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蟲ふるう夜に 『ホウセキミライ/最果ての近い星』インタビュー

蟲ふるう夜に 『ホウセキミライ/最果ての近い星』 インタビュー

 2013/12/14。まだブレイク前のインディーズバンドながらフェスを主催した“蟲ふるう夜に”というバンドの女性ボーカル 蟻が、自身のアクトで「本当に価値がないと思ってたの。……だけど、誰かと出逢って、やっと自分っていう物語のオープニングロールが流れたなって……思う瞬間があったんですよ。みんなにもあるよね?」と語り、涙を溢れさせながら歌い叫んでいた。

 今時、誰かと出逢えて、人前でライブが出来る歓びを泣きながら表現するバンドマンも珍しいと思ったが、その一昔前の青春映画のワンシーンみたいなMCと、感情的過ぎる歌から一切の嘘を感じなかったことと、そこで披露された2つの新曲「ホウセキミライ」「最果ての近い星」に“世界を変えたい”という決死の覚悟を感じてしまったせいで、気付けばこっちも涙ぐんでしまっているという。かの命懸けだった青春時代を思い起こさせる、今時、よそではなかなか体験できない瞬間と遭遇してしまった。

 以前、異端児アイドルグループ BiSのプー・ルイ、BiSや蟲ふるう夜にのサウンドプロデューサーである松隈ケンタ、そして彼らの三つ巴対談を組んだことはあったのだが、今回は蟲ふるう夜にが今の音楽シーンにおいて如何に稀有な存在であるかを示すべく、蟻への単独インタビューを企画。恋人たちが行き交うクリスマスの夜、渋谷某所で実現することになった。

成績表を偽装。ケンカは男女問わず。マイノリティな人生。

犬 / 蟲ふるう夜に
▲犬 / 蟲ふるう夜に

--メリークリスマス。満喫してますか、クリスマス。

:結構イベントは好きなんで、昨日はラザニアを作りました。街中を行き交うカップルに対しては「爆ぜればいいのにな」って思いますけど(笑)。

--蟻さんはいつから屈折した女の子になっちゃったんですか?

:屈折(笑)。子供の頃は純粋でしたよ。小学校のときに両親の離婚があって、そこで深い傷を負ったんでしょうね。おかげでちょっと強くなってしまったかもしれない。

--両親が離婚するまではどんな女の子だったの?

:まず髪の毛がすごく長くて、腰ぐらいまで伸ばしてたんですよ。で、いつも絵を書いてて。人にそれを見せて喜んでもらえるのが好きで、絵本を書いたり。少し大人しめの女の子でしたね。女の子らしい女の子。母親の為に花を摘んだりもしてました。

--家族にはどんな風に育てられていたんでしょう?

:勉強に関しては厳しかったです。成績表が5段階になってて、ひとつ上がると親からお小遣いもらえるシステムになってて。だから成績表の数字をカッターで表面だけ薄く剥がして、消しゴムで作ったハンコで“5”って押してました。それでお小遣いをもらう。

--犯罪じゃねーか!

蟲ふるう夜に 『ホウセキミライ/最果ての近い星』インタビュー
▲蟲ふるう夜に

:(笑)

--さっき、屈折した理由を両親の離婚にしましたけど、その前から完成してるじゃないですか。

:そういう偽装精神は結構強かったです。

--なんですか、偽装精神って(笑)。そんな蟻少女が音楽に興味を持つようになったきっかけは?

:中学2年生のときに交通事故に遭ったんですよ。それで運転手がろっ骨を折って、大怪我で入院したんですね。私は無傷だったんですけど、車も大破してしまっていて。私、その車でドライブに行くのが大好きだったから……それでもし私が車だけでも治してあげられたら、その運転手が喜んだのかなと思って、それをきっかけに「あ、もう整備士になろう」って思ったんですよ。で、高校3年間、機械科で、39人の男の中、女子ひとりで過ごし。

--それもまたマイノリティな人生ですね。

:でも高校3年の夏に「車のこと勉強してきたけど、自分がやりたいことなんだっけ?」って思ったんですよ。罪の意識でずっとやってたんじゃないかと。で、そのときに軽音楽部の部長をやってて、中学校もずっと合唱をやってたから「多分、歌がやりたいんだろうな」って気付いて。それで整備士になる夢を捨てて、歌をうたって食べていくことを目指し始めました。

--敬愛しているアーティストとかっているんですか?

:それがいないんですよね。普段の生活の中で音楽を聴かないぐらいなんで。

--それで歌いたいと思ったって珍しいよね。

:整備士もそうですけど、好きなものがやりたいことに繋がるとは限らないんだなって。車は物凄く大好きだったけど、車を洗車したり、修理したりすることは好きじゃない。で、音楽は歌うことに生き甲斐を感じるというか。好きとか楽しいっていうより、自分が生きてるっていう感じがするからやってる。

--そうして歌うことに魅了されていく一方で、格闘技もやっていたと。なんで始めようと?

蟲ふるう夜に 『ホウセキミライ/最果ての近い星』インタビュー
▲蟻

:男に負けることが嫌だったんですよね、ずっと。ずるいじゃないですか、男の子って。何にもしなくても女の子より力があるから。だから格闘技じゃなくてもよかったのかもしれないけど、そういう負けん気があったんでしょうね。

--一貫して“ナメられなくない”みたいな気持ちがある人なんですかね?

:ずっとありますね、それは。ナメられるの、大っ嫌いですね(笑)。だから空手を始めて、柔道をやって、それで骨を折ったんですよ。で、キックを始めて、それは今もたまにやってるんですけど。体を動かすのは嫌いなんです。でもそれよりナメられなくない気持ちが勝つから。

--いわゆる不良とは違ったんですか?

:自分は不良だとは思ってないんですけど。でもなんか、よく「怖い」って言われます。

--まぁ今の話聞いてるだけでも怖いからね(笑)。ちなみに何人ぐらいとケンカしたことあります?

:ケンカは……結構……男女問わず。でも顔を見ればケンカ的なことではないんですよ。仲間を守りたい意識が強いんですよね。だから仲間を傷付けられたときに怒りのピークが来る。あと、自分が築き上げたものとか、作ってきたものが壊される……まぁ昔にそういうのが壊れた経験もあるから、多分怖いんでしょうね。もう壊したくない、みたいな気持ちが強くて。だから自分の周りを傷付けようとする者に対して攻撃的なのかも。

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蟲ふるう夜に「蟲の音」

蟲の音

2012/08/22 RELEASE
SFCD-10003 ¥ 1,572(税込)

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