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ケラケラ 『ひとつだけ』インタビュー
昨年は『Billboard Japan Music Award 2013』と『レコチョク年間ランキング2013』の2部門と計3つの新人賞を獲得した3人組 ケラケラ。 2月1日より公開する映画『僕は友達が少ない』、通称“はがない”で主題歌を担当する彼女たちに、デビューイベントとなった味スタワンマンからヒット曲「スターラブレイション」で気付けたこと。そしてMEME(vo)、ふるっぺ(b)と森さん(dr)、それぞれの故郷である調布市と和泉市についてと、多岐に渡って答えてもらった。
デビュー直後に味スタでワンマン!
--ケラケラは昨年メジャーデビューしましたが、何といってもデビュー時のイベントを味の素スタジアムで行うという展開で度肝を抜きました。
ふるっぺ:良い夢を見させてもらいましたね。
森さん:まず味の素スタジアムに立てるのが凄いことだと感じてましたし、ここを満員にすることがいかに大変かも痛感しました。
MEME:前々からいつか地元の味スタでワンマンをやりたいって話はしていたんですけど、やると教えてもらったときは本当に驚きました! ただ、50人のお客さんをご招待して実際にステージへ立ってみて、会場を5万人で埋めることの大変さはもちろん、その言葉の重さを感じましたね。
--ケラケラは常々、1人1人に笑顔を届けていきたいと語っていますが、それを歌を届けていくことは観客やファンの人数が変わっていくことで変化していくと思いますか?
MEME:「こんなにたくさん来てくれたんだ!」っていう感動はあるんですけど、基本的にはライブを観に来る方が増えても見に来ている人の心は、それぞれひとつだから変わらないと思います。これは去年思ったことなんですけど、究極をいえば1人の近くで歌いたいというか、1人1人に歌えればいいのにって。ライブを観に来る方が多ければ多いほど遠く感じてしまう人がいるかもしれないので、そう感じさせないように歌わなければいけないと思いましたね。
--では、ふるっぺと森さんが、ケラケラで演奏する上で心がけていることは?
ふるっぺ:以前はどれだけ目立つかとか、自分が前に出て暴れたいっていう気持ちがあったんですけど、今はそれよりも歌でみんなを元気付けたい。ベースの音も、歌が立つ音というか、ゴリゴリせずに良い具合に埋もれるように音作りしていますし、ステージでの動きも変わりましたね。歌を立てることを意識して演奏しています。
森さん:10代の頃は自分中心に考えていたというか、自分が楽しかったら良いと思っていて……
--見た目ももう少しヤンチャでしたよね(笑)。
MEME:たしかに!(笑)
森さん:今はどちらかというとお客さんに楽しんで欲しいから自分も楽しむ、くらいの感じに変わってきましたね。それはケラケラをやるようになってからで、MEMEさんに出会ってからですかね。
それに「スターラブレイション」で気付けた
--MEMEさんは2人のサウンドにどのような印象を持っていますか?
MEME:メロディが良いなって思ったのが一番でした。サウンドよりもメロディが耳に残ったというか、誰もが歌いやすい歌をうたいたいと思っていたので。
--ふるっぺさんから見たMEMEさんの特徴は?
ふるっぺ:声がポップっていうことですかね。声だけで楽しい感じが出るし、今回のシングル『ひとつだけ』とかも、MEMEじゃなかったら微妙な感じになっちゃうのかなって。
--ケラケラが今まで注目されてきた曲って、「さよなら大好きだったよ」や「友達のフリ」など片想いの歌詞が多かったですよね。
ふるっぺ:そうですね。
--ただ、かつてデビュー直前にライブを観たとき、MEMEさんが満面の笑顔で跳ね回っている姿が印象的で、「この娘はアッパーな曲だと魅力が全開になるな」って思っていたんですよ。
ふるっぺ:僕はそれに「スターラブレイション」で気付けたというか(笑)。新たな発見でしたね、正直に言うと。自然に曲を作ると片想いや失恋が多くなってしまって、それが得意だと自分では思ってたんですよ。それをMEMEが歌うことによって、暗くなりすぎずに共感してもらえるって。 それはそれでいいんですけど、ケラケラっていうバンド名もそうですし、MEMEの声質はアッパーな曲に合うんだって「スターラブレイション」で気付いたんですよね。周囲からも「歌っている表情がいい」って言っていただいたりもして、それ以降はアップテンポな曲も増えましたね。
--ただ、これまでケラケラがシングルとして発表してきた曲って、ほぼ片想いですよね。
MEME:そうですね(笑)。
--今回の「ひとつだけ」も片想い。どうしてケラケラは片想いを歌うのでしょうか?
