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完全版:三池崇史監督 presents 大人だけの空間

三池特集

 三池監督がプレゼンターを務める【三池崇史監督presents大人だけの空間】は、豪華ゲストと三池監督による台本のないトークショーが名物の試写会。ビルボードライブ東京の会場で客席一体となってお酒を飲み、タバコをプカリ・・・ “公開飲み会”の様な雰囲気で進行するのがイベントの醍醐味で、映画の見所やゲストの素顔に迫るうちに脱線していくトークと爆弾発言が恒例となっている。今では200名の当選枠に対して1万数前後の応募が集まるプレミアム試写会となった【大人だけの空間】の過去9回を振りかえる。

十三人の刺客

 第1回が開催されたのは今から約3年前の2010年9月15日、『十三人の刺客』でスタートした。1963年に公開された同名作を三池監督がリメイク、江戸幕府史上最凶の暴君と戦うために集まった13人の男たちを描いた本作は、ヴェネツィア国際映画祭で鳴りやまない拍手を浴びるなど海外で高く評価され、世界のMIIKEの代表作となった。

 司会の三池監督、ゲストの役所広司が紹介されると会場からは大きな歓声が沸き上がる。それもそのはず客席とステージの間はわずか1m、登壇した目の前の2人に驚きを隠せないという様子の観客。当の役所広司は、かなりリラックスした様子で「あぁ、なんかこうゆうのって初めてですね。お客さんの目の前で酒飲んだり・・・三池監督が司会という・・ははは」と雰囲気を楽しんでいた。

 三池監督は、既に楽屋でジントニックを今は赤ワインを飲んでいると明かし、ユーモアを織交えながら日本映画について熱く語った。「当たりそうな題材を当たりそうなキャストでやるという映画に一撃食らわせる」と語り、「素晴らしいスタッフ、素晴らしいキャストで作った」という力強い言葉通り『十三人の刺客』は、日本だけでなく世界にも一撃を食らわせて、ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に正式出品された他、各国の国際映画賞を受賞した。

©2010「十三人の刺客」製作委員会

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十三人の刺客 オリジナル・サウンドトラック

¥2,580(税込)
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2010/09/22 RELEASE
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冷たい熱帯魚


 「今日は既に酔っていますが、理由は映画が始まると分かると思います」と三池監督が紹介する『冷たい熱帯魚』(R-18)は実在の猟奇的殺人事件から着想を得た上、過激な作品で知られる鬼才・園子温監督がメガホンを取った問題作。ホルモンが嫌いであればとても見ていられない映画ということで、暴力描写が得意な三池監督も、「だって金魚食べちゃうんだよ!」(実際には食べない)と、その狂気に満ちた世界に心構えを促す。

 初対面だったという園子温監督と三池崇史監督だが、楽屋で既にたくさんお酒を交わしたようで園子温監督の歯に衣着せぬ発言(文字にはとても起こせない)に三池監督もタジタジ。主演の吹越満さんは、「2010年ヴェネツィア国際映画祭に行った日本人監督3人のうち2人がここにいるのは、すごいね」と客席に語りかけ火消しに入るが、その後園子温監督は加速度的に脱線。『冷たい熱帯魚』の脚本は、故意に色んな人に喧嘩を売り殴られる日々を過ごしながら執筆したというエピソードや、これ以上は書けないたくさんの爆弾発言が飛び出した。

 「映画は狂人が作るんだな。最近ははみ出した人が生きていけない世の中なのに、園子温は勝手に生きているんだよ。」というコメントでまとめるなど、後に語り継がれる伝説の回となった。

©NIKKATSU


八日目の蝉

 東日本大震災の発生から1ケ月も経たない4月上旬に開催された第4回目は、三池監督の挨拶からスタートした。「映画業界も元気がなくなっている」と前置きした上で、「淡々と粛々と今作っている映画を完成させ、自分達なりに頑張る。僕らに出来ることは、感動して頂く、魂を震わせて頂くということで、それが生きる活力というか、元気になるということだと思います。」と想いを表した。

