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videoolio vol.9: Keziah Jones ~注目のアーティストをビデオで紹介~

キザイア・ジョーンズ特集

 旬なアーティスト、注目のバンドなどをビデオを通じて紹介する【videoolio】。第9弾は、5年ぶりのニューアルバム『キャプテン・ラギット』をリリースし、2月には待望の来日公演を控えるナイジェリア出身の奇才ギタリスト キザイア・ジョーンズ。ギターを叩くように演奏するスラップ奏法と『ブルーファンク』なるスタイルでたちまち成功を収める。ブルース、ファンク、アフロ、ロックを融合した彼の音楽と比類なき演奏スタイルを数々の映像とともに紐解いていく。

さらに、キザイアと同じくスラップ奏法で世界を股にかける日本人ギタリスト MIYAVIからキザイア来日に向けたコメントが到着!

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キザイア・ジョーンズ

captain rugged
▲『キャプテン・ラギット』

 さっそくではあるが、5年ぶりのニューアルバム『キャプテン・ラギット』が1月15日にリリースされた。キャプテンラギットは、キザイアが創り出したスーパーヒーローのこと。キザイア自身『へヴィーで、ダークで、サイケデリック・アフロ・ファンク』と語る同アルバムは、これまで以上に激しく、エレクトロニックな要素やホーンを入れた楽曲など、これまでとはまた違った内容になっている。

 そのアルバムのリード曲「アフロニューウェーブ」は、キザイアの代名詞であるパーカッシヴなギターが民族的で妖しげな雰囲気を醸成しながら爆発的なサビに持ち込む、アフロ・ファンク・ロック・ナンバー。アフリカ音楽の将来を歌ったこの曲についてキザイアは、アフリカ音楽はもっともっとメイン・ストリームになれると確信を持っている。

キザイア・ジョーンズ

Rhythm is love

 『ブルー・ファンク』という新たなスタイルと共に、シーンを震撼させた1stアルバム『ブルーファンク・イズ・ア・ファクト!』から、ファンキーな中にレゲエも取り入れた心地よいミドル・テンポのナンバー。この曲の特筆すべきは、小気味よいギターの上に乗っかっている20代前半の伸びやかで、瑞々しいキザイアの歌声だろう。このミュージック・ビデオのように、キザイアはロンドンやパリでバスキング(路上やバスで演奏をして、客から投げ銭をもらうこと)をしており、「どうやったら足をとめて自分の演奏を聴いてもらえるか」を考えていた。そして彼は、他人とは違う、よりスペクタブルな演奏を身に付けていったのだ。彼のデビュー前後をまとめたショートフィルムも公開されている。

キザイア・ジョーンズ

million miles from home

 1stアルバムから3年後の1995年にリリースされた2ndアルバム『アフリカン・スペース・クラフト』に収録されている、ファンの中でも人気の高い曲。前作と比べるとかなり大胆にディストーション系のサウンドを取り入れたロック色の強いアルバムだが、この曲も歪んだソロと特徴的だ。キザイア自身、ジミ・ヘンドリックスに影響を受けているし、レニー・クラヴィッツはキザイアの才能をいち早く見抜き、オープニング・アクトに起用したり、ツアー・メンバーとして参加させていたことも少なからず彼の音楽性に影響を与えた。

キザイア・ジョーンズ

I'm known

 3rdアルバム『Liquid Sunshine』は1st、2ndアルバムと比べかなり様相が異なる。「I'm Known」を聴いても分かるように、西洋っぽい不思議なメロディやトリッピーなサウンドが印象的だ。アルバムもミドル、スローテンポな楽曲が多く、前作までに見られたパーカッシヴなギターも多くはないが、歌とメロディをじっくりと堪能することができる。アルバム制作の際には基本的にアルバムのテーマを先に考えるというキザイアは常に実験的で、新たな発想とコンセプトを我々に提示してくれる。

