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野宮真貴 “渋谷系”スタンダード化計画書 ~完全版~

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 11月1日にビルボードライブ大阪、3日にビルボードライブ東京にて行われたスペシャルライブ【「野宮真貴、渋谷系を歌う。」〜野宮真貴“渋谷系”スタンダード化計画〜】。大反響を呼んだこの公演で披露された“渋谷系”そして、そのルーツとなった名曲の数々と、当日の華やかなステージ・ファッション、この日のために用意された“女性力アップ”カクテルのレシピなどを改めておさらい!「野宮真貴“渋谷系”スタンダード化計画~完全版」をお届けします。

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 昨年はデビュー30周年記念公演@ビルボードライブが大きな話題を呼んだ野宮真貴が、2013年公演のテーマに掲げたのは「野宮真貴“渋谷系”スタンダード化計画」。時代を超えて世界中で愛され続ける渋谷系の名曲、そして、それらのルーツとなった名曲の数々を、元祖渋谷系の女王自らが歌い、永遠のスタンダード・ナンバーとして世界に向けて発信するという壮大なプロジェクトでした。

Live Photo by YOSUKE KAMIYAMA

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 まずは、このスペシャルライブのセットリストを、公演のプロデュースを手がけた音楽家・坂口修(O.S.T. INC.)によるライナーノーツ「野宮真貴“渋谷系”スタンダード化計画書」(※当日会場にて配布)をもとに、全曲ご紹介します。(★は坂口氏のライナーノーツより引用。敬称略。)

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KEITA MARUYAMA 2013-2014 AW COLLECTION
▲KEITA MARUYAMA 2013-2014 AW COLLECTION [VIDEO]

 ショーのオープニングを飾ったのはDREAMS COME TRUEのステージ衣装やJALの新制服も手掛けているファッション・デザイナーKEITA MARUYAMA 2013-2014秋冬コレクション・ムービー。このコレクションのために、野宮は小沢健二の「ぼくらが旅に出る理由」をカヴァーし、映像にも出演。このプロジェクトへの参加も「野宮真貴“渋谷系”スタンダード化計画書」を始めるひとつのきっかけになったと、野宮真貴本人が語っています。

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 1993年発表、ピチカート・ファイヴの6枚目のシングル。言わずと知れた超代表曲のイントロとともに、鮮やかなドレスを身にまとった野宮真貴がオンステージ。まさに“渋谷系”のアンセムといっても過言ではないこの曲は、ビブラヴォンを取り入れた2013年版アレンジで華やかに披露されました。

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 「渋谷系といえば、この人を忘れてはいけません。」というMCに続いて歌われたのは、コーネリアスこと小山田圭吾が1994年に発表した1stアルバム『ザ・ファースト・クエスチョン・アワード』収録曲「The Love Parade」。この曲に野宮がコーラスで参加していることは、ファンの間では常識ですね。

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 今回の企画のきっかけとなり、また“渋谷系”の生みの親といっても過言ではないバート・バカラック初期の作品。1963年にイタリア人女優ソフィア・ローレンがフランス語の「Donne-Moi Ma Chance」というタイトルでカヴァーし、アレンジをアルマンド・トロヴァヨーリ(これまた“渋谷系”を代表する伊映画『黄金の七人(1965年)』の音楽で知られています)が手掛けていることで注目されました。

 今回お手本としたのは、それをシャンソンとして取り上げた越路吹雪のヴァージョン。1964年7月、先日逝去された岩谷時子訳詞で「サン・トワ・マミー」のカップリングとして東芝音楽工業からリリースされた記念すべきバート・バカラック日本語カヴァー最初期の曲。1967年の大晦日には第18回NHK紅白歌合で歌われています。