 この回は、三池監督のオススメの映画で成島出監督作品『八日目の蝉』から主演の永作博美が紹介された。本作は、不倫相手の子供を誘拐し自分の子として育てるという角田光代の原作小説を、井上真央、永作博美のW主演で映画化したヒューマンサスペンス。現役の監督が別の監督作品を紹介するという珍しいケースだが、「知らないうちに魂が震えた。各賞を騒がせる」と絶賛し、「魂が震えた」と永作の熱演を称賛した。喜ぶ永作が一番気になったシーンを尋ねると、「それは、赤ん坊が泣いているのを何とか静めようと母乳を与えようとしているシーンかな。現場に居たかったな。俺、監督やりたかったな」と発言し、「それ、違う興味じゃないですか!」(永作)とつっこまれ最後はやはり会場は笑につつまれた。

©2011「八日目の蝉」製作委員会


忍たま乱太郎

 大人気アニメ『忍たま乱太郎』の実写化で色んな意味でその注目度が高かった本作は、豪華出演者達の強力な役者パワーと三池ワールドで世にも不思議な映画に仕上がった。

『忍たま乱太郎』は、忍術学園でエリート忍者を目指し修行に励む “忍者のたまご”達を描いたアニメで、主演の忍たまは、人気子役の加藤清史郎。トークショーのゲストとして登壇したのは、いたずら好きの悪役稗田八方斎を演じた松方弘樹と忍術学園のベテラン教師・山田伝蔵演じた寺島進という大御所俳優の2人。ベテラン俳優が、あの忍たま乱太郎の明るいテーマソングに合わせて登場し、客席の握手に気さくに応えているギャップが素敵だった。

「この映画に出て後悔してないですか」と監督に聞かれた松方は、「それよりもこの空間は何んなんだ。ステージにいるよりもその辺で一緒に飲みたいな。こんなに世の中に若い人がいるんだね。」と発言し会場を温める。しばらくアルコールを絶っていたという松方は「今日は悪い人たちに誘われて(笑)」と口をつけるなどなんとも楽し気。「これ何杯目?」(松方)に対し、「4杯!」(寺島)とやり取りするなど宴会モードでトークが繰り広げた。さらには、客席で参加していた哀川翔が突然紹介される一幕もあり、サプライズ続きの会場を大いに沸かせた。話のほとんどは、松方さんのまぐろ釣りの話題となったが、「なんでマグロなんですか?カツオじゃダメですか?」(寺島)という名言も飛び出し、笑いっぱなしの30分となった。

やはりベテラン俳優はすごい!と誰もが思ったこの回は、後にも先にもない大御所男子会となり三池監督の人望なしでは実現出来なかっただろう。

写真提供:TVfan


一命

 カンヌ国際映画祭で世界を熱狂させた『一命』の回。原作は、滝口康彦の「異聞浪人記」、1962年小林正樹監督の『切腹』以来2度目となる映画化で、三池監督が3Dで現代に蘇らせた。市川海老蔵と瑛太のW主演が話題となった本作は、戦国時代の末期、武士精神に切り込み、命とは何かを問いかける重いテーマの時代劇作品。トークショーには市川海老蔵演じる半四郎の娘であり、貧しい生活ながら瑛太演じる若き武士求女を支える妻を演じた満島ひかりが登場した。

 「映画史上、こんな悲しい役はないんじゃないかという役を演じてもらいました。」と監督に紹介された満島ひかりは、坂本龍一が担当した悲しく重厚な劇中音楽に合わせて登場。監督は、音楽に触れると、「Vシネマやヤクザものなど色々やってきて、ついに坂本龍一と出会いました。俺っぽくないけど、登場人物達を後ろからささえてくれる素晴らしい音楽。」とご満悦。満島は、先の完成披露試写会で、「一命を懸けて守りたいものは?」と聞かれ、「自分の本能」と即答したエピソードを明かされたが「常に更地に立っていたい。世間が作った何かじゃなく、自分の身体から湧き上がってくるものを忘れないでいたい」と真っ直ぐな眼差しで語るのが印象的だった。

