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ゴールド・パンダ 『ハーフ・オブ・ホェア・ユー・リヴ』インタビュー

ゴールド・パンダ 『ハーフ・オブ・ホェア・ユー・リヴ』インタビュー

 現在はベルリンを拠点として活動するイギリス人エレクトロニック・ビートメイカー/プロデューサー、ダーウィンによるゴールド・パンダ。2010年に発表された『ラッキー・シャイナー』が、英ガーディアン紙が選ぶその年にリリースされた最も優れたイギリス人によるデビュー作として「ガーディアン・ファースト・アルバム・アウォード」を受賞。デビュー作の成功によって世界中をツアーで巡るようになった彼がその途中で見つけた様々な情景を捉えた3年ぶりとなる最新作『ハーフ・オブ・ホェア・ユー・リヴ』は、ミニマルでシンプルなビートと鮮やかな音世界が重なり合い、彼の新たな魅力が開花した意欲作となっている。4月にスター・スリンガーとともに来日公演を行った稀代のエレクトロニック・ミュージシャン、ゴールド・パンダに話を訊いた。

自分がやりたかったことを貫き、満足のいく作品に仕上がった

「YOU」
▲ 「Trust」

??ダーウィンは、日本語がとても上手いと聞いたのですが…。

ダーウィン:そんなことないよ(笑)!1年間日本に暮らしていたけれど、住んでいた時にはあまり話せなくて…ロンドンへ戻ってロンドン大学東洋アフリカ研究学院で学んだんだ。シケン2キュウトリマシタ。

??日本に来ようと思ったきっかけは?

ダーウィン:子供の頃に初めて『AKIRA』を観てから世界観が変わった。当時プレイしていたゲームも日本でデザインされていたものばかりだった。クレイジーな文化で溢れている日本にはずっと来てみたいと思っていて、初めて来日したのが1999年。その頃、家族の知り合いが日本にDJとして住んでいたから、観光客っぽいことは全くしなくて、よくクラブや飲みに行ったりしていたね。

??デビュー・アルバム『ラッキー・シャイナー』のリリースから約3年が経ちますが、これまで1年に1枚ぐらいのペースでEPを発表していますね。まずアルバムとEPの位置づけについて教えてください。

ダーウィン:ベタだけど、作品ごとに一貫したサウンドのものを作りたいと思っている。合う曲が2曲しかないとすれば、EPにもアルバムにも出来ないから、たとえば『マウンテン / ファイナンシャル・ディストリクト』は、7インチのレコードとしてリリースした。『トラスト』に関していうと、他にも同じようなサウンドの曲はいくつかあったけれど、曲が少ない方が効果的だと感じたからEPと言う形でリリースした。アルバムに収録された曲は、それとはまた異なるサウンドだしね。

??そして6月にリリースされる2ndアルバム『ハーフ・オブ・ホェア・ユー・リヴ』は、デビュー作に比べ、プロダクションが洗練されていてミニマルに仕上がっていて驚きました。

ダーウィン:そうだね。今までは単に"スペース"を埋める為に必要以上にサウンド・レイヤーを入れていたけれど、ミニマルであること、個々のサウンドに自信を持てるようになったから、そうする必要性がないと感じた。いいサウンドを見つけて、それを完璧に追求していく方が面白い。1つの作品としてはとてもいい出来だと思うし、僕は仕上がりにとても満足してる。構成もしっかりしていて、物語としてきちんと成り立っている。

??ミキサーには、シミアン・モバイル・ディスコのジャス・ショーを再び起用していますね。

ダーウィン:彼も仕上がりに満足していたよ。時間があまりなくて、僕も提出期限を過ぎてから彼に音源を渡したから、ギリギリのところで作業をしてくれた。でも最終的にはちゃんと完成した。彼のことは信頼しているから、安心して作品づくりができる。特に僕は他人にあまり未完成の作品を披露したくないから。大体の場合、問題がある部分を指摘されるか、問題があってもその人が傷つかないように「イイね。」って言ってくれるか両極端だから。でもジャスは、僕が言わずとも、こうしたらいいというのを感覚的に理解してくれている。単に友人として一緒に時間を過ごすのも好きだ。朝ごはんを食べに行って、2時間仕事をして、コーヒーを飲みながらケーキを食べたり(笑)。

「YOU」
▲ 「YOU」
(AllSaints Basement Sessions)

??前作に比べ、制作過程の部分では変化はありましたか?

ダーウィン:ずっとツアーで忙しかったから、今作は出来上がるのにかなりの時間を費やしたね。後は前作が売れたことや他人の為の作品づくりを意識しないように務めなければならなかった。また「You」に似たような曲をリリースすればみんな喜ぶんだろうと思ったけど…。実は「You」のような曲を12曲作ろうと試みたことはあったけれど、やはり出来なかったから、自分の好きなように作品づくりをするのが正しいんだと悟った。それに僕が作った曲なんだから、同じような曲をまた作る必要性はない。あの曲は誇りに思っているけど、それはもう過去のことで、新たなことに挑戦したかった。別にみんながこのアルバムをいいと思ってくれなくてもいい。自分がやりたかったことを貫けたし、満足のいく作品に仕上がったから。

??『ラッキー・シャイナー』が高評価を得たゆえに、相当な葛藤があったみたいですね。

ダーウィン:かなりのね。前作では全然そんなことはなかった。デビュー・アルバムは、それまでの人生の全てを費やして作った作品で、今回は1年ぐらいで制作したものだから。ツアーやライブをすると消耗して、その数日は何も出来なくなるから創作活動を行うマインドセットへ戻るのに時間がかかる。それに買い物に行ったり、支払したり、日常的にやることも多いし。

??とは言っても、今回の作品は様々な国でツアーすることからインスピレーションが来てますよね。

ダーウィン:そうだね。今までそういった経験をまったくしたことがなかったら。それにもっと抽象的な作品にしない限り、他に書くことはないし(笑)…。

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ゴールド・パンダ「ハーフ・オブ・ホェア・ユー・リヴ」

ハーフ・オブ・ホェア・ユー・リヴ

2013/06/05 RELEASE
YRCU-98002 ¥ 2,409(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.ジャンク・シティ Ⅱ
  2. 02.アン・イングリッシュ・ハウス
  3. 03.ブラジル
  4. 04.マイ・ファーザー・イン・ホンコン 1961
  5. 05.コミュニティ
  6. 06.S950
  7. 07.ウィー・ワーク・ナイツ
  8. 08.フリントン
  9. 09.江の島
  10. 10.ザ・モースト・リヴァブル・シティ
  11. 11.リプリーズ
  12. 12.ヘロン・ポンド (パート1) (日本盤ボーナス・トラック)
  13. 13.ヘロン・ポンド (パート2) (日本盤ボーナス・トラック)
  14. 14.キャンセル・ショーズ (日本盤ボーナス・トラック)
  15. 15.インディアン・ロウ・テク・スタート・アップ (日本盤ボーナス・トラック)

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