Special
EXHIBITION vol.2~Wrong or Right, It’s Alright.
音楽の歴史を語る際にその音と共に重要な資料となる写真。ライブ写真をはじめ、アーティストのポートレイトやスナップといった形は様々だが、その一瞬の空気を切り取った一枚は遺産として語り継がれていく。今回は1980年代以降のミュージックシーンを最も間近で撮り続けてきたロックフォトグラファーとして“クボケン”の愛称で親しまれる久保憲司が撮影してきた名シーンと併せてそのアーティストたちの名盤を紹介したい。
The Smiths / ザ・スミス
1984年 グラストンベリー出演時の写真
出演前は物議をかもしたザ・スミスのグラストンベリー出演。70年代からのサイケデリック・ロック・バンドが主流であったフェスの根底を覆すようにポップなサウンドを鳴らして熱狂に導いた。音楽フェスが自由であることを証明した瞬間が切り取られた。デビュー・アルバムから全英2位という好記録を達成した彼らは熱狂的な支持を受けるが87年に解散。しかし、バンドの革新性は音楽性、デザイン、ファッションなど今なお高く評価され続けている。
『ザ・スミス』
[WPCR-14541]
1984年にリリースされた1stアルバム。70年代後半のパンク・ムーブメントだけでは収まりきれなくなった人々の“愛”をさらけ出した文学系ロックの金字塔。全英チャート2位
詳細・購入はこちらから>>
The Jesus and Mary Chain / ジーザス&メリー・チェイン
1985年 後にプラマル・スクリームを結成するボビー・ギレスピーが在籍していた頃(右から2人目)
ノイズ・ギター・バンドの伝説として語り継がれる彼らが1985年にスコットランドから初めてロンドンに出て来た彼らを特写したもの。デビュー・アルバム『サイコキャンディ』に閉じ込めたホワイトノイズで彩った美しいメロディーは世界に新しいジャンルを生み出そうとしていた。86年にボビー・ギレスピーはプライマル・スクリームの活動に専念する為、バンドを脱退。その後も完成度の高い作品を世に送り出し、数多くのフォロアー・バンドを生んだ。
『サイコキャンディ』
[WPCR-75298]
ノイジーなギターが全編に渡って楽曲を支配しながらポップなメロディーを美しく響かせたことでロック・シーンに衝撃を与えたデビュー作。ボビー・ギレスピーはドラムで参加。
詳細・購入はこちらから>>
『ダークランズ』
[WPCR-75299]
ボビー脱退後、轟音ギターは影をひそめたものの、クリアなサウンドは彼らの持つメロディー・センスを際立たせる結果となった2ndアルバム。タイトルをイメージさせる低い位置で展開されるサウンドが秀逸。
詳細・購入はこちらから>>
The Cure / ザ・キュアー
1986年 グラストンベリー・フェスでのステージ
イギリスで最も尊敬されるバンドの一つとして数えられるザ・キュアーが1986年に【グラストンベリー・フェスティヴァル】で初のヘッドライナーを務めたステージ写真。1979年のデビューから『ポルノグラフィ』、『ザ・ヘッド・オン・ザ・フロアー』とヒット作を放ち、いよいよ世界的なモンスターバンドへとステップアップしていた黄金期を切り拓いていた頃の1枚。日本でも根強い人気を持つ彼らだが、2007年のフジロックが23年ぶりの来日となったが、今年またそのフジロックの為に来日してくれる。
『ポルノグラフィ』
[UICY-7301/2]
1982年にリリースされた初期の傑作として数えられる通算4枚目のアルバム。バンドの緊張感が高まる中、サイケデリックな感覚で新境地をみせた。この後にリリースされる作品の為に必然的だったと思えるバンドの核に触れる名盤。
詳細・購入はこちらから>>
『ザ・ヘッド・オン・ザ・ドアー』
[UICY-7305/6]
大ヒットとなった『ポルノグラフィ』から84年の『ザ・トップ』をはさんでロバート、ロル、ポール、サイモン、ボリスという黄金期メンバーで制作された6枚目。「キョート・ソング」など聴きやすい人気曲が並ぶ。
詳細・購入はこちらから>>
My Bloody Valentine / マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン
1991年 初来日時に川崎チッタのバックステージで
91年にリリースした『ラヴレス』の曖昧で不明瞭な美しい音楽は人々を魅了し、当時のマッドチェスターと入れ替わるように隆起してきたシューゲイザーを代表するバンドとなった。その初来日時の川崎CLUB CITTA'での一枚はケヴィン・シールズが持つ黒ラベルのパッケージにも歴史を感じてしまう。その後、彼らは沈黙してしまい、シューゲイザーも93年にはほぼ沈黙してしまう。しかし、2008年に再び動きだし、フジロックでの来日公演、2012年に1st、2ndをリマスターでリリースしたかと思えば、2013年2月に突如22年ぶりとなる新作をリリースし、単独来日公演で耳栓配布の爆音公演を開催し待ちわびたファンを熱狂させた。
『イズント・エニシング』
[SICP-20379]
シューゲイザー・サウンドの方向