 「これからの日本映画の可能性を感じてもらえれば嬉しい」という監督の期待通り、初の時代劇で3D作品となった『一命』は、パロアルト国際映画祭にて優れた3D作品に贈られる賞を受賞し、日本映画の3D技術に新境地を切り開いた。

写真提供:TVfan

一命サ

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坂本龍一『一命 Harakiri - death of a samurai』

¥2,520(税込)
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2011/10/12 RELEASE
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逆転裁判

この日の三池監督は、折りたたまれた紙を左手にスツールに座ると、テンポの良く主演の成宮寛貴を呼び込んだ。「今日は監督が飲み会すると言われたので来たのですが、いつの間にかヘアメイクさんとスタイリストさんがいて、今ここに立っています」と笑顔の成宮寛貴。すかさず200名の枠に対し応募が1万人を超えた事を明かし、会場を喜びの歓声で包まれたがそれもつかの間、予告ナシのサプライズとして呼ばれたのは、主題歌を担当したポルノグラフィティの2人。いっきに会場のボルテージが上がる様子にニヤリの監督。

カプコンの法廷バトルゲームを映画化した『逆転裁判』は、ゲームキャラクターの個性的で奇抜な髪型やゲーム特有の雰囲気を再現する制作秘話が中心に語られた。また、デビュー前はミュージシャンや俳優を目指していた訳でなかったというポルノグラフィティと成宮寛貴の共通点を引き出すなどゲストのプライベートに切り込んだ話を楽しめた。そして、今だからこそ楽しみだ10年後のヴィジョンを語る3人に「いいなあ。夢があって。映画監督って、40代にピークを迎えた後はだんだんフェードアウトして『いつの間にか、死んだらしいよ』とそういう運命なんですよ。」と笑う。

進行表を作って来たという三池監督の見事の仕切りでマスコミ向けのフォトセッションやイベントが進行し、「いつもはグダグダになるけど、今日はピシっと出来たかな。」と6回目にしてそんな言葉も聞けた。

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発売元:バップ
©2012 CAPCOM/「逆転裁判」製作委員会

逆転裁

判サントラ

逆転裁判 オリジナル・サウンドトラック

¥2,500(税込)
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2012/02/08 RELEASE
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愛と誠

 妻夫木聡演じる超不良「誠」と武井咲演じるお嬢様「愛」の型破りな恋愛を描いた映画『愛と誠』は、原作の人気コミックを三池監督が斬新に映像化をした作品で、音楽を小林武史が担当、一青窈の出演など、歌あり踊りありの独特の世界感を放つ他にはない映画。トークショーのゲストには、誠役の妻夫木聡と愛に想いを寄せる石清水を演じた斎藤工が登場した。

 この日が一般の初披露目となったということに触れ、「世界初なのでワールドプレミアのよう」と盛り上げる三池監督。話は先の完成披露会見で妻夫木さんが稀に見る、他に見たことがない映画と言いたかったところを「ふざけた映画、よくわからない」って間違った言い方をして顰蹙を買ったエピソードに始まり、3人ともどう良さを表現していいか分からない映画だという意見に落ち着く。「カンヌ国際映画祭に『一命』が出品されたんですが、この作品は無理!でも、いい映画なんです。」と監督が言うと「僕の今年の上半期No.1ですよ!」と斉藤、賞は関係なし、監督やキャスト共に楽しく良い映画を作ったという自信が漲る。

 「ひとつのジャンルに留めたくないので、自由に観てほしい。」(妻夫木)や「非難も含め遠慮なく、映画を観ることを楽しんでください」(三池)と客席に語りかけステージを後にする。上映中の客席からは笑いや拍手が絶えず、映画の持つ根本のエネルギーや娯楽性を感じる試写会となった。

写真提供:TVfan

愛と誠

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愛と誠 オリジナル・サウンドトラック

¥2,800(税込)
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2012/06/06 RELEASE
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悪の教典

 「やばいです。ちょっと飲み過ぎちゃいました。」とジントニックを片手に登壇した監督から、「伊藤英明は現時点で来てないのです。…というのは冗談。」とおちゃめないたずら発言も出るなどほろ酔い?な雰囲気でスタートした。『悪の教典』は、人気高校教師が生徒の皆殺しを企てるという衝撃な小説の映像化で、教師役の伊藤英明と生徒役の浅香航大、KENTAの3人が登場。