キザイア・ジョーンズ

beautiful emilie

 賛否を巻き起こした『Liquid Sunshine』から4年の月日を経てリリースされた『BLACK ORPHEUS』ではパーカッシヴなギターも復活し、アフロ、ブルース、ファンク、レゲエ、トライバルな要素がバランスよく詰め込まれている。「Beautiful Emilie」はその中でも「Rhythm is Love」に近い、レゲエ要素を含んだナンバーで、2006年に行われたインタビューの中でキザイアは、今作は『ブルーファンク・イズ・ア・ファクト!』の時に浮かんだアイデアの最終章であり、4枚のオリジナルアルバムを通して自己分析を試みていたと語っている。

キザイア・ジョーンズ

my kinda girl

 4枚のアルバムで自己分析を終えたキザイアは、次作『NIGERIAN WOOD』を持ってさらなる高みに達する。「My Kinda Girl」は自身のスラップ奏法とともに、かなりメロディアスで軽快。FM曲でパワープレイされてもおかしくない程曲としての質が高い。この曲を通してキザイアを好きになったファンも多いだろう。自身の持ち味であるギターと歌、そしてコーラスやアフロ・ファンクな要素をさらに昇華させた名盤、名曲。

キザイア・ジョーンズ

lunar

 最新アルバム『キャプテン・ラギット』からもう一曲。キザイア自身もギターの比重、役割がより高まったと語ったように、この曲もメロウ、ポコポコと鳴らしながら弾くギターの存在感が大きい。同アルバムは楽しさを追求するとともに、政治的なメッセージも含まれており、それらを架空のヒーロー『キャプテン・ラギット』を通して伝えているのだという。

キザイア・ジョーンズ

kizaiah jones lesson

 超絶テクニックがオン・パレードなキザイアだが、彼のYoutubeのチャンネルでは、ギターのレッスン映像を公開している。自身の曲を題材に、右手の使い方から演奏のコツまで惜しみなくレクチャーしてくれている。丁寧なことに、演奏と共に楽譜、タブ譜も表示され、時に「分かんねえよ!」とツッコみたくなるくらい複雑な譜面もあるが、彼の技術を学びたいギター・プレイヤーは必見だ。

キザイア・ジョーンズ

 ここまで、キザイアの楽曲を紹介してきたが、彼の真の凄さはやはりライブで見ないと分からない。映像や音源だけでは伝わらない演奏の迫力、スキル、ソウルフルな歌は観る者の心と体を大きく揺れ動かす。
 1つ目の映像はニュー・アルバムから「Afronewave」のライブ。イスに座ったスタジオライブではあるが、手元の激しい動きは変わらない。それは演奏開始1分30秒の間に起こるハプニングが物語っている。開始40秒で6弦がブツっと切れ、そのまた30秒後には5弦が…これにはキザイアも思わず笑ってしまっている。
 2つ目の映像は数年前のモントルー・ジャズ・フェスティバルのもの。バンドの熱量が徐々にオーディエンスに伝播し、体を揺らし、跳びはねる様子が映像からも伝わってくる。
 2月には約5年ぶりの来日公演を行う。楽曲の制作と共に、数々のフェスやライブをこなしさらに円熟味を増したキザイアのパフォーマンスは、ギター・ファン大注目のステージとなる。上半身からにじみ出る汗と共に、彼の魂のプレーを是非味わってもらいたい。



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t4

▼Keziah Jones「Funderlying Undermentals」

▼MIYAVI「Horizon」

キザイア・ジョーンズ「キャプテン・ラギッド」

キャプテン・ラギッド

2014/01/15 RELEASE
WPCR-15440 ¥ 2,703(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.アフロニューウェーヴ
  2. 02.ノリウードゥー
  3. 03.ハイパセティカル
  4. 04.ルナ
  5. 05.ユートピア
  6. 06.フォーリング
  7. 07.メモリー
  8. 08.ラギッド
  9. 09.アンド・ザ・フリー
  10. 10.ラフター
  11. 11.プレイズ
  12. 12.エンジェルズ・アンド・デヴィルズ (日本盤のみボーナス・トラック)
  13. 13.ポストコロニアルマザーシップ (日本盤のみボーナス・トラック)
  14. 14.アンセスターズ (日本盤のみボーナス・トラック)
  15. 15.テレフォン (日本盤のみボーナス・トラック)
  16. 16.ラギード (日本盤のみボーナス・トラック)

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