Special
BiS 『WHO KiLLED IDOL?』インタビュー
解散まで残り4ヵ月。BiSを救う(殺す)鍵は、この3人!?
BiS最終章突入のタイミングで加入した4期生3人(ウイぽん/サキ様/テンテン)は、BiSの全裸PVやメンバー間抗争など、それまでの過激なアクションを知った上でデビューしたこともあり、初めから周囲の期待値は高かった。しかし気付けば、「前のBiSの方が面白かった」「つまらない」「残念」等の心ない言葉をマネージャーからも浴びせられ、歴代メンバーで最も“評価されない”日々に翻弄されながら活動することになる。
このインタビューは、それでもBiSを最終地点:日本武道館(※諸事情により7月8日 横浜アリーナでの解散に変更)へと連れて行こうとしたアイドルの生き様。そして“WHO KiLLED IDOL?”に対する3人それぞれの答えを浮かび上がらせる為に敢行した。
UiKA KiLL IDOL?(ウイぽんはアイドルを殺す?)
BiSは概念~ゆっふぃー脱退は大失敗~辞めなかった理由
--BiSにとってどんなメンバーになっていると思いますか?
ウイぽん:内面の話は置いておいて、BiSってグループとして見たときに被ってるキャラクターがいないんですよね。で、私は身を削って収穫しにいく実働部隊みたいな感じ。司令塔ではなく、自分の足で取りにいく。みんなの為に働けているかと言ったら、それはあんまり出来ていないとは思うけど、他の誰にも持てない柱を支えているとは思います。
--そんなウイぽんから見てBiSってどんなグループだと思いますか?
ウイぽん:概念(笑)。先日の車中泊ツアーの最終公演ってメンバーは団結しているんだけど、周囲は崖になってて「大人は信用できない」みたいな状態で。で、お客さんはお客さんで「もっと面白いもん、見せろや」みたいになってて、四面楚歌だったんですよ。そのときに「誰がBiSなんだろう?」って思ったんです。
--なるほど。
ウイぽん:私たちは自分のことをBiSだと思ってるけど、BiSのことを喋るときには、自分たちの外にBiSというものがあるような気持ちで喋るんですよ。で、私はBiS≒プー・ルイ(リーダー兼ヨゴレ担当)ってよく言ってるんですけど、それはそれでずっと変わらないんです。嫌味とかでは全くなく。でも私がBiSのことを喋るときは、プーちゃんに対しても喋ってないんですよ。他にあるんですよ! じゃあ、BiS=研究員(BiSファンの総称)? BiS=渡辺淳之介(BiSマネージャー)? どれも違うんですよ。で、気付いたんです。「ないんだ!」って。
--(笑)
ウイぽん:思い思いに「BiSはこうあってほしい」と押しつけたりとか、メンバーが「こうあろう」としたりとか、でもそれを払拭したいと思ったりとか……いろんなものがあるから、最近「概念だな」って。だから“解散する”ってどういう感覚なんだろうって思いますね。私たちは離れ離れになっても、元々全然違うところにいた人たちを寄せ集めただけの集団だから、BiSそのものが解散するってどういう感覚に近いんだろうなと思いました。
--概念として捉えるなら“解散”って言葉は当てはまらないですからね。
ウイぽん:そうそう。だから“BiS”という言葉だけが暴走して在り続けるような気もするし。
--それはすごく面倒くさいね(笑)。
ウイぽん:中二病みたいな話なんですけど。「BiS現象」とかってよく言うけど、言い得て妙な感じだなと思って。みんな被害者な気もするし、みんな首謀者な感じもするから、気持ち悪いなって思う。
--今回はラストアルバム『WHO KiLLED IDOL?』タイミングのインタビューなんで、そのBiSが概念になるまでの歴史を振り返りたいんですけど、ユケ(※結成~2011年12月31日)やりなはむ(※結成~2011年6月24日)が在籍していた初期のBiSにはどんな印象を持たれていますか?
▲BiS nerve PV バレットタイム Bullet Time
ウイぽん:うーん、なんだろうな? 私の中でBiSって言うと、意外と3人の時代のイメージがあるんですよ。ユフちゃん(※ゆっふぃー/2011年7月9日~2013年5月26日)が入って、ユケさんが抜けた後。BiS感……BiSのいわゆる嫌な感じとか(笑)脆さみたいなものを一番表しているのが、あの3人時代のような気がして、好奇心がすごく駆り立てられる。だからその前の初期の4人時代は、立ち上げた創立者みたいな感じですごくポジティブな印象。「頑張っていこう!」みたいな感じで溢れてる。
--では、ゆっふぃーのBiSでの在り方にはどんな印象を?
