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中島美嘉 『ずっと好きだった~ALL MY COVERS~』インタビュー
なんて温かいところにいたんだろう――― 中島美嘉史上最大の赤裸々インタビュー、解禁。
ひとつのターニングポイント、自身のリアルをさらけ出したアルバム『REAL』発表以降、中島美嘉は大きく変化した。どんな活動に対してもこれまで以上にアクティブだし、スタッフやファンとコミュニケーションを取る姿も楽しそうで、何よりよく笑う。そして今は“一生歌い続けていく”可能性を自分の人生に初めて見出しつつある。
が、そこに至るまでには、引退しようとした彼女を必死に止めてくれた人たちの存在や、一生歌いたいと思わせた中島みゆきやamazarashiとの出逢いがあった。今回は初のカバーアルバム『ずっと好きだった~ALL MY COVERS~』タイミングでのインタビューだが、その話に止まらず、中島美嘉の愛すべき人間性を紐解く内容になっている。
引退撤回「今でも泣きそう」~一生歌っていく可能性「五分五分に」
--アルバム『REAL』リリース以降は、全国ツアーに声優や役者のお仕事もしつつ、 X'masパーティーも実現して今回のカバーアルバムと。明らかによく働いてますよね。
中島美嘉:でも意外とね、楽しく稼動してる(笑)。負担に感じるようなことが少ないのかもしれない。忙しすぎるということもないので、今はすごく楽しく仕事してる。
--中島美嘉は比較的ワーカホリックなのかなと思っていたんですけど。仕事しないと落ち着かないタイプというか。
中島美嘉:そういう状況が多かっただけよ(笑)。でもね、去年、すごく休んでるの。全国ツアー終わってから。ずっと家の中で暮らしてたよ! 寝て、起きて、食べて、寝て、起きて、食べて……っていう。ただ生きてた。
一同:(笑)
--それは全国ツアーで燃え尽きたから、みたいなところもあったんですか?
中島美嘉:それは……そうというか、私は大きいお仕事を一本やらせて頂いたら、そのあとに大きいお休みをもらいたい、っていうのが願い(笑)。だからよっぽどのことがない限り、ツアーの後は休ませてもらっています。
--今はどんなテンションで日々の活動と対峙している感じなんでしょう?
中島美嘉:まぁまぁ忙しくさせてもらってますが……そんなに「もう嫌だ!」ってなるほど追いつめられないので。前は「丸1日働いたら3日は休みたい!」みたいな(笑)ダメダメな時期もあったんですけど、今はやらせてもらえるお仕事は気負わずやっていけてる感じですね。
--2001年の歌手&女優デビューから約14年ぐらい経ちますが……
中島美嘉:やだぁー!
--嫌なの(笑)?
中島美嘉:いや、嫌ではないんですけど……
--その約14年の中で大抵の音楽/芸能活動はしてきたと思うんですけど、ふと「もういいかな」って飽きてしまったり、嫌になってしまうことはないの?
中島美嘉:いっぱいある!
--いっぱいあるんだ?
中島美嘉:いっぱいありますよー。「この仕事してなければ、何ができるかな……」って思うときとかも正直あるし。でもこの仕事がやりたくてもやれない人もいっぱいいるから。っていうことを考えると、すごく有り難い仕事だから。って自分を奮い立たせてる部分もあったりします。
--まぁでも「この仕事してなければ」と仰いましたけど、「丸1日働いたら3日は休みたい」人は他の仕事できないと思います(笑)。
中島美嘉:そ、そうですね。
一同:(爆笑)
中島美嘉:でも多分カツラは被ると思います。
--それでもカツラは被るんですね(笑)。でも嫌になってしまうことがいっぱいあったとしても、どうして「辞める」とか「逃げる」を選ばなかったんだと思いますか?
中島美嘉:正直に言うと、選ぼうとした時もあります。辞める覚悟もして、それをみんなに話したこともあります。「引退」っていう言葉も出たんですけど、……みんなが止めてくれました。だから今がある。
--みんなに止められて「やっぱり私は歌い続ける」ってすぐ思えたんですか?
