Special

華原朋美 『DREAM-Self Cover Best-』インタビュー

華原朋美 『DREAM-Self Cover Best-』 インタビュー

 昨年12月『FNS歌謡祭』での「I'm proud」歌唱をもって完全復活。それは彼女の運営やマスコミがいたずらに“完全復活”と煽った訳ではなく、言うならば視聴者も含む、あの瞬間に立ち合った人々の総意。5年半のブランクを経て復帰しただけではなく、その歌声がキャリアハイを迎えていたこと。「I'm proud」が完全に彼女の人生讃歌へと成長していたことは、2012年最後にして最大級のビッグニュースとなった。

 そして2013年。今の華原朋美の歌を世に響かせるべく、彼女はかつての名曲たちと対峙し、新たな一歩を踏み出した。セルフカバーアルバム『DREAM-Self Cover Best-』リリース。すべてが過去を凌駕する大傑作である。一体ここに辿り着くまでどれだけの絶望と希望を要したのか。愛と夢を膨らませてきたのだろうか。インタビュアーが「デビュー当時からのファンです」と告げると、朋ちゃんはニッコリ笑って語り始めた。

波瀾万丈な人生~吉野家つゆダクブーム~恋の終焉=青春
「そんなにねー、引きずってないですし、重い話でもないんです」

華原朋美 - I BELIEVE (from 「DREAM -Self Cover Best-」)
▲華原朋美 - I BELIEVE (from 「DREAM -Self Cover Best-」)

--ファンからすると、華原朋美ほど追い掛け甲斐のあるアーティストはいないなと思うんですが、1995年のCDデビューから約18年。自分ではどんなアーティスト人生を歩んできたと感じていますか?

華原朋美:ん~~、山あり谷あり………そんな言葉では足りないぐらい波瀾万丈な人生を送ってきていると思います。まさかこのような未来が待っているとは思わなかったし、「幸せはずっと続くのかな?」って思ってたり。いろんな風に思う自分がいたんですけど……でもなんだかんだ言って今が一番幸せなんですよね。元気になると、そのときが一番幸せだって思えるから。

--CDデビュー当時の心境ってまだ憶えてます?

華原朋美:憶えてますよ。テレビを観ると私のCDのコマーシャルが流れたりしていて。今はCDのコマーシャルってほとんど見ないですけど、当時はほとんどの番組の合間で流れていた。そういう世代なので、自分がテレビに映る度に嬉しくなったりして。あと、街のレコード屋さんに自分のCDがちゃんと並んでるかとか、そういうのを確認しに行ったりとか、すっごい楽しかったです。

華原朋美 『DREAM-Self Cover Best-』インタビュー

--CDデビューする前もタレントとしては活躍されていましたけど、音楽で生きていくことはずっと夢ではあったんですか?

華原朋美:歌手になれたのは偶然です。運が強かったんですよ、すごく。だから歌手になれただけで。でも高校生のときにちょうどカラオケが流行りだして、私もよく歌っていて「歌手になれたらいいなぁ」とは思っていました。

--華原朋美の歌声って誰のようでもありませんよね。当時から個性的な声とは言われていたんじゃないですか?

華原朋美:私、当時は個性的な声でも何でもなくて、曲がそういう風に育ててくれただけだと思うんですよね。最初からあんな高音が出た訳でもないですし、ある意味、本当に追いつくのが大変でした。

--デビュー後、比較的早い段階でヒットチャート1位を連発するトップアーティストへ。テレビ出演も急増し、朋ちゃんが好きと言ったもの、例えば、キティちゃんや吉野家の牛丼が話題になったりと、いわゆるスター的存在になる訳ですが、あの状況にはどんなことを感じていたの?

華原朋美:とにかく忙しくて。夏になったら海へ行って遊ぶとか、そういう普通のことが急に出来なくなっていって。外に出て気付いてもらえるのはすごく嬉しいんだけど、遊びに行けない。だから行くのはいつもカラオケ屋さん。久しぶりに次の日が休みだ!ってなったら朝までカラオケ、みたいな。

華原朋美 『DREAM-Self Cover Best-』インタビュー

--ちなみに吉野家の牛丼は今でもお好きですか?

華原朋美:うん、この間も食べました。美味しかった。

--吉野家の“つゆダク”を世に広めたのって朋ちゃんでしたよね。

華原朋美:(笑)。そんなこともないと思うんですけど、本当に“つゆダク”って頼んで食べていたんで。華原朋美としてデビューする前、違う名前でタレント活動していたときから。だから「何が好きですか?」って聞かれて、普通に「吉野家の牛丼。並、ギョク、つゆダクって言って頼むんですよ。美味しいんですよ!」って答えたものが、あんな風な形になって、皆さんに喜んでもらえるとは思いもしなかったんです! 吉野家のタダ券とかもらえて嬉しかった。本当に得したなって。

--(笑)。結果的に凄い宣伝効果になりましたからね。ちなみに当時の朋ちゃんは、今振り返るとどんな女の子だったなと感じますか?

華原朋美:うーん……汚れてない(笑)。何にも知らない人だったと思います。だからいろんなことを教えてもらいましたよね、きっと。

--あと、怖いモノ知らずの印象が強かったです。

華原朋美:それはありましたね! 怖いモノも知らないし、試練という言葉の意味も分かってなかったと思うんですけど、それでいろんなものを乗り越えていきましたね。例えば、仮歌をもらってから3日間で仕上げなきゃいけないとか。幸せな時期ではあったんですけど、曲を作るペースは速かったですね。物凄く良い曲がどんどんどんどん上がってくる中で、追いつくのがすごく大変。「I'm proud」は海外で録ったんですけど、物凄く熱が入ってしまい、もう全然ブースの中から出してもらえなくて、実は半泣き状態で歌っていて(笑)。でもそういう風にやっていかないと、声に優しさとかが欠けていたんだと思います。そう考えると、いろんな思い出がありますねー。「I BELIEVE」は声が出ないから上を向いて歌おうとか。

華原朋美 『DREAM-Self Cover Best-』インタビュー

--そして、99年以降も、何度かの活動休止と復帰を繰り返したり、センセーショナルなバラエティ番組に出演したりと、激動の人生を歩まれていく訳ですけど、華原朋美は何があっても歌い続けましたよね。それは何故ですか?

