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Salley 『赤い靴』インタビュー
ボーカル・作詞担当のうららと、ギター・作曲・アレンジメントを手掛ける上口浩平の2人からなる、クロスオーバーミュージックユニット Salley。J-POPにアイリッシュサウンドを融合させた音楽スタイルは、アイルランドのロックバンド クランベリーズを彷彿させ、“和製クランベリーズ”とも称されている。そんな2人が、5月29日にシングル『赤い靴』でメジャーデビュー。“赤い靴を食べる”MVも話題となっている今、Salleyの実態を知るべくインタビューを敢行した。
「幸せだなぁ~」って思う。毎日寝る前に「幸せだなぁ~」って。
--唐突ですが、赤い靴を食べる気分はいかがでした?
うらら(vo):アハハハ! あの赤い靴はひとつしか用意されていなくて、失敗が許されないっていう状況で。皆さんからは「気にせずに食べてね」って言われたんですけど、めちゃくちゃ気にしてて。すっごい緊張した(笑)!
--結構、衝撃的な映像ですよね。靴にナイフを入れる不可解さが頭に残る。自分たちでは、あのPVにどんな印象を?
うらら:歌詞の世界観をとても見事に表現してくれていると思っていて。逃げても逃げても、逃げられない赤い靴の呪いがあって。でも逃げられないんだったら、もう食べちゃえ!っていう発想。どうしようもないんだったら取り込んでしまおうっていう考え方が、すごく私は共感できるというか、自分の考えている通りになったなと思いました。
上口浩平(g):楽曲が聴いてて気持ち良いサウンド。だけど、歌詞はちょっとドロっとしている。爽やかだけじゃなくて、ちょっと怪しい雰囲気を漂わしているんですけど、映像でもその質感とか雰囲気を上手いこと出してくれたので、自分たちにも「Salleyってこんな感じじゃない?」って提示してもらえた感覚があって。
うらら:こちらから何かリクエストした訳じゃないんですよ。だから「なんでここまで!?」っていう感動がありました。
--ちなみに映像と言えば、デビュー曲「赤い靴」はアニメ『トリコ』エンディング主題歌でもあります。自分たちの曲が、人気アニメと共に地上波でオンエアされていること自体には、どんなことを感じていますか?
うらら:小さい頃はやっぱりアニメをよく観てて、その頃のアニメ主題歌って今でもずっと好きだったりするんですね。カラオケ行けば「アニメソング縛りで」とか言って楽しんだり。だから『トリコ』を観ている小さい子が大人になっても「あ、この曲、懐かしいね。『トリコ』の歌だったよね」とか言ってカラオケで歌ったりするのかなって思うと、鳥肌が立つ。「残っていくんだな~」みたいな、そういう想いがあります。
上口浩平:なかなか普通じゃ考えられないことですからね。なので、たた単純に作曲者としても嬉しいというか。Salleyを組むまでしばらく“作って、はいおしまい”って自分の中で完結していたものが、うららに歌ってもらって、その曲がアニメ主題歌になって、いろんなところに広まっていく。それって音楽としてあるべき姿じゃないですか。「あ、この曲、良いね」って人が広げてくれる流れに自分の曲を乗せてもらえたことは、すごく嬉しいですね。「幸せだなぁ~」って思う。
--とてもキャッチーな曲ですけど、アイリッシュ系の大人びた音も入っていたりするじゃないですか。これを子供が口ずさみながら学校とか通ってたら、格好良いですよね。随分憂いのある小学生だな、みたいな。
一同:(笑)
うらら:今ってアニソンの世界って凄いことになってますよね、文化として。その中でこの曲はそんなに「アニメソング!」って感じではないので、この曲がその聴いた子の音楽を好きになるキッカケになったりしたら嬉しい。
上口浩平:あと、その子が成長して、改めて聴いたときに「あ、こういう聴きどころもあったんだ」って、もう一回好きになってもらえたら嬉しいですよね。
うらら:「やっぱり良い曲だったじゃん!」とかね。
--その『赤い靴』でメジャーデビューする訳ですが、今現在の心境を聞かせてもらえますか。
うらら:やっと時間湧いてきたなっていう感じで。いろんな楽曲の制作をずっとしていたので、イマイチ実感みたいなものが無かったんですけど、ここ最近、急に目まぐるしく回り出したというか。友達から「今、聴いたよ!」ってメールが入ったりとか、いろんな人から「応援してるよ」って連絡もらったりとかして、「あ、私、本当に世に出て行くんだ」っていう実感がすごく出てきた。あと、プレッシャーはずっとあります。もちろんスタッフの方とか、Salleyに関わる全ての方に対して感じるんですけど、上口くんに対しては、私を一番最初に見出した人なので、何か私がヘマをして……例えば、急に喉が潰れたりして、上手く転がらなくなったらどうしよう?って思うことはあります。
上口浩平:自分が「メジャーデビューしたいな」って思い始めたのは、高校1年生ぐらいなので「やっとできる」みたいな感じなんです。もちろん僕もプレッシャーはあるんですけど、まずこういうプレッシャーを感じられる人って少ないと思うので、有り難いことだなって。毎日寝る前に「幸せだなぁ~」って。
--今日2回目ですね。
一同:(笑)
--では、そのメジャーデビューに至までのストーリーも教えて頂きたいんですが、まずうららさん。音楽に目覚めたきっかけって何だったんでしょう?
うらら:これと言ったキッカケはなくて、気付いたら家の中にずっと音楽が流れていたんです。親が流してるレコードであったりとか、姉が聴いているラジオであったりとか。ご飯食べるときテレビ観ちゃダメな家だったんですけど、その代わりにラジオやCDは流してもOKだったりして。あと、姉とカラオケで一緒に歌ったり、踊ったりしていたので、自然と音楽を好きになっていて。
--そこからどのような流れでデビューを目指すんですか?
うらら:地元の大阪から東京に出てくる直前で「本格的にやろう」と決心するんですけど、それは周りの友達が就活始めたりとか、結婚決まったりとかして。自分はその人たちと同じような人生を歩むヴィジョンが全く浮かばなくて、多分そっちに行ったら自分の場合はダメになるって思ったんです。精神的に参っちゃうじゃないですけど。それで「自分は何がやりたいのか」考えたとき、やっぱり歌しかないだろうなって。
--それでまずは上京と。
うらら:そうです。何のアテもないけど、東京行かないと何も始まらないかなと思って……でもそのタイミングで震災が起きてしまって、親が「今行くことないんじゃない?」って言ってきて。当時は東京から大阪へ帰ってきてる人もたくさんいたので。ただ、その危険を避けて何もせずに生き長らえることを自分はしなくていいと思い、「いや、何がなんでも東京に行って、私は歌をやるって決めたんだから」と宣言をして……飛び出してきました(笑)。
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リリース情報
赤い靴
- 2013/5/29 RELEASE
- 初回限定盤[VIZL-538(CD+DVD)]
- 定価:¥\1,500(tax in.)
- ≪試聴可能≫
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関連リンク
Interviewer:平賀哲雄
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