 既に2杯飲んできたという伊藤英明さんは「キリーツ!」と会場のお客さんを立たせると「乾杯!!」と豪快に音頭を取る。「今日はなんでもありだ!」とステージ前の方のお客さんとグラスを交わしたり、写真撮っていいよと言ったり本当に何でもありの回となった。好き勝手に飲めるのが気に入った様子で「もう1回乾杯しよう」と何度もビールをお代わりすると、まるで学生時代の後輩のように浅香航大、KENTAに絡む。監督は、話を脱線させていく伊藤さんの豪傑ぶりに助けを求めながらも、「大丈夫かよ、こいつら!という雰囲気も含めて、こういう奴らが本気で作るとこうなるというのを観てほしい」とアピールした。

 「こうゆう空間で観られるのは絶対ないので羨ましい!」と言いながら帰る伊藤英明に、一緒に観ようという声が沸き上がるなどキャストと客席の壁はなく、200名規模の飲み会のような雰囲気であった。

写真提供:TVfan

悪の教

典サントラ

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¥2,940(税込)
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2012/11/07 RELEASE
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藁の楯

 今年最大の話題となっている三池監督の最新作『藁の楯』は、10億円の懸賞金がかけられ一般市民や警察までにも命を狙われる凶悪犯を、48時間以内に警視庁に輸送するSPの葛藤やスリリングなアクションを描いたサスペンス映画。SP役を演じた大沢たかおと松嶋菜々子、凶悪犯役の藤原竜也らの豪華共演が話題の作品で、カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品されるなど海外での期待も高い。

 SP役の大沢たかおの登場に「かっこいい!」と黄色い歓声が起こると、「でしょ?思わずいい男だなと。自分は引立て役に徹します」と監督。撮影は、「死ぬかもしれない」という様に過酷な現場だったと振り返るが、さすがはプロ、大沢さんを主役の俺が俺がというタイプではなく他の人にプレッシャーを掛けたり何かを求めたりしない自分の役を演じることに没頭している珍しいタイプと称賛した。大沢は松嶋菜々子の集中力と男勝りなプロ根性に感心した様子で、 “人間のクズ”を演じさせれば世界一“(監督談)という藤原達也は自然体で演技をしないという方法で人間の怖さを表現していたと感嘆していた。

 映画に出来ないことばかりが書いてある原作から、逃げることが出来なかったという監督。全力を尽くして作った、普段の日本映画には出来ないことを、自分たちの常識を一歩壊してみた作品と紹介した。

©2013映画「藁の楯」製作委員会

藁の楯サントラ

藁の楯 オリジナル・サウンドトラック

¥3,150(税込)
WPCL-11420
2013/04/24 RELEASE
(株)ワーナーミュージック・ジャパン 詳細・購入はこちらから>>


配給:ワーナー・ブラザース映画
公式HP:http://www.waranotate.jp
ⓒ木内一裕/講談社 ⓒ2013映画「藁の楯」製作委員会

第10回三池崇史監督presets大人だけの空間

凶悪

 これまで過去9回を振り返って来た【三池崇史監督presets大人だけの空間】の次回イベントの開催が決定している。三池監督が紹介する作品は、白石和彌監督の最新作『凶悪』で、ノンフィクションベストセラー小説『凶悪−ある死刑囚の告発−』を原作とした社会派サスペンス映画。トークショーのゲストは、『十三人の刺客』『悪の教典』など三池監督作品に縁もある山田孝之が登場する。当イベントへの参加条件、応募概要は、【大人だけの空間】公式サイトで告知されている。

日時:2013年7月17日(水)
開場:18:00 開演19:00
※トークショー(30分程度)後、本編上映となります。
場所:ビルボードライブ東京(東京ミッドタウンガーデンテラス4F)
登壇者:三池崇史監督、山田孝之
上映作品:『凶悪』(白石和彌監督)
応募フォーム:http://www.20-shishakai.com/

©2013「凶悪」製作委員会

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