewer:杉岡祐樹
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