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ファンキー・ミーターズ来日記念特集
ニューオーリンズ・ファンクの生みの親としてファンク史に燦然とその名を刻むミーターズ。テケテケしたギターに、野太いベースライン、大胆にオルガン、そしてタイトなドラム。彼らの創り出してきた音楽は、時に教科書として、時にサンプリング音源として、30年以上経った今でも多くのミュージシャンに影響を与え続けている。特にヒップホップとミーターズの結びつきは強く、名だたるアーティストに拝借された楽曲は枚挙にいとまがない。今回の来日では、オリジナル・メンバーであるアート“パパ・ファンク” ネヴィル、ジョージ・ポーター・ジュニアも揃い、伝統と革新のグルーヴをこれでもかと見せつけ、ファンク・ファンはもちろん、ヒップホップ・ファンにも見逃せないステージとなる。その来日を前に、ジャンルを超えて根付いている彼らの楽曲を振り返ってみよう。
1969年に発表されたミーターズのデビューアルバム『ミーターズ』の1曲目を飾っているまさに代表曲。ベースのジョージ・ポーターJr.と当時のギター、レオ・ノセンテリの強力で印象的なリフ、モデリストの産み出すリズムは後世のアーティストに大きな影響をもたらした。楽器プレイヤーにとっては格好のセッションやカヴァーのネタとなり、ジョン・スコフィールド、ジョン・メイヤー、ジャコ・パトリシャスなどカヴァーしてきたアーティストは数え切れないほど。ラッパーやプロデューサーにとっては絶好のサンプリングソースであり、RUN-DMCやA Tribe Called Quest、同じニュー・オリンズ出身でダーティ・サウスの先駆けとなったMASTER Pなど、多くのヒップホップ・アーティストにサンプリングされている。ギターやベースだけでなく、冒頭の掛け声の部分はN.W.A.「NIGGAZ 4 LIFE」やPizzicato Five「Tout, Tout, Pour Ma Cherie」でも使われた。Pizzicato Fiveの小西康陽氏は他の曲でもこの声ネタを使用している。原曲でなくとも、どこかで聴いたことのある人は多いだろう。
▲MASTER P「211」 |
大滝詠一の「福生ストラット」も、シシー・ストラットに影響を受けている。
これを聞かずしてディープ・ファンクを語るなかれ。1969年にリリースされたセカンド・アルバム『ルッカ・パイ・パイ』に収録された、太っといグルーヴ感に満ちた名曲。DJプレミアとグールーによるデュオ、Gang Starrの「Take A Rest」でもそのグルーヴィーなベースラインがばっちり使われている。
▲Gang Starr「Take A Rest」 |
アメリカのR&Bシンガー、エイメリーが大きな飛躍を遂げることとなったヒット・ソング「1 Thing」には、「Oh, Calcutta!」のブレイク部分が大胆に使われ、ミーターズをサンプリングした曲の中でもかなりの出世作となった。「1 Thing」は聴いたことがある人も多いのではないだろうか。
▲Amerie「1 Thing」 |
『ルッカ・パイ・パイ』からサンプリングされた曲は多く、ICE CUBEやDJ SHADOW、CYPRESS HILLらも自身の楽曲に取り入れている。その中のオルガンとベースのリフが印象的な「9 Till 5」もまた例外ではない。ヒップホップのニュースクール時代の中核を担ったジャングルブラザーズがQ-Tipをフィーチャリングした「Black Is Black」に存分に使用されている。余談ではあるが、「Black is Black」のホーンは、Lightnin' Rod feat. Kool & the Gang「Sport」からサンプリングされている。
▲Jungle Brothers 「Black is Black」 |
『ルッカ・パイ・パイ』から時を置かずしてリリースされたサード・アルバム『ストラッティン』の中でもこの曲は、多くのアーティストを魅了してきた一曲。冒頭から登場する「Clap your hands now」というフレーズは、A TRIBE CALLED QUEST、Black Eyed Peas、ERIC B & RAKIM、GANG STARRら多くのラッパー達の心をくすぐった。
▲A Tribe Called Quest「Clap Your Hands」 |
1974年にリリースされた5枚目のアルバム『リジュヴェネイション』からは、「Just Kissed My Baby」がパブリック・エネミーの「Time Bomb」に使われている。また人気ゲーム『グランド・セフト・オート4』の中でも使われている。このアルバムもネタの宝庫であり、ビースティー・ボーイズやKRSワン率いるブギ・ダウン・プロダクションズは「Hey Pocky A-Way」をサンプリング、レッド・ホット・チリペッパーズやダーティー・ダズン・ブラス・バンドは「Africa」をカバーしている。
▲Public Enemy「TIMEBOMB」 |
1969年にデビュー、77年に解散と短い活動期間ではあったが、20年以上たった今でも多くのアーティストに影響を与えた。シンプルながらも独特のフレーズ、タイトなビート、ファンキーなグルーヴは、ジャンルを超え、リスナーのみならず多くのアーティストを魅了してきた。時にスカスカともいえるサウンドは、サンプリングする者たちにとって格好の素材となった。ニューオーリンズ・ファンクの生み親は、ファンクはもちろん、ヒップホップを語る上でも欠かせない存在となり、2013年、そして2014年と「ロックの殿堂」にもノミネートされ名実ともに名を刻んでいる。ミーターズの産み出すグルーヴは、今後も新たに生まれ変わりながら受け継がれていく。B-Boy諸君も今一度、ミーターズの音源を掘ってみてはいかがだろうか?
来日公演情報 / リリース情報
ビルボードライブ大阪:2014/1/16(木)
>>公演詳細はこちら
ビルボードライブ東京:2014/1/17(金) ~ 1/18(土)
>>公演詳細はこちら
関連リンク
ニューオリンズ・ファンクの覇者
2014/01/29 RELEASE
WPCR-27714 ¥ 1,047(税込)
Disc01
- 01.ピープル・セイ
- 02.ラヴ・イズ・フォー・ミー
- 03.ジャスト・キスト・マイ・ベイビー
- 04.ホワッチャ・セイ
- 05.ジャングル・マン
- 06.ヘイ・ポッキー・アウェイ
- 07.イット・エイント・ノー・ユース
- 08.ラヴィング・ユー・イズ・オン・マイ・マインド
- 09.アフリカ
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