華原朋美:それしかないから。いつもいつも苦しくなる度に「なんで私はそこを追い続けるんだろう?」って、自分でも不思議に思うときがあって。でも私はそこしか知らないし、他のことをしようとしても分かんなくなっちゃうんですよね。お休みしている間にペットショップの店員さんになって、ペットのトリミングをやっていたことがあったんですよ。私自身、チワワを2匹飼ってて、ペットは大好きだから、ハサミの持ち方とかいろんなことを教えてもらったんですけど、やっぱり「私が持つのはハサミじゃなくてマイクだな」っていうところに辿り着いちゃうんですよね。

--いつ頃から「私には歌しかない」と思うようになったんですか?

華原朋美:ひとつの恋が終わって、それですべてがダメになっていき、私は人間として大丈夫なのかな? 生きていけるのかな?って思ったぐらいからです。「私には歌がある。歌をうたうことしかないんだ」って思うようになったんですよね。それ以降、いろんなことがあって、またダメになったりとか、もう自分の歌なんて聴きたくないと思うときもあったけど、やっぱり切っても切れない感じなんです。

華原朋美 - 夢やぶれて -I DREAMED A DREAM-
▲華原朋美 - 夢やぶれて -I DREAMED A DREAM-

--華原朋美が歌う曲は自らの人生と強くリンクしているものが多いから、時には「この曲を歌うのはしんどいな」みたいなこともある訳じゃないですか。

華原朋美:正直に言うと、あの頃のことってもう過去だけど、絶対に忘れないんですよ。忘れたいと思っても絶対に忘れられないし、忘れた時期があったとしても必ず思い出す。で、今回、セルフカバーアルバム『DREAM-Self Cover Best-』で当時の曲を歌うにあたって、歌詞のフレーズとかひとつひとつ見ていてもいろんなことを思い出す訳ですよ。「ふたりであそこに行って手を繋いだな」とか。でもそれって私だけじゃなく、当時この曲を聴いていた人にも言えると思うんです。そのときしていた恋愛を思い出したり。私もそういう“良い思い出”という形にやっと辿り着けたので、改めて振り返ることができて、歌うことが出来てるんですよね。あれがあったから今があるとか、今はもうきちんと過去をストーリーとして見られるので、振り返ってもいきなり落ち込んじゃったりはしない。ひとつの青春ですよね、それぞれの曲が。

--飲み込みましたね、歌で自分の人生を。

華原朋美:歌をうたっていたのは私で、今改めてこうして歌えているのも私なんだっていう。逆にそういう状況になれてよかったねって、感謝ができたりとか。いろんなことを言いますけどね、皆さんは(笑)。そんなにねー、引きずってないですし、重い話でもないんですよね。ただ、いろんなことが重なった時期があっただけで。

NEXT PAGE
  1. < Prev
  2. 歌い続ける理由~復活劇『FNS歌謡祭』で歌った「I'm proud」
    「“死にそうになったんでしょ、あなた”って自分に問い掛けて」
  3. Next >
Music Video
インタビュー写真

華原朋美 『DREAM-Self Cover Best-』インタビュー 華原朋美 『DREAM-Self Cover Best-』インタビュー 華原朋美 『DREAM-Self Cover Best-』インタビュー 華原朋美 『DREAM-Self Cover Best-』インタビュー 華原朋美 『DREAM-Self Cover Best-』インタビュー 華原朋美 『DREAM-Self Cover Best-』インタビュー 華原朋美 『DREAM-Self Cover Best-』インタビュー 華原朋美 『DREAM-Self Cover Best-』インタビュー 華原朋美 『DREAM-Self Cover Best-』インタビュー 華原朋美 『DREAM-Self Cover Best-』インタビュー 華原朋美 『DREAM-Self Cover Best-』インタビュー

華原朋美「DREAM-Self Cover Best-」

DREAM-Self Cover Best-

2013/06/26 RELEASE
UPCH-1939 ¥ 3,204(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.I BELIEVE
  2. 02.keep yourself alive
  3. 03.save your dream
  4. 04.LOVE BRACE
  5. 05.Hate tell a lie
  6. 06.あなたがいれば
  7. 07.I’m proud -2013 Orchestra Ver.-
  8. 08.LOVE IS ALL MUSIC
  9. 09.夢やぶれて -I DREAMED A DREAM-
  10. 10.たのしく たのしく やさしくね

関連キーワード

TAG

関連商品

紅のプロローグ
and ROSEs「紅のプロローグ」

2016/06/08

[CD]

¥1,222(税込)

紅のプロローグ
and ROSEs「紅のプロローグ」

2016/06/08

[CD]

¥1,834(税込)

君がそばで
華原朋美「君がそばで」

2016/05/11

[CD]

¥1,100(税込)

君がそばで
華原朋美「君がそばで」

2016/05/11

[CD]

¥1,731(税込)

紅のプロローグ
and ROSEs「紅のプロローグ」

2016/06/08

[CD]

¥1,222(税込)

紅のプロローグ
and ROSEs「紅のプロローグ」

2016/06/08

[CD]

¥1,834(税込)

君がそばで
華原朋美「君がそばで」

2016/05/11

[CD]

¥1,100(税込)