MEME:しあわせになりたいですよね!(笑)
ふるっぺ:片想い歴が長いんでしょうね、人生において。7~8割が片想いなんですかね、気付いたら片想いの曲になってます(笑)。
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Interviewer:杉岡祐樹|Photo:佐藤恵
友だちにはいえないようなこともケラケラならいえる
--ただ、片想いって恋愛だけではなかったりしますよね。思う夢に届かないことだって片想いだと考えたら、ふるっぺさんと森さんは片想い歴が長かったともいえます。
森さん:あー、たしかに。そんなに深く自覚していたわけではないんですけど、僕ら的に今は片想いが多いと思ってるので、今後は人の背中を押せたり元気付けられる曲ができればと思ってます。
--やっぱりケラケラは音楽で人を元気付けることをやっていきたい?
ふるっぺ:僕はGOING STEADYを好きになって、それまでそんなに真剣でもなかった自分がバンドに打ち込むことができて、凄く楽しかった青春時代があったんです。学校とかで目立つタイプではなかったんですけど、バンドやっているときは凄く楽しかったし、救われた。ケラケラを聴いてくれる人に、音楽によってちょっとでもしあわせになって欲しいという想いはありますね。
--近年は音楽の在り方にも変化を感じます。技術の進歩でより近くなったのに、ビジネスという観点からは遠くなったともいえる。そうしたアンバランスさを感じる所は?
ふるっぺ:形が変わっただけで、そんなに変わってないような気がしますけどね。CDからは離れていると思うんですけど、ライブを観たいっていう感情は昔から変わらないし、音楽を好きな人が減ったわけではないと思います。
--ケラケラのライブは泣くこと、笑うことなど色んな感情表現をできる場ですよね。
MEME:ですね! そうやって反応してくれるお客さんの涙や笑顔で、さらに良いものが出せるというか、相乗効果を感じます。泣いてるお客さんを目の前にすると、私も泣きそうになっちゃうんですけど、いつもグッとこらえてます!(笑) 友だちにはいえないようなこともケラケラならいえる、じゃないですけど、それくらい近い存在でありたいと思います。周りの人に頼れないとき、曲を聴いたらがんばれるとか。
--そうしたMEMEさんが歌うものとして、ふるっぺさんが歌詞を書くときに心がけていることは?
ふるっぺ:最近は“僕”という歌詞も減らしてますね。以前はあんまり気にしてなかったんですけど、ボーカルの人間性が見えてこそ響くのかなって想いもあって、MEMEの等身大になれているかどうかは意識しています。
--そういう変化をMEMEさんは感じますか?
MEME:今RECしている曲は、昔からある曲が多く「ひとつだけ」も初期の頃からあった曲なんですよ。なのでそんなに変化は感じてないかもしれませんが最近のはちょっと変わって来てるのかな?
物語のメッセージ性を要約できている曲
--その「ひとつだけ」は映画『僕は友達が少ない』主題歌に起用されています。
ふるっぺ:曲は恋愛で一歩踏み出したいって感じなんですけど、映画には友だちという関係で一歩踏み出したいというメッセージ性があるのでリンクしてると思います。
--今回は片想いながら「大好きよ 大好きよ」と強く言い切る楽曲になっています。
MEME:言いたくても言えない「大好きよ」っていう感情なので、「伝われ!」っていう想いは意識しましたね。
--MEMEさんはそういう気持ちがあっても言えないタイプですか?
MEME:そうですね、言ってもらえるようにがんばるタイプです(笑)。なかなか上手くいかないんですけどね。
--では、映画『僕は友達が少ない』を観た感想は?
