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AZU 『4seasons』インタビュー
日本の音楽シーンを女性R&Bシンガーたちが席捲した時代から幾年月。着うた(R)の普及と共にムーヴメントとなった“セツナ系”の代表格としてクローズアップされたAZUは、そのイメージを拭い去り、90年代の誰もが愛したクラブミュージック然としているコンセプトアルバム『4seasons』を完成させた。
アイドルがシーンの中心に立ってから久しいが、このアルバムにジャパニーズR&B再燃の灯火を感じたビルボードジャパンは、AZUへの初インタビューを敢行。奇しくも「私にとっての武道館はBillboard-LIVE」と語ってくれた彼女のこれまでとこれから。図らずも笑いあり涙ありのテキストに仕上がったので、ぜひともご覧頂きたい。
SEAMOとの出逢い~“セツナ系着うた(R)クィーン”という枠
--自分ではAZUってどんなアーティストだと思いますか?
AZU:えー、めっちゃ難しいですね! うーん……何やろなー? あんまりアーティストっぽくないアーティスト。私、音楽やってても「自分は芸能人やぞ! 凄いやろ?」みたいに思えないし、ただ歌うたうことが好きで、それがお仕事になってるだけです、っていうような感覚でアーティストやってるから、ほんまに一般の方と同じ感覚。元々「ヒラヒラなドレス着てテレビで歌いたい!」みたいな気持ちもなくって「とにかく歌がうたいたい!」っていう感じやったんですよね。
--SEAMO塾の塾生として世に出てきたイメージなんですけど、そこにはどんなストーリーがあったんでしょう?
AZU:15歳で音楽始めて、地元の三重でバンドやってたんですけど、「このままここにおったら、音楽でご飯食べるなんて絶対ムリやな」と思って大阪へ行き、しばらくライブやったり、クラブ廻りとかしてて。そこから22,3歳で名古屋へ行くんですよ。そのときにSEAMOになる前のSEAMOさんが、nobodyknows+やHOME MADE 家族とかと“男塾”というのをやっていらして「これから毎月レギュラーでイベントやっていくから、おまえも出ろよ」みたいな感じで、そこから一緒に音楽やらせて頂けるようになったんです。
--そもそもなんでSEAMOさんと出会えたんでしょう?
AZU:HOME MADE 家族と【ON THE RUN】っていうイベントにレギュラーで出てたんですよ。そこにSEAMOさんがたまたま遊びに来てて、SEAMOさんのバックダンスやってるBRIDGETが同郷だったこともあって、紹介してもらえたんです。で、その日にちょうどライブを観てくれて「良いじゃん。歌手になりたいの?」って言われて。めっちゃ上から(笑)。
--パイセンが上から?
AZU:パイセン、上から言うなー思って(笑)。それで「プロになりたいんです! 音楽やっていきたいんです!」って言うて。そこで連絡先交換してちょっと仲良くなりまして、最初のうちは「パチンコ行こうやー。スロット行こうやー。朝、迎えに来てくれー」みたいな連絡しか来なかったんですけど……ちょっとしたパシりみたいな(笑)。
--お弟子さん的な扱いだったんですね。
AZU:そういう感じで一緒に遊び行ったりとかしているうちに、SEAMOさんがイベントやるって言い出して、私も参加させてもらうようになった感じですね。それからSEAMOさんの曲にコーラスで参加したり。「女の声が要るから歌ってくれ。ココイチ(カレーハウスCoCo壱番屋)奢るから」みたいな感じで、当時は名前も載らなかったんですけど。そんな風に可愛がってもらって、デビューが決まったっていう感じですね。
--初期のAZUと言えば“セツナ系着うた(R)クィーン”の印象が強いんですけれども、それによって良かったことも、逆にひとつのイメージに縛られる等の弊害もあったと思うんですけど、実際はどうだったんでしょう?
AZU:本当にここ数年でやりたいことが出来るようになってきてて。セツナ系が流行った当時は、私もそういう曲を作り、それがたまたまヒットして、セツナ系シンガーみたいに言われてるんですけど、別にそんなに泣き歌ばっかりでもないし、本当にオールマイティーな感じでやってるから。なので、そういう肩書きは時代が作った言葉やと思ってます。
--自分から意図的に打ち出したものではないと。
AZU:最初はそれに縛られてる部分もありましたけど、最近はまた時代も変わってきているので。
--当時、言ってしまえば“セツナ系着うた(R)クィーン”ってたくさんいたじゃないですか?
