今のチキパには、爆発するものがない気がする

－－本日（9月7日）イベントを行っているお台場 ダイバーシティ東京といえば、7月末に【TOKYO IDOL FESTIVAL 2013】が行われました。そこでたくさんのアイドルと共演しましたが、違いや差を感じる所はありましたか？

鈴木友梨耶：他のアイドルさんを見ていて、歌が上手い方やダンスが凄い方はたくさんいらっしゃったんですけど、やっぱりライブはチキパが良い！って思いました。自分たちが楽しいのはもちろん、初めて観たと思うお客さんも最後には絶対一緒に盛り上がってくれたし、一緒にジャンプしてくれたりサイリウムを振ってくれたりしていたので。だからたくさんのアイドルファンの方々がいる所は、チキパの武器を活かせる最大の場所なんじゃないかと思います。

－－ただ、そうした武器を持ちながらも、ファンが劇的に増えていかないという現状もありますよね。その理由はどこにあると思いますか？

鈴木友梨耶：チキパは音楽が好きとかライブのノリが良いとか、ちょっとアイドルから離れた所だったりするので、まずは知ってもらえればいいと思うんですよ。まだ知らない人が多いと思うので、アウェイの方がどんどん知ってもらえるし、将来爆発するんで！

溝呂木世蘭：……爆発するものがない気がする。

鈴木友梨耶：え？

溝呂木世蘭：たぶん、今の時点でチキパを知っている方はたくさんいると思うんです、SUPER☆GiRLSさんの妹分ということもあるし。

渡辺亜紗美：私も世蘭の言う通りだと思う。チキパのことを知ってくださっている方が、チキパのライブにちょっと足を運んだときに、どれだけ心を惹きつけられるか。それで人気とかも変わってくるんじゃないかと思っていて、一つ一つのライブで惹きつけるものをたくさん出していかないと、ファンはあんまり増えないんじゃないかなって思うんです。

やっぱりこれが今のチキパの現実なんだな

▲YouTube「Cheeky Parade～2013.7.26アイドルグランプリ～　Trailer」

－－つまり現状のチキパは惹きつけるものが足りていない？

渡辺亜紗美：今年の【TIF】は「他のアイドルさんのファンを獲っていこう！」って話をして臨んだんですけど、実際には去年ほどの波っていうのかな、去年と比べるとどこか衰えている気がして……。ライブのパフォーマンス力は上がっているって言っていただけたりするんですけど、去年は持っていたはずのものを今は持てていないんじゃないかって考えてて！

関根優那：去年は結成してすぐにCD5000枚完売という課題が出て、それが終わったらワンマンライブで800人動員という新しい課題が出て……っていう環境もあって、がんばれていた所があると思うんですよ。だけど最近はiDOL Streetという恵まれすぎた環境に慣れていた現実があったと思います。

そこに感謝がなかったわけではないんですけど、一つ一つをもっと丁寧にやっていたら、この夏が変わっていたかもしれない。そういう想いはみんな、どこかにあると思うんです。もっと早くに話し合っていくべきだったなって、今年の夏に入る前に凄く反省しました。

島崎莉乃：去年は本当にがむしゃらで、ときには体調を崩しながらもやっていって、「あー、やっと夏が終わった！」っていう達成感があったんです。今年は去年ほどはなかったかなって、ちょっと今、後悔しているというか。

関根優那：夏に入る前にみんなで話し合って反省して、それまでを取り返すためにも今年の夏はがんばろう！って部分があったんです。だから一つ一つ全力でライブして、終わった後は毎回反省会をして良くしていこうとやってきたんですけど、なかなかお客さんの動員に繋がっていかなくて……。そういう現実を目の当たりにして、「やっぱりこれが今のチキパの現実なんだな」って感じました。

－－話は前後しますが、チキパは今年の春より【アイドルグランプリ】と題してアイドルと対決するイベントを計5回開催（※1）してきました。ただ、夏に開催したスチームガールズ、BiSとの対決は思うようにいかなかった所もあったようですね。

山本真凜：イベントが押しちゃったりっていうのはよくあるんですけど、直前にセトリや対決内容が変わっちゃって大変でした。それにアイドルグランプリって、初めは他のアイドルさんのファンの方にもチキパを知ってもらおうっていうのが本来の趣旨でもあったイベントだったんですけど、開催するにつれてチキパのファンの人が共演してくださったアイドルの方を好きになっちゃうっていう現象が起きてて……（苦笑）。そういう現実もつらかったですね。

小鷹狩百花：5月のアイドルグランプリのとき、ベイビーレイズさんが乱入してライブを一時乗っ取られたんですけど、今になって思うとしっかりタイマンでやりたかったなって思います。ベイビーレイズさんはその後、テレビ朝日系『ミュージックステーション』に出てたり『あまちゃん』に曲が使われたりとか、凄いですよね。やり切っている感があるなって思います。