森さん:改めて友情っていいなって。学生の頃って人それぞれ、友だち作りだけに限らずやりたくてもできない、踏み出せないっていう悩みを誰もが抱えてるものだと思うので、共感しましたね。「ひとつだけ」は、映画のメッセージ性を要約できている曲だと勝手に思っています。
ふるっぺ:「友だちってなんやろう?」と考える瞬間ってあるじゃないですか。映画の中に、隣人部の面々がそれぞれ好きなことをやっているシーンがあって、しゃべらなくても成立している。それって友だちならではですよね。友だちの存在の大切さを改めて感じられる良い映画でした。
--そういう意味では、主題歌が「友達のフリ」じゃなくてよかったですよね(笑)。
MEME:アッハッハッハ! それは良いオチですね(笑)。映画では高校生たちが人間関係や社会に揉まれて、自分の気持ちを言えずに一歩踏み出せない様子が描かれていて。しかもキャラクターがいっぱいいる分、それぞれの悩みに共感できる部分があると思います。友だちを大切にしなきゃなって改めて思ったりとか。……あと、女子が凄くかわいかったです!(笑)
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Interviewer:杉岡祐樹|Photo:佐藤恵
調布市と和泉市への地元愛を詰め込んだ2曲
--また、今回はカップリングに3人の地元愛を詰め込んだ楽曲が収録されています。「ココロトリコキミに」は、ふるっぺさんと森さんの出身地 和泉市の“ココロトリコイズミ”というキャッチフレーズにインスパイアされて誕生した楽曲だそうですが、編曲をJazzin'parkの久保田真悟さんと栗原暁さんが手がけています。
ふるっぺ:キラキラ感が凄く増したというか、この前のアルバムまではバンドサウンドを中心にしていたんですけど、今回はもうちょっと幅を持たせたいと思ってJazzin'parkさんを紹介していただきました。 自分はバンドサウンドが好きなんですけど、それだけだと聴いてる方はおなかいっぱいになっちゃいますよね。色とりどりで何でもアリな所がこだわりというか、捕らわれないこと。そして、メロディが歌いやすいものが良いと思っています。
森さん:「ココロトリコキミに」はAメロを打ち込みのドラムにして、後半から僕が叩き出すアレンジにしたので、凄く新しい感じはしました。音質自体も違うし、同じAメロなのに雰囲気が違って良いなって思いました。やっぱり曲が良くなる方がいいですよね。
--そして「このまち」は、MEMEさんの故郷である調布のフレンドリーソングになっており、作曲と、矢野まきさんとの共作で作詞もご自身が手がけました。
MEME:元々矢野さんにはボイトレでお世話になっていて、最初は全部、自分で書いてたんです。ただ、もうちょっとリライトしたいなって思っていた所を矢野さんに直してもらって作っていきました。
--日ごろ京王線を使っている人間からすると、嬉しい単語も歌詞に導入されていますね。
MEME:ありがとうございます! 入れちゃいました(笑)。ケラケラも私も、調布があって今があるので感謝の気持ちが大きくて! その気持ちを詰め込みたくて、高校時代の体験談を歌詞にしました。環境は変わっていくけど変わらないものもあるというか、調布の街もキレイになって駅が地下にいったりと変わったけど、私たちは変わらないよっていう気持ちを書いてます。
「ひとつだけ」で一番キュンとくるメロディは?
--では、MEMEさんにとってシンガーの理想像というのは?
MEME:より多くの人の心に届く、つらいときに「ケラケラ聴きたい!」って一番に選んでくれるファンの人をいっぱいつかめるような歌をうたわなければいけないなって思いますね。上辺だけじゃなくて内面のこととか、人には言えない悩みも歌いたいです。生活の中で感じる幅広い感情を歌いたいというのがあって、さらにそれを一個一個深く伝えられたらいいなって。
--かつて聴いていた音楽はどういったものなのでしょう?
MEME:椎名林檎さんとかCoccoさんとか……
--意外ですね。
MEME:よく言われるんですよ(笑)。でも、学生時代はそういう音楽を聴いてましたね。ジュディマリを聴いて元気!っていうときもありましたし……。とにかくメロディが響く曲が好きで、明るいとか暗いとかはあんまり考えてなかったと思います。メロディがキュンとくるのが好きです!
--どういうメロディがキュンとくるのでしょうか? たとえば「ひとつだけ」の一番のキュンポイントは?
MEME:えー!?(笑) そうだな~……、でもやっぱり高音で“大好きよ 大好きよ”って歌った後の“一歩踏み出したい”は一番気持ちが出せる所だと思います。
ふるっぺ:僕もですか? えーっと……、個人的には2回目のサビの後の“ねぇ神様 教えて欲しいよ 二人のことを”っていう所で、溢れた感情がメロディに上手くハマッたと思いますね。
森さん:僕もふるっぺとかぶりましたね。僕はGOING STEADYさんとかを聴いてきたので、まず“神様”という言葉で高音にいくのが心地良いです。
--では、最後に「ひとつだけ」はどんなときに聴くと一番楽しめると思いますか?
MEME:私は片想いのときに聴いて欲しいなって思います、それも楽しい片想いというか、「お互い好きでしょ、もう!」みたいな!(笑) そういう良い感じでダメなときもあるじゃないですか。だから片想いならではの楽しい時期に聴いてもらえたらいいなって!
--これからバレンタインなどもありますが、歌詞にもチョコレートが出てきたりしますしね。
MEME:はい! チョコと一緒にCDを渡して欲しいです!
--“大好きよ 大好きよ”って高音で歌い上げてる曲をプレゼントするって、もの凄いアピールですよね(笑)。
MEME:アハハハハ! そうですね!(笑) ぜひ!
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Interviewer:杉岡祐樹|Photo:佐藤恵
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