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KO-JI ZERO THREE×Especia【8DAYZ】大阪異種対談インタビュー

KO-JI ZERO THREE×Especia【8DAYZ】大阪異種対談 インタビュー

 大阪は日本No.1のミュージックシティであった。あらゆる音楽とその表現者とリスナーが混じり合って、今の日本を代表するアーティストのほとんどが大阪でブレイクした半年から一年後に東京で大ヒットを生んだ。言うならば、最先端の音楽を発進してきた街である。しかし今は音楽業界不況に加えて風営法の影響もあり、当時のパワーを失いつつある。

 そんな土地からあらゆる形の音楽を発進してきた“大阪アングラ界の重鎮”KO-JI ZERO THREE。Dragon AshやRIP SLYME、そして浪花の猛者たちにも愛されているこの男は、大阪で前代未聞の8日間(2月10日~17日)連続イベント【8DAYZ】を開催し、それこそ超ジャンルレスなラインナップを迎え、アーティスト人生を懸けた戦いへ挑む。彼は一体、今の音楽シーンをどのように捉え、どう生きていくべきだと考えているのか。

 今回のインタビューでは、そんな彼の実に面白い価値観と生き様について迫りつつ、第二部ではこれまで一切興味を持たなかったというアイドル(Especia/【8DAYZ】最終日に出演)との対談に応じてもらった。

大阪音楽シーンで生きてきた理由/風営法とクラブシーンの現実
◎第一部:KO-JI ZERO THREE単独インタビュー

KO-JI ZERO THREE×Especia【8DAYZ】大阪異種対談インタビュー
▲KO-JI ZERO THREE

--自身では、KO-JI ZERO THREEをどんなアーティストだと思いますか?

KO-JI:自分で? 正直、今聞かれるまでそういうことを考えたことがなかったんですけど……まぁ何でも。ヒップホップラッパーでもないし、レゲエシンガーでもないし、ロックミュージシャンであるつもりもないし、別に何でもない認識かな。それを意識しようともしているんで。KO-JI ZERO THREEの後ろに謳い文句はない……っていう感じ。

--ただ、散らかしてるというよりは、どれを名乗ってもいいように活動している印象があります。

KO-JI:いや、自分では散らかしまくってるのかなって(笑)。もちろん全部一生懸命やってるんですけど、いろんな音楽が好きなんで、いろんなファン層も好きだし。例えば、刺青だらけの厳ついお兄ちゃんだけがおるライブハウスも全然好きだし、可愛らしいポップスが好きな女の子の前に出るのも好きだけど、自分で崩していかないとその全てには会いに行けないじゃないですか。自分のライブには、モヒカンのパンクス兄ちゃんにも、可愛い女の子にも、やんちゃな奴らにも来てほしいし、いろんな生き方をしている人に届くようにしたいなと思ってますけどね、どの音楽も。

--KO-JIさんって生まれも育ちも大阪なんでしょうか?

KO-JI:はい。

KO-JI ZERO THREE×Especia【8DAYZ】大阪異種対談インタビュー
▲KO-JI ZERO THREE

--大阪での音楽活動に拘り続けている理由は?

KO-JI:単純に一番友達が多い街なんで。そこを捨てて東京に身ひとつで行って音楽やる根性がなかっただけ。「俺は大阪リスペクトしてるから、大阪で活動し続ける」みたいな格好良いもんではないですよ。よく行くカフェがある。よく行くバーがある。仲の良いツレがいる。好きな女がいる。そういうものが周りにないと、音楽……というか、人生そのものを成立させられるほどまだ歳は取ってないから。あと、逆に俺が19歳ぐらいだったら「東京のほうがええんちゃうか」って思ったり、東京の芸能関係や音楽関係の人から名刺もらっただけで浮かれたりもするんでしょうけど、今はそんなんでは浮かれないから(笑)。

--自分も15年前ぐらいに大阪で生活していたんですが、当時の大阪は日本No.1のミュージックシティだと感じていました。ただ、最近は音楽業界不況に加えて風営法の影響もあり、斜陽感が否めない印象もあります。大阪で活動している音楽家としてどう思いますか?

KO-JI:僕も日本各地いろんなところに行くんですけど、例えば大阪のアメリカ村って他にはないですよね。下北とか渋谷とも全然違うし。レゲエのアーティストとパンクのアーティストが普通に道や飲食店で会ったり、その環境の中で生まれていったものも結構多い。ヒップホップとロックのクロスオーバーも大阪から始まったりしたんです。そういう発想をする人が多かったんでしょうね。でも今は、元気はなくなってきてますよ。僕らよりもっと若い世代は、音楽で一攫千金狙うならITやったほうがいいやと思ってるだろうし、テレビがロックスターじゃなくあれだけIT長者紹介してたら、そりゃギター練習するよりパソコンいじりますよね。

--それは全国的に……というか、世界的にそうかもしれません。

KO-JI:ですよね。でもそれはお金を儲けられるとか、そういうことじゃないところで「うわ! 音楽やってる人ってめちゃくちゃ格好良いよな」って思わせられない僕たちアーティスト全部の責任だと思いますけどね。

KO-JI ZERO THREE×Especia【8DAYZ】大阪異種対談インタビュー
▲KO-JI ZERO THREE

--風営法改正運動「Let's DANCE」についてはどんなことを感じています?

