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THE BACK HORN 『暁のファンファーレ』インタビュー

THE BACK HORN 『暁のファンファーレ』 インタビュー

バンドはいつ終わるか分かんないから、だから出せるときには出す。

 20代のTHE BACK HORNと30代のTHE BACK HORN。ザ・ローリング・ストーンズとTHE BACK HORN。銀杏BOYZとTHE BACK HORN。3.11以前のTHE BACK HORNと3.11以降のTHE BACK HORN。センセーショナルであることとそれより大切なこと。他の誰でもない、過去のどの時代とも違う、今のTHE BACK HORNによるアルバム『暁のファンファーレ』に辿り着くまで。

20代のTHE BACK HORNと30代のTHE BACK HORN。俺たちは今。

THE BACK HORN - ビリーバーズ
▲THE BACK HORN - ビリーバーズ

--4人揃い踏みでお会いするのは、昨年10月31日【THE BACK HORN「KYO-MEIワンマンツアー」~アナザーワールドエクスプレス~】最終公演の終演後以来。4人が「もう35歳だから」と言いながらも子供のように大狂乱していた姿は、今でも僕の大きな力になってます。

一同:(笑)

--ロックバンドやっていく故で年齢を気にしたことってあります?

松田晋二(dr):20代のときはパワーあるし、変化が早い感じもあって、でも常に「今が最高だな」って思っていたりしたんですけど、30代になってからはどうしても20代のエネルギッシュなときへの憧れが強くて、なかなか30代になったことが受け入れられないところもあって……何、ざわついてんの?

山田将司(vo):いや、30代を受け入れられないって凄いなと思って。

松田晋二:いや、本当に悲しみしかなかったんですよ(笑)。でもそういうパワーだけじゃないなと思って。特に音楽、ロックって表面的な爆発とか、表面的な激しさだけじゃないものもしっかり音として出てくるし、無くなったものを探し続けるんじゃなくて、今の俺たちにしか出来ないものをどんどんどんどん見つめていけばいい。

--それこそ27歳になったら死ななきゃいけない的な感覚はなかった?

菅波栄純(g):俺、カート・コバーンとかジミヘンに憧れていたので、そういう願望も仄かにはありましたけど。でももう一方で奥田民生さんが『29』っていうアルバムを出したときに「あ、おっさんって超格好良いな」と思って、ロックやるおっさんへの憧れもあり。なおかつ顔がそもそも老けていたので、早くおっさんになって帳尻合わねぇかなって。だからジミヘンとかが死んだ27歳を超えて、28、29になった頃には一刻も早くおっさんになりたい気持ちはありましたね。

--10年ぐらい前は、どちらかと言うと、いつ誰が死んでもおかしくなさそうな匂いはありましたけど、いつからか生きる方がかっけぇ。必死に人生とサヴァイヴしたい、というのがバンドとしての生き様になりましたよね?

菅波栄純:それは間違いなくあります。続けていくのがかっけぇ。マツ(松田晋二)の青春の話もちょっと分かって。自分でもあんまりよく分かんないぐらい熱くなるっていうか、そういう感覚って20代の頃はやっぱりあった。でもロケットエンジンみたいなものはやっぱりその時期にしか使えない。バーン!って打ち上げられたシャトルじゃないけど、どんどんブースターなんて外れていくもんで。それがある意味、大人になっていくアレじゃないですか。でもそんな時期に「自分には気付けばずっと一緒にやってきた、信頼関係を気付いてこれた人が周りにいる」ってふと気付いて、くさい言い方ですけど、「宝物みたいなものを自分は持ってるんだ」って思うと、なんとなくそういう方向へ切り替わっていく気がします。

THE BACK HORN - シンメトリー
▲THE BACK HORN - シンメトリー

--ただ、ロックファンの中には、その変化をよく思わない人もいますよね。破滅的なものを求める人というか、それこそ「昔のTHE BACK HORNのほうが好きだった」と言う人もいたと思うんですが、そこはどう消化してきたんでしょう?

松田晋二:逆に変わらないものって何なのかを教えてほしい。アルバム一枚ごとでも変わっているし、アプローチや感覚みたいなところも含め、どんどん変わっていけたからこそ作品を世に出せてきたので。自分が好きだった曲やアルバムの感じがずっと続いてほしい気持ちも分かるんですよ。リスナーとしての気持ちでは。でもやっぱり限られた人生の中で、ましてや音楽で表現させてもらっている中で、過去に戻ってそれを再現していく作業ほど罪なものはないって思うんですよね。日々変わっていくものを信じていく信念のもとでは、それは形だけの偽りのもの。CD買ったらケースだけで中身がないのと一緒なんじゃないかなって思う。

--なるほど。

松田晋二:それより「俺たちは今ここが最高なんだよ」っていうのをどう作り続けていくか。それをどういう風にみんなに伝えていけるか。っていうことのほうが、俺は単純に一緒に進んでる感じがする。あと、どっかのタイミングで違う人生を歩んで、またいつか出逢うこともあると思ってて。俺たちが音楽をずっとやっていれば、ひょっとしたら久しぶりに「あ、なんか、今回のTHE BACK HORNのアルバム聴いてみようかな」と思って、「うわ! めちゃくちゃ良い!」ってなるかもしれない。

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ザ・バックホーン「暁のファンファーレ」

暁のファンファーレ

2014/04/09 RELEASE
VICL-64147 ¥ 2,970(税込)

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Disc01
  1. 01.月光
  2. 02.ビリーバーズ
  3. 03.シェイク
  4. 04.バトルイマ
  5. 05.ブランクページ
  6. 06.飛行機雲
  7. 07.サナギ
  8. 08.コワレモノ
  9. 09.エンドレスイマジン
  10. 10.幻日
  11. 11.タソカゲ
  12. 12.シンメトリー
  13. 13.ホログラフ

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