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 バート・バカラックが1963年7月にソロ・デビュー・シングル「サタディ・サンシャイン」をリリースしたのはN.Y.のKappレコード。その約半年前の2月に同社の看板アーティスト、ルビー・アンド・ザ・ロマンティックスによって全米チャートNo.1の大ヒットになっていたのがこの曲です。  発表されてからすぐに多数のアーティストが挙ってカヴァーし、カーペンターズ(1973年5月)やフランキー・ヴァリー(1975年10月 全米チャート11位)、最近では故エイミー・ワインハウス(2011年12月)までもが時代を越えて取り上げました。

 元祖ソフト・ロックともいえるボサノヴァ風の奇跡の名曲で、作詞のボブ・ヒリアードは「プリーズ・ステイ」「エニー・デイ・ナウ」「恋するメキシカン」等、1960年代初期の楽曲でバート・バカラックとパートナーを組んでいます。(バカラックにR&Bの影響を与えたのは彼なのかも知れません)作曲/アレンジのモート・ガーソンは、“渋谷系”再評価アーティストの代表格、ロジャー・ニコルズ・トリオのデビューにも携わり、1966年5月の彼らの1stシングルではこの曲を取り上げ、アレンジを再び自ら手掛けるという力の入れようでした。

 日本では、オリジナル版がルビーとロマンティクス名義で1963年4月に東芝音楽工業から「燃える初恋」のタイトルで発売され、1992年10月には、小西康陽プロデュースの井上睦都実の1stアルバム『恋は水色』で日本語詞によってカヴァーされています。

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 1977年春の資生堂CMソングで、タイアップ・ソングがヒットした曲のハシリです。アレンジャーは“渋谷系”に大いに影響を与えたミュージシャン・プロデューサー・ユニット、ティン・パン・アレーの松任谷正隆(他には細野晴臣、鈴木茂、林立夫が参加)。演奏も、ティンパンを中心とするメンバーによるものでした。

 尾崎亜美は、1976年3月にポスト・ユーミンとして同じ東芝EMIからデビューし、スタッフも重なっていて、荒井由美御本人にも妹分として可愛がられています。後には、これまた“渋谷系”ルーツのキーとなる加藤和彦率いるサディスティック・ミカ・バンドのベーシスト小原礼と結婚し、彼女はティンパン&ミカバンド両人材と交差する貴重なアーティストとなりました。

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 渋谷系のルーツとなった3曲を披露し終えたところで、衣装チェンジのためにいったんステージを降りる野宮。その間、バンドメンバーによってこのライブのプロデュースを手がけた坂口修(O.S.T. INC.)が音楽を担当したドラマ『時効警察』『熱海の捜査官』、映画『インスタント沼』テーマ曲が「監督:三木聡メドレー」と題して披露されました。

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野宮真貴「30 -Greatest Self Covers & More!!!-」

30 -Greatest Self Covers & More!!!-

2012/01/25 RELEASE
AICL-2343 ¥ 3,204(税込)

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Disc01
  1. 01.マキのレキシ (Produced by レキシ)
  2. 02.東京は夜の七時 (Produced by DJ FUMIYA(RIP SLYME))
  3. 03.私の知らない私 (Produced by テイ・トウワ)
  4. 04.ベイビィ・ポータブル・ロック (Produced by ヒャダイン)
  5. 05.スーパースター (Produced by 雅-MIYAVI-)
  6. 06.スウィート・ソウル・レヴュー (Produced by DAISHI DANCE)
  7. 07.マジック・カーペット・ライド (Produced by コーネリアス)
  8. 08.トゥイギー・トゥイギー (Produced by □□□)
  9. 09.皆笑った (Produced by 高橋幸宏)
  10. 10.ウサギと私 (Produced by 鈴木慶一&曽我部恵一)
  11. 11.悲しい歌 (Produced by 大橋トリオ)
  12. 12.メッセージ・ソング (Produced by カジヒデキ)
  13. 13.陽の当たる大通り (Produced by YOUR SONG IS GOOD)
  14. 14.マキのヤボウ (Produced by レキシ)
  15. 15.スウィート・ルネッサンス -BONUS TRACK-

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