AZU:いました、いました。
--そのムーヴメントの一部、たくさんいる中のひとりとしか思われないのは、苦しかったと思うんですけど。
AZU:苦しいですよね。同じって思われるのは。皆さん、ほんまに素晴らしいアーティストさんやと思うんですけど、ウチとかはアンダーグラウンドなところから出てきた感じやし、逆に一緒にされたら皆さんが困るぐらい下世話な感じ。ゲトー生まれみたいな感じなんで(笑)。でも“着うた(R)のアーティスト”っていう枠の中だけで語られるのは、やっぱり悔しい……っていうよりも「ほんまに伝えたいトコは、そこじゃないねんけどな」みたいなところはありました。聴いてくれること自体はすごく嬉しかったんですけど。
--渦中のど真ん中にいた人として、あのムーヴメントって今振り返るとどんなことを思ったりしますか?
AZU:なんなんやろう?……「なんなんやろう?」っていう感じですね(笑)。ちょっとしたバブルみたいな。
--そのバブル崩壊と共に去っていった人もたくさんいる中で、AZUさんは通算5枚目となるアルバムを変わらずメジャーからリリースします。依然、最前線で戦えているこの要因は何だと思いますか?
AZU:それが分かんないんですよね(笑)。とにかくもう必死こいてやってるんですけど! 「ライブどうしよー!?」とか、ほんまひとつひとついろんなことに必死なんですけど……なんでいれんのかな?って思うし。自分が凄いからとか全く思ってないんで。やっぱりスタッフの愛情と、聴いてくれるファンの支えしかないんやろうなって。だから7年もメジャーシーンでやっていけてんやろなって思いますね。
--その7年間の中で「私、ヤバイな。このまま活動し続けられるかな?」みたいな状況に陥ったことは一度もなかったの?
AZU:いや、ありますよ! 今日もそう思ってます(笑)!「これ、今年契約切れたらもう終わりちゃうかな?」とか「そしたらどうしようか。スナックでも出そうかな?」とか。
--AZUさんの場合、スナック経営でも成立しそうだから怖い(笑)。
AZU:そうそうそう!「ママでもやろうかな、銀座で」とか。なんか、そういうことは常に考えてますね。「やっぱり折れなくちゃいけないのかな?」とか、自分と常に戦ってる感じです。
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ライブ情報
◎イベント【AZU『4seasons』リリース記念ミニライブ&サイン会(ポスタープレゼント付)】
01月29日(水)愛知・名古屋ナディアパーク 2Fアトリウム・イベントスペース 19:00スタート
02月01日(土)東京・池袋サンシャインシティ ショッピングセンターアルパB1噴水広場 14:00スタート
02月02日(日)埼玉・イオンレイクタウンkaze 1F光の広場 13:00 / 16:00 スタート
02月08日(土)福岡・キャナルシティ博多 B1F サンプラザステージ 12:00 / 14:00 スタート
◎ツアー【AZU LIVE TOUR 2014】
03月22日(土)OPEN 17:30 START 18:00 会場:大阪Shangri-La
03月23日(日)OPEN 17:30 START 18:00 会場:名古屋OZON
03月29日(土)OPEN 17:30 START 18:00 会場:新宿BLAZE
リリース情報
4seasons
- 2014/01/29 RELEASE
- 初回限定盤[BVCL-565/6(形態)]
- 定価:¥3,800(tax in.)
- 詳細・購入はこちらから>>
- 通常盤の詳細・購入はこちらから>>
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄
4Seasons
2014/01/29 RELEASE
BVCL-567 ¥ 3,204(税込)
Disc01
- 01.Hello (January)
- 02.XOXO (February)
- 03.I LOVE YOU (March)
- 04.I LOVE YOU TOO feat.MIKU a.k.a tomboy (April)
- 05.LIFE (May)
- 06.Promise (June)
- 07.Summer Time!!! (July)
- 08.ただ君を… (August)
- 09.Now You’re Not Here (September)
- 10.Circles of Life (October)
- 11.モノクロ (November)
- 12.Sweet Home (December)
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