中島美嘉:いや、迷いましたね。私、一回決めると、もうそれしかダメになっちゃうから。もう辞めるつもりで、すべて自分の中でやり尽くしたんですよね。「これが終わったら辞めるぞ」って決めてから話をして。そしたら偉いスタッフの方たちが私の家まで来て……説得してくれて。そんなことしてくれる人たちっていないでしょ。普通だったらもう「じゃあ、辞めれば?」って言われて仕方ない状況の中、「いや、頑張ろうよ」って言ってくれた人たちが……というか、「辞めてもいいんじゃない?」って言う人がひとりもいなかった。「やっていこうよ」って。みんなが入れ替わり立ち替わり家に来て。私はそのとき家から出たくなかったから。耳も調子悪かったし、塞ぎ込んでたから。でもスタッフたちが家に来て、みんなが「それはちょっと待とうよ!」って言ってくれたことが……すごく、今でもこう……泣きそうなぐらい。
--嬉しかったんですね。
中島美嘉:「なんて温かいところにいたんだろう」って。
--そういう仲間たちがいて、引退を撤回したと。
中島美嘉:「すみません、すみません」って(笑)。
--あと、以前のインタビューでも話していましたが、ファンの存在も大きかったんじゃないですか。
中島美嘉:大きいですね。日本武道館で……あの付近の前後関係はごちゃごちゃしちゃってて、テンパっていたので、あれが引退を考えた後か前かは分からないんですけど、日本武道館にあれだけの人数が、ただ数分間の話を聞く為だけに……来てくれたっていうことが、私は信じられなくて。自分が出来るかって言ったら、どんなに好きでも難しかったりする。でもあの日は私が謝りに行ったはずなのに、ファンに勇気付けられて帰ることになったっていう。(※中島美嘉は、アニバーサリー公演を予定していた日本武道館で、同公演の中止と理由、そして活動休止することをファンに直接伝えた)
--中島美嘉のイベント司会をやらせて頂いて思いましたけど、中島美嘉のファンって熱狂的で温かいし、優しいんですよね。というか、面白い。
中島美嘉:確かに!(笑)。関係性もすごく変わってると思う。近いようで遠いし、遠いようで近い。
--そんなファンや仲間の姿を見て引退撤回し、今も音楽活動を続けている訳ですけれども、結局、中島美嘉はこの仕事が好きで仕方ないんだろうなって。大変なことも多いけど、いろんなことを言う人もいるけど、今やそれすらも含めてこの仕事を楽しめるようになっているんじゃないのかなと。
中島美嘉:そうですね。落ちるところまで落ちたと言うと変ですけど、まぁすごく辛い想いをいっぱいしたんで。あと、これは昔からだけど、何を言われても怖くも何ともないし、気にされてるんだってポジティブに捉えると、言われなくなるほうが嫌かなって。
--なんで何を言われても怖くないんですかね?
中島美嘉:納得してるから、自分で。言い訳はないというか、「だって、好きでやってるんだもん」って云う自信があるから。
--「そんな覚悟はとっくにしてるよ」と言われるかもしれませんが、中島美嘉はきっともう一生この仕事に生きますよね?
中島美嘉:最近、それを五分五分で考え始めてきて。昔は正直言って“一生”はやれる気がしなったんですけど、少し長くやらせてもらって、このまま行くとやることになるのかなぁって。有り難いことなんですけど。もしかしたらやっていけるのかなぁっていう想いと、でも他にやりたいこともあるし……ただ、それは私は年齢を気にしないから、自分がやりたいと思ったときに、例えば両立させてやっていくのか、そっちに行くのか……。だからどうなるのかは分からないけど、五分五分にはなってます。前みたいに「一生はやらない」っていう風には思ってない。
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リリース情報
ずっと好きだった~ALL MY COVERS~
- 2014/03/12 RELEASE
- 初回限定盤[AICL-2653/4(CD+DVD)]
- 定価:¥3,500(tax in.)
- 詳細・購入はこちらから>>
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関連リンク
Interviewer:平賀哲雄
ずっと好きだった ~ALL MY COVERS~
2014/03/12 RELEASE
AICL-2655 ¥ 2,934(税込)
Disc01
- 01.やさしいキスをして
- 02.I LOVE YOU (Album Ver.)
- 03.THE ROSE
- 04.接吻
- 05.Missing
- 06.AMAZING GRACE (album version)
- 07.You’d Be So Nice To Come Home To
- 08.FEVER
- 09.朧月夜~祈り
- 10.恋しくて
- 11.MY WAY
- 12.WHAT A WONDERFUL WORLD
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