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第12回東京ジャズ特集レポート

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 アジア最大級のジャズの祭典【第12回東京ジャズ】が、9月6日から3日間にわたり東京国際フォーラム周辺で開催された。メイン会場のthe HALLでは、“デイ”と“ナイト”の2つのプログラムに3組ずつ出演し、土日の2日間でトニー・ベネット、チック・コリアなど12組の豪華ラインナップによる一夜限りのスペシャルパフォーマンスがステージで繰り広げられた。

the HALL 9.7 day

トニー

 7日、東京国際フォーラム・ホールAで開かれたthe HALLのトップバッターは、カナダの正統派ヴォーカリスト、マット・ダスク。チェット・ベイカーへのトリビュート「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」などを渋いヴォーカルで歌い上げると、ゲストの八代亜紀が登場しデュエットを披露。その後、八代がソロで「雨の慕情」をボサノヴァアレンジで聴かせ、「マットを宜しくね」とステージを去ると、マットはヒット曲「バック・イン・タウン」などでテンポを上げ、王子様スマイルと華麗なステップでジャズファンを魅了した。次に登場したのが、マヌ・カッチェ、カイル・イーストウッド、エリック・レニーニ、ステファノ・ディ・バティスタのモダン・ジャズプレイヤーの面々。美しい音色と超絶技巧で盛り上げると、いよいよトニー・ベネットがお目見え。衰えぬ声量と優雅なエンターテイナーの姿に、心酔した様子で1曲1曲大きな拍手を送る観客。それに応えるように、「スマイル」、「霧のサンフランシスコ」などのヒット曲を惜しげもなく披露してくれ、御年87歳の華麗なターンも拝めた。再三のスタンディングオベーションに何度もステージへ戻り、満開の笑顔で全22曲の大サービス。至福の時を過ごさせてくれた感謝に、拍手が鳴り止まなかった。

the HALL 9.7 night

ブエナ

 ナイト・プログラムは、大江千里Saturday Night Orchestraでスタート。ニューヨークで活躍する11人もの豪華メンバー達との1夜限りのプロジェクトで、新作『スプーキー・ホテル』を中心に10曲を披露。途中、シーラ・ジョーダンとマット・ダスクが飛び入りした。2組目は、リー・コニッツ・カルテットが登場し、「ボディ・アンド・ソウル」や「ケリーズ・トランス」を含む5曲を妖艶なアルトサックスで奏でた。初日のトリには、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブが登場。若い2名のヴォーカルも素晴らしく、冒頭からキューバの熱いリズムで会場を高揚させると、いよいよオマーラ・ポルトゥオンドがステージに降臨。割れるような拍手を浴びながら、「ムラータス・デ・チャチャチャ」、「キサス、キサス、キサス」などを披露し、全12曲で初日が締めくくられた。オマーラのカリスマ性と渾身のステージングに2階まで総立ち。満席の会場は、伝説のバンドへ大きな声援を送った。一方で、一足先に6日から開催されていた屋外の無料プログラムも、並んだ屋台と共に遅くまで盛り上がっていた。

the HALL 9.8 day

ボブ&サンボーン

 2日目のデイ・プログラムは、マンハッタン・トランスファーで爽やかに幕開け。「バードランド」に始まり「スペイン」で締める全12曲は、極上のハーモニー。2組目は、ラリー・カールトン ・ ブルース・オール・スターズが、「フライデイ・ナイト・シャッフル」や「マイ・ママ・トールド・ミー・ソー」など10曲を名演。客席からの拍手喝采に、スペシャルゲストのビル・ラバウンティ、そしてジョン・オーツも「ドント・クロス・ミー・ ロング」などの熱いプレイで客席に応えた。3組目は、ボブ・ジェームス&デヴィッド・サンボーンの再共演featuring スティーヴ・ガッド&ジェームス・ジーナス。27年ぶりにリリースした共演アルバムからマーカス・ミラー作曲の「マプート」を含む7曲をプレイし、デイ・プログラムを締めくくった。

the HALL 9.8 night

チック・コリア

 ナイト・プログラム、残るは3ステージ。トップバッターの21歳のピアニストai kuwabara trio projectが「ベット・アップ」など見事な6曲で助走を付けると、ピンチ・ヒッターとして再びステージに立つことになったあの2人が登場。ボビー・マクファーリンの来日中止に伴い組まれた代替えプログラムは、ボブ・ジェームス&デヴィッド・サンボーンに、スティーヴ・ガッド、ジェームス・ジーナスに旅行中だった娘のヒラリー・ジェームス、そしてサプライズゲストの小曽根真も加わってのスーパーセッション。本日二度目の「ディープ・イン・ザ・ウィーズ」は、ラリー・カールトンとの共演、ボビー・マクファーリンの「ドント・ウォーリー・ビー・ハッピー」を小曽根真とボブ・ジェーム連弾で演奏、ボブ・ジェームが震災支援のためにつくった曲「プット・アウト・ハーツ・トゥギャザー」で、娘ヒラリーと父娘共演が実現するなど、まさにジャズフェスの醍醐味。最後は、全てのメンバーがラインナップし、割れんばかりの拍手を浴びた。そして、第12回東京ジャズの最後のトリを飾ったのはジャズ界の巨匠、チック・コリア。新プロジェクトのザ・ヴィジルを引き連れ「テンプス・フージット」で華やかにスタートすると、新しいアルバムより2曲を演奏し、称讃の拍手の中グランドフィナーレを迎えた。

 2日間のホールプログラムは、ソールド・アウトする回も出るなど客足は好調。3日間で延べ35,000人が足を運び、各々のスタイルでジャズの祭典に酔いしれた。このイベントの模様は、10月8日、10月20日、10月27日にNHK BSプレミアムで放送される。

Photo:Hideo Nakajima / Rieko Oka

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