KO-JI:僕らもアメ村で遊んでて、クラブもすごく行ったりしてて。例えばそこに暴力沙汰が起きてしまったり、ドラッグの売買があったりとかね。僕、そのドラッグ関係が大嫌いなんで、昔は売りに来てる奴とかを見つけたら……載せられない話なんですけど(笑)要するに街を守ってる気になってたんですよ、若い頃の話ですけど。まぁでも事実としてそういうものも蔓延してる。今はみんながみんなでクラブを正当化してますけど、実際にダメな部分も多くて。そういうマイナスの部分をちゃんと排除していく動きを見せないと、もしまた朝5時まで営業できるようになっても、結局同じような問題が起きてイタチごっこになる。それで「ダンスをしてはいけない」って言われるのは、ある種仕方ない。ちゃんとクラブの現実と向き合ってからじゃないと、何も変わらないのかなって思う。

--今のままでは「Let's DANCE」の署名運動によって元に戻っても、すぐまた同じことになるだろうという。

KO-JI:極論言えば、警察がちゃんとぐるぐるクラブを巡回するとか。風営法がこうなって誰も得はしてないですから。クラブがあるから朝5時まで開けていたバーも1時に閉めるようになるし、知り合いの飲食店も「全然アカンわ」って言ってるし。だからまずはアメ村だけでも、巡回する組織や会社をちゃんと作って、そこにクラブが月々ちゃんとお金を渡して成立するようにしたり、そういう風に考えればいいのになって、めっちゃ思いますけどね。

--ただ、風営法の問題を置いておいたとしても、今の音楽シーンはヒップホップやR&Bといったクラブミュージックにとって冬の時代という印象もあります。それでもクラブミュージックを発信していく理由はもちろん大好きな音楽だからだと思うんですが、苦しくもありますよね?

KO-JI:クラブミュージックというか、アンダーグラウンドな音楽そのものが全然……しんどい。今って個人単位でデカバコが取れないんですよね。大手の制作会社がハコを全部仮押さえしてるんで。だから音楽をやってる奴はみんな大人に対してアプローチをしていかなきゃいけないし、でも扱うのは大人だから面白い発想も出てこないし、その大人たちの中にクラブミュージックを売ろうとしている人があんまりいないから、何も上手く噛み合っていかない。

KO-JI ZERO THREE×Especia【8DAYZ】大阪異種対談インタビュー
▲KO-JI ZERO THREE

--そうなると、世間に何も届けられない。

KO-JI:だから僕がひとつだけ気をつけているのは、歌詞の内容を「Yo! 俺は世界最強」みたいな「で、何?」で終わってしまうようなものにしないことで。どんな人でも自分に照らし合わせられるようなものを、自分が今までやってきた音楽の中にはめ込んでいく。そうすることで、ヒップホップなんて全然聴かない人が「またいつか」は好きだからって俺のライブに来てくれたりするんですよ。だから今は見せ方を考えていかないと、しんどいだろうなって思いますね。

--この後にアイドルとの対談を控えてますけど、アイドルばかりがヒットチャートを賑わしている状況にはどんな感慨を?

KO-JI:ここでそれを語るのもどうかと思うけど(笑)、まぁよくはないッスよね。世の中がそれを求めているのか、誰かがそう仕向けているのか、僕はそんな頂上の雰囲気まで読み取ることはできないですけど。ただ、例えば、AKB48を動かしている人間が「いや、ほんまもんのロックバンドもどうにかしよう」と思えば、またそれはそれで変わっていくんだろうなとは思います。ただ、今のロックにそれだけの魅力がないのか、そこに興味を示す幅が大人たちにないのか、そういう風にはなっていかないですよね。

--ただ、それこそ約15年前に宇多田ヒカルやDragon Ashが台頭した当時。日本は今のアイドルームーヴメントに劣らぬ勢いでヒップホップやR&Bが爆発的な支持を得ました。あのムーヴメントって何で起きたんだと思いますか?

KO-JI:あのムーヴメントが起きた理由は、僕はやっぱり降谷建志(Kj/Dragon Ash)だと思ってるんですよね。友達だから持ち上げる訳じゃなく、やっぱり彼はルックスも才能もタイミングも運もすべて兼ね揃えて出てきた人だと思うし、当時は彼を作ろうとしたチームも本気だったんだろうなって思うんですよ。彼の存在とそのチームと、それを仕掛けようと思った大人も、すごく良い具体に噛み合ったのかなと思うし、彼が出てきてからそういう音楽も普通にヒットチャートに入ることが多くなってきたし。

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KO-JI ZERO THREE「THE MAN FROM NOWHERE」

THE MAN FROM NOWHERE

2014/02/12 RELEASE
MS-5203 ¥ 1,047(税込)

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Disc01
  1. 01.FIRE BALL
  2. 02.HATE LOVE SPEECH
  3. 03.LOSERⅡ
  4. 04.またいつか

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