※1.詳しくは以下の記事を参照
第1,2回「チキパ しゃちほことの対決で惜敗、“妹分”剥奪される」

第3回「小生意気からアスリート系、乗っ取りまで… アイドルが新宿で激突」

第4,5回「チキパ 異端BiSらと対決でメンバー選んだ、MCなし7曲ぶっ通し」

アイドルには“小生意気”がたくさんいる

－－5月のアイドルグランプリのとき、小鷹狩さんは最後に涙を流していましたよね？

小鷹狩百花：決着のつけ方がくじ引きだったのが、自分的に納得いかなくて、「何でこんな決め方なんやろう……？」って。それで負けたら悔しくないですか？ ライブでちゃんと戦いたいのに、運って言われても……。

－－ということは、チームしゃちほことの対決で各3名が腰に万歩計をつけてステージを行い、万歩計のカウント数の多い方が勝ちというルールで惜敗した春のアイドルグランプリの方が納得できた？

小鷹狩百花：対決前に“負けたら妹分剥奪”って言われたんですけど、ライブのときまでは「何だかんだで、絶対剥奪されへんな」って思っていたんですよ。チキパで万歩計を付けてたのは（鈴木）真梨耶と莉乃と亜紗美だったから、「この3人ならイケるな！」って。ただ、ライブのときは時間の関係でチキパの曲数が1曲減っちゃったんですよ！ それを知らされたときは「負けた……」って（笑）。

山本真凜：超悔しかったんですけど、それも含めて勝負なので仕方ないなって。

鈴木真梨耶：あの！ 私的に今、凄い思っていることがあって！ （机を叩きながら）チキパってCheeky Paradeじゃないですか！ “小生意気で攻撃的な”をコンセプトに他のアイドルさんたちと戦っているのに、BiSさんとかしゃちほこさんとか、小生意気がたくさんいるってことに驚いたんですよ！ しゃちほこさんが「お前らーーーッ!!」って言いながらステージに現れた瞬間は焦りました！

－－また、BiSやスチガとの対決で披露した“MCなしの7曲ぶっ通しアクト”は、メンバーの発案だったそうですね。

山本真凜：ディレクターさんが「自分たちで考えてみたら？」って言ってくださって、みんなで考えた結果、水分補給もせずに汗だくになって、休憩なしでやり通すことが一番チキパらしいんじゃないかって。

小生意気って何だろう？

▲Cheeky Parade / 「無限大少女∀」（OUTSIDE Ver.）

－－あのライブはファンや関係者からの評価も高く、個人的にはデビューから観てきた中でも1,2を争う素晴らしいステージだと感じました。ただ逆に言えば、最近のライブでは小生意気というコンセプトに縛られすぎて、全力のアクトをやり切れていないという苦悩もあったのでは？

小鷹狩百花：アシスタントとして出演させていただいているtvk『カナガワニエン』とかもそうなんですけど、チキパはしゃべると普通の人というか（笑）。小生意気なら「ふーん、そう？」って感じじゃないですか？ 敬語は使わなきゃいけないと思うんですけど、そういうMCをやり切れてないような気がしてて。

永井日菜：衣装が派手でパフォーマンスは激しいけど、生意気さはまだ足りないのかなって。他のアイドルさんの方が、チィキィさがあると感じるときもあるし……。

小鷹狩百花：よく言われるのが“華がない”。

－－致命的じゃないですか（笑）。

永井日菜：全力全快で一生懸命がんばってるんですけど……、やっぱりチィキィって難しいですよね。これはチキパの課題でもあって、みんなともよく「チィキィ＝小生意気って何だろう？」って話し合うんです。

－－確かに今、Cheeky Paradeは周囲も含めて“小生意気で攻撃的”のコンセプトを見失いかけている所はあると思うのですが、そこで面白かったのが9月4日にリリースしたシングル『無限大少女∀』の歌詞なんですよ。

［Google検索：無限大少女∀ 歌詞］

－－イントロパートの“自分勝手ね，大人よ / いい加減にして できてるの？”という歌詞は、今の9人の本音を代弁していますよね。

永井日菜：普段のチキパじゃないというか、アイドルじゃないもう一人の自分、陰ですね！ 人間って、悔しいときとか嫌だなって思うときが絶対にあると思うんですけど、その本音を共感できる歌詞だと思います！

山本真凜：今回は勝負曲ということもあって、「チキパの本音を歌詞にしたい」っていうのがあったんです。日ごろの不満じゃないですけど、心にある感情もさらけ出そうとディレクターさんと話し合って、そのまま歌詞にしていただきました。本音を歌っているので、ライブでも気持ちが入ります！

他のアイドルさんに流れている人を呼び込むこともできる

－－チキパは秋に開催を予定していた日本青年館でのワンマンライブが、SUPER☆GiRLSやGEMも参加する【アイドル収穫祭 ～iDOL Street EXPO 2013～】に変更されるという発表がありました。

