Special
Japan Hot100がリニューアル
総合楽曲チャート、『Billboard Japan Hot100』がTwitterのツイート回数と、CDのLook Up回数を新たに加え、パワーアップ!長い歴史によって培われたノウハウを持つ米国ビルボードの監修のもと、多様化する音楽マーケット動向を反映した国内唯一のチャートにリニューアルしました。
2008年2月。
ビルボードといえば、Hot100。つまり、異なる指標を合算して作られる総合楽曲チャートです。
半世紀以上にわたり培った計算メソッドを、日本のマーケットに合わせてカスタマイズ、米国ニールセン・サウンドスキャンと同じシステムを使用して全国の小売店POSシステムの実売数を元に総売上枚数を推定する株式会社エス・アイ・ピーと、全国32のAM/FMラジオ局の楽曲放送回数をモニタリングする株式会社プランテックの提供を受け、JAPAN Hot100が日本のチャート・ヒストリーを刻み始めました。
2010年12月には、ECサイトの実売数と、iTunes Japanの楽曲配信回数を加え、パッケージ・エアプレイ・デジタルの3指標による合算がスタート、第二歩を踏み出しました。
そして、2013年12月、Twitterの国内唯一のデータ再販パートナー、株式会社NTTデータによる楽曲ツイート回数と、グレースノート社の世界最大の楽曲データベースの盤情報の提供回数、つまりLook Up回数を加えて、パッケージ・エアプレイ・デジタル・ツイート・ルックアップの5指標を合算する、この組合せは世界でも初めてのハイブリッド・チャートです。
Hot100に、一層の集約と洗練を。
今までも、そしてこれからも。
新たな指標を加えてチャートを作るとき、日米の関係各社は長期間にわたり検討を行っています。
・今の音楽マーケットにおいて、この指標はどのような位置を占めるのか。
・この指標を合算した場合、各曲のレシオにどのような影響を与えるか。
・その指標に恣意的な作為が介入する余地は無いか。
様々な方向から、蓄積したノウハウと照合し、時には今までの計算方法を全て葬るほどに徹底した見直しを行い、新しいチャートを作るのはアメリカも日本も同じです。
『Hot100は“ランキング”ではなく、“チャート”である』。
1週間や1日、または1年で区切った結果を示す“ランキング”ではなく、楽曲が推移する過去と現在と未来を映し出す“チャート”を作り出しているということ。私たちは何度でも、この原点に立ち還ります。
これがビルボード計算メソッドの哲学であり、プライドです。
2013年3月の国際レコード産業連盟『2012年世界音楽売上』では、米国に次ぐ2位の日本の売上の8割はパッケージが占め、パッケージなら世界一です。一方、日本レコード協会『2012年度音楽メディアユーザー実態調査』の「CD購入・レンタル利用・インターネット有料音楽配信購入の構造」をみると、新品CD購入率は29.4%、有料音楽配信・着うたフル購入率は12.1%、CDレンタル率は21.6%で、セールス・データには表れない利用動向の存在があることは明らかです。
Hot100には、実売データ(国内売上の85%)を補完する、もう一つの指標が必要でした。
いくつかの方策を慎重に検討し、1日あたり5.5億クエリという世界最大のトラフィックを誇るグレースノート社の、楽曲データベースにユーザーがアクセスして得られるパッケージ情報の提供回数、つまりLook Up回数を元に算出した指標が、購入以外のパッケージ利用動向を補完するに足ると判断しました。Look Up回数からシングル・データを抽出、係数を掛けて合算、このプロセスを、長期に亘り日米で検証、実装に至りました。
日本特有のパッケージ利用動向をも反映させる、マーケットを追い続けた結果の一つです。
2013年5月に発表された、株式会社博報堂DYホールディングス『全国ソーシャルメディアユーザー1000人調査』によると、Yahoo!、Googleといった検索・ポータルサイトやYou Tubeなどの動画サイトを超えて、インターネットの1日の利用時間が平均219分のうちソーシャル・ネットワーキングサービスが78分を占め、SNSが日常的な情報接触の主役となっていることが分かります。
ラジオでは、リスナーが聴いてくれる限り、どんな楽曲も放送します。だからこそビルボードではテレビよりもラジオの放送回数を使用しています。その観点において、ユーザー動向を量り得るSNSは、非クローズド・メディアであるTwitterであり、また日本ではユーザーは複数のSNSを併用する傾向が高く、ソーシャル・メディア全体の動向を推し量る第一段階として有効と判断しました。
そのデータ計測で最も信頼出来るのは、日本唯一のTwitterデータ再販パートナーとして、膨大なデータ全ての提供を受ける株式会社NTTデータでした。
そこで問題になったのは抽出のアプローチです。
ツイート全体から楽曲名だと、重複楽曲名を識別出来ず、アーティスト名だけだと楽曲チャートに加えるロジックが有りません(実際やってみました)。そこで、楽曲とアーティスト名共に全文/部分一致しているツイートのみを抽出することにしました。以前の方法よりも抽出総数は減りましたが、類推や作為が入らないためにはこれが一番だったのです。
信頼できるデータのみ。ラジオとTwitter、どちらのメディアを反映するときも、それは変わりません。
変わること、変わらないこと。ビルボードが教えてくれたのはチャートだけではありませんでした。
ギターにアンプを繋ぐように、レコードに針を落とすときのように、ドキドキする音楽に出会うプレイリストとして、チャートは今も昔も変わらず有効です。チャート1位になると今でもニュースになりますが、チャートはそのためだけではなかったはずです。毎週発表されるチャートが楽しみじゃなくなったのは、いつからでしょう。セールス・ランキングだけでは共感出来なくなった頃からではないでしょうか?
Do You Believe In JAPAN Hot100?
もっと音楽を楽しむために。
米国ビルボードのコメント
シルビオ・ピエトロルオンゴ(ビルボードチャート ディレクター)
The Billboard Hot 100 chart has always been a barometer for fans’ musical preferences and consumption, providing insight into the diversity of music markets worldwide. Since its inception in 2008, the Billboard Japan Hot 100 has served to reflect the most popular songs in the country, based on the ways fans consume music in this very unique marketplace. Incorporating Twitter mentions bring the chart its first social component while ‘look-up’ data highlights rental/sharing activity which plays an important part in how music is experienced in Japan. The new data points are a logical complement to the chart’s existing measurement of physical sales, digital downloads and radio airplay, assuring the Hot 100 is the most accurate ranking of hit music in Japan.
(訳)ビルボードHot100は、音楽ファンの嗜好や消費のバロメーターとして、世界中の多様な音楽マーケットの動向を示してきました。2008年の誕生よりビルボード・ジャパンHot100は、日本のユニークなマーケットでの音楽の消費動向を基に、国内でポピュラーな楽曲をそのチャートに反映してきました。この度、新たにツイート数が追加されることによって、チャート史上初となるソーシャルメディアの要素と、そして(グレースノート社の)“ルックアップ”データを加えることで、日本において重要な音楽の消費動向であるCDレンタルや貸し借りの要素も加味することとなります。パッケージ・セールス、デジタル・ダウンロード、ラジオ・エアプレイの合算による現在のチャートにとって、この新たなデータ指標は論理的な補完であり、ビルボード・ジャパンHot100が、日本国内において最も正確なヒット曲ランキングであることを証明しています。