ウイぽん:素晴らしいと思います。みんながどう思うか分かんないけど、ユフちゃんのことはすごく好きだから。キャラも、立ち振る舞いも。で、これはプーちゃんにも直接喋ったけど、ユフちゃん脱退はBiSにとって大きな失敗だなって思ってます。彼女が辞めなければ私たち3人は入れなかったから、私たちは「入れてよかった」なんですけど、単純にBiSとしては痛手だったなと思うし、ユフちゃんが居続けるBiSも面白かったと思うんですよ。精神衛生上のことを考えると、仕方なかったと思いますけど、BiSの理想形は彼女を含む5人時代(プー・ルイ/のぞしゃん/ゆっふぃー/ミッチェル(※2012年4月15日~2013年9月22日)/わっきー(※2012年4月15日~2013年3月16日))。永遠に。
--言い切りましたね。
▲BiS / Hide out cut (ROAD TO BUDOKAN KOKUGIKAN「WHO KiLLED IDOL?」)
ウイぽん:それは私が国技館ライブの映像を観て練習してるからかもしれないけど。そのBiSをずっとなぞってるから。あと、戦隊モノとか、プリキュアとか、チームで戦うアニメってあるじゃないですか。番組の人気が出ると、どんどん新キャラが増えていって、それで密度は濃くなるかもしれないんですけど、一体感とか、一丸になってる感ってどんどん薄れていくんですよ。だからどんどん薄まってると思います、BiSは。やっぱり最初が一番濃いはずだし。だんだん面白くなっていってるはずなんだけど、BiSっていうものはどんどん薄まって、だから概念みたいになっちゃう。
--(笑)
ウイぽん:私、全部、抽象的にしか喋れないんですけど、BiSって「これがあったからこうなった!」みたいな決定打がないんですよ。いろんなことがありすぎているから。で、今、中にいてすごく分かるけど、揉め事だったりとか、事件が起きても、それが用意されていたことだったり、大人が仕掛けたことのようにされたり、歴史的にはぽん!って一言で語られちゃうけど、いや、多分、すっごい偶然が偶然を呼んでこういう風になっちゃったとか、意図せずにこうなってこの娘が辞めることになってしまったとか、みんなが知らない真実とかがいっぱい裏側にはある訳じゃないですか。だから「このときああしてりゃよかったんだよ」とか「これがあったからダメになったんでしょ」とか、私は言えなくなった。そんな単純なもんじゃない。
--そうした歴史を経て、最終章を盛り上げる要員として自分たちが入ってきたあとのBiSは、どんなグループになってると感じますか?
ウイぽん:柔軟せ……あー、難しいな。以前のBiSが食べやすくて、今のBiSが食べづらいとは思わないんですけど、今は味が多すぎるかな。「BiSって名前は知っているけど、誰が誰だか分かんないし……」みたいな。情報が多すぎて「ん?」ってなる。歴史も含めて。でも上手いことすれば……それこそでんぱ組.incさんとかね、これはディスじゃないけど、要素としてはやかましさの詰め合わせじゃないですか。
--それが売りでもありますよね。
ウイぽん:そうそう。その賑やかさに惹かれていってる訳じゃないですか。だからBiSも上手いことすれば……全然面白さはあるはずなんですよね。それこそ今のほうが。ちゃんと個人で頑張って仕事してたりもするから。けど、解散まであと4か月っていうタイムリミットがあって、やりたくてもできないことがたくさんあるからモヤモヤしてるのかなって。
--なぜ在籍する前からのBiSの歴史を辿ってもらったかと言うと、個人的にウイぽんをプレイングマネージャーとして見てきたからなんですけど。少なくともウチの最初のインタビューには、その役割を担う宣言がありました。自分ではどう思います?
ウイぽん:その感覚はもちろんずっとあるんですよね。でも、私はすごく……あの、病んでたから(笑)。簡単に言うとね。今はすごく明るいですけれども、どうしようもできない力の大きさとかを感じたときは、外からの視点云々の話じゃなくなるんですよ。
--本体が危うくなれば、そうなりますよね。
ウイぽん:だから結局は我慢というか、耐える。今は耐える時期だって。その選択は間違っていなかったと思ってるし、結局動けなくなったときは退くか耐えるかしかない訳じゃないですか。でも耐えたから、事は良くなってると思いますね。自分自身もだし、BiSとしても結構耐えた瞬間があったんじゃないかと思います。でも耐えてばっかりではね。上手く交わしたりとか、その力を利用したりとか、アクティブな部分が必要だから。そういう風になれるようになってきましたね。だんだん本体が回復してきた(笑)。
--プレイングマネージャーどころか、プレイヤーとしても冷静に立ち回れなくなっていった要因は何だったんですか?
ウイぽん:要因はひとつじゃないですね。いろんなものの積み重ねなんで、コレって云うものはないけれども、すごく簡単に言うとコミュニケーション不足があったんですよ。それこそツアーファイナルのときに「大人は信用できない」って言ってメンバーは一丸になった瞬間。最後に大人と和解みたいなことをしたときに「結局、コミュニケーションが足りなかったんだね」って。人間、耐えているときは動かないから、向こうとの会話を避けようとするし。だからお互い腹に何か抱えてるんじゃないかってモヤモヤしていた。
--でもそれで「退く」を選ぼうとは思わなかったと。
ウイぽん:もちろん。辞めたほうが面白ければ、辞めるっていう選択肢はあったかもしれないですけど、「辞めたい」って気持ちが出たとしても「今は面白くない! 何の意味もない!」ってなるんですよ。自分が辞める瞬間まで「BiSである」っていう誇りがあるなら、みんな面白い辞め方してきたんだから、面白く辞めなきゃ仕事務まんない!って思う。それこそ脱退商法で最後ドーン!って売上でも何でも上げられるなら辞めてもいいと思うんですけど、病んでる時期は全然そんなことしても面白くない時期だったから……「今じゃない」って思った(笑)。
--ちょっと待って。病んでる状態でもそんなに冷静でいられたの?
ウイぽん:もちろん! 自暴自棄になって「もうマジ死んじゃいたいな」って思うのは、それは感情の面であって。でも生きていたら歯も磨くし、お風呂も入るし、トイレも行くじゃないですか。そういう感覚と一緒で「まだ辞める時期じゃないな」みたいな思考はちゃんとあります。全く別次元ですね。
--では、加入当時の「みんながやりたいことを全部実現させたい」「私に出来ることがあるならドサ回りでも何でもするし……というか、何でもやりたい」と言っていたウイぽんは、今もいるの?
ウイぽん:います。というか、今までの人生ずっとそうですね。結局、私はスーパーサブでありたいんですよ。秘書だったりとか、永遠の二番手がいいんですよね。トップに立てない、トップの存在ではないなとも思うし、私は誰かの右腕のときが一番輝いているし、一番仕事ができる。ということは、トップのやりたいことを聞いて、それをサポートすることになるし、みんなの力を集めてやりたいことを実現させる要になると思うし、それがしたいからやってる。だから自分の言いたいことを我慢するのも無理して我慢している訳じゃなくて、私のしたいことはそれだから、いやいや耐える訳じゃないんですよ。耐えたい、むしろ。
--(笑)
ウイぽん:ハハハ! 言いたいことが言いたい訳じゃないんですよ。言わないでみんなの思っていることを実現させたいというか。だから「いつも我慢してさ、苦しくないの?」とか「言いたいこと言えばいいじゃん」ってなるけど、言いたいこと言うよりもそれを飲み込んで、みんなのやりたいことを形にしていくほうが、私のやりたいことだから。
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リリース情報
WHO KiLLED IDOL?
- 2014/03/05 RELEASE
- 初回限定盤[AVCD-38910(CD+DVD)]
- 定価:¥5,250(tax in.)
- ≪試聴可能≫
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関連リンク
Interviewer:平賀哲雄|Photo:外林健太
WHO KiLLED IDOL?
2014/03/05 RELEASE
AVCD-38912 ¥ 3,300(税込)
Disc01
- 01.primal.2
- 02.DiE
- 03.STUPiG
- 04.no regret
- 05.マグマト
- 06.GET YOU w/Dorothy Little Happy
- 07.MURA-MURA
- 08.MMGK
- 09.BiSimulation
- 10.ERROR
- 11.nasty face
- 12.Fly
- 13.Hi
- 14.Hide out cut
- 15.プライマル。
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