［参照：SUPER☆GiRLS 秋に日本青年館で後輩たちと無料ライブ開催］

－－今年の頭のメジャーデビュー時に発表して以来ずっと目標にしてきた公演で、そこにはかつて動員不足から青年館ワンマンをキャンセルした先輩 SUPER☆GiRLSへの挑戦という意味合いも含まれていた。節目になるはずだった公演が変更されてしまった現状とも奇跡的にリンクしたのが、『無限大少女∀』の歌詞だと思います。

永井日菜：変わってしまったのは本当に悔しいし、ファンの皆さんに申し訳ないですよね。

山本真凜：私も正直なところ、最初は【収穫祭】をチャンスに代えて、がんばろうとも思えなかったんです。でも、今のチキパだったらそこで多くの人をつかめると思うし、そうやって徐々に人数を増やしていって、いつか必ず、いつも応援してくださっているファンの皆さんに恩返しをしたいなって思います。

小鷹狩百花：私はイベントのタイトルが“アイドル収穫祭”だと知って、「あ、今、他のアイドルさんに流れている人を呼び込むこともできるんやな」って思いました。そう考えたら良い機会だと思うし、そこから繋げて、いつか開催するワンマンライブを最高なかたちに変えられるんじゃないかって。だから【収穫祭】は全力でやり切って、チキパの良さを出すしかないと思っています。

－－では、これからの活動の中で変えなければいけない思っている部分はありますか？

島崎莉乃：さっき百花が言っていたように、お客さんの前に出るとあんまりしゃべらない所があるんですけど、楽屋での元気さを見てもらったらいいんじゃないかなって思います。
変に飾ったりしないで、そのままを出して一生懸命ライブをがんばったら、違うチキパが生まれるんじゃないかって。もっと素を出した方がいいなって改めて思いました。

鈴木友梨耶：……ライブを変えたい、今のライブのやり方を。まだインディーズだったころ、自分たちで考えてやっていた結成当初のころの方が楽しんでいたと思うんですよ。
でも、段々形が固められていって、MCも「ゆ～にゃん（関根優那）が中心だ」って勝手に思い込んでしまったり……。もっとメンバーが個性を出せるライブにしたいし、みんなで企画を出し合っていた昔のようなことがやりたい。そういうライブの方がチキパらしいって思います。

9人が考える小生意気とは

▲メンバーの素顔も満載、毎週更新の「チキパ通信」

溝呂木世蘭：汐留のときは楽屋でMCや企画を考えたりしてたんですよ。「今日はこれに挑戦してみようか？」とか話し合ってたんですけど、今はアップに集中していることもあってやれていなくて。変えたいって言いながら、実行に移せてないんです。 自分がやりたいことを提案する人もいないし……。ちゃんと考えて提案したら良いんじゃないかな？ そうしたらチキパの気持ちももうちょっと伝わるんじゃないかなって。

渡辺亜紗美：……だって、なかなか採用されないんだもん！（笑）

関根優那：だけどそこに留まっていてはダメだって気づいたので、世蘭が言ったように実行に移していかなければいけないと思いますね。

島崎莉乃：もっとアイディアを出していきたいというか、自分たちが決めたことをやるんじゃなくて、まずはスタッフさんに私たちから提案して、みんなで一緒に作っていきたいです。

－－そういった現状を踏まえた上で、今後は“チィキィ＝小生意気”というものをどう捉えて活動していこうと思っていますか？

溝呂木世蘭：私はライブの中でも二面性を出していきたいと思ってます。曲が始まったら凄いパフォーマーになるけど、MCになったら普段のチキパが見れる。小生意気を意識しすぎて強い口調を使うんじゃなくて、元々の生意気を出せばいいと思うんですよ。
無理にキャラを作ってやっていたらお客さんにも伝わらないし、それだけで終わっちゃう気がするんですよ。ちゃんと自分なりの小生意気を見つけたいです！ 今、ちょっとだけ見えている所もあるので、それを出していきたいです。

関根優那：個性を持った9人がステージ上でも自由にやれるようになれば、もっと魅力が出てくるようになるんだと思うんです。それは自分から出していくことが必要だと思うので、出せるような環境というか。

鈴木真梨耶：やっぱり“ライブは小生意気”って言ってるだけでは伝わらないと思うし、もう言葉じゃないんですよ！ 「お前ら」って言うことだけじゃない。
自分たちの意思を強く持って、大人のことなんて気にしないくらいの勢い、お客さんが見ただけで分かるような、本当に楽しんでいて自由にやっている感じに溢れているライブを作っていきたいです！ 他のアイドルさんと違うって誰でも分かるようなライブを！

鈴木友梨耶：つらいことも前向きに捉えれば、次に繋がるわけじゃないですか。青年館がiDOL Streetのお祭りになっちゃったことも、チキパを好きな人たちが2000人来るより、今はチキパのことを知らない人にも観てもらうことが、今後のCheeky Paradeにとっては得なんですよ。
そうやってポジティヴに考えれば、何でも楽しめると思う。どんな逆境も楽しんじゃうなんて小生意気だな！って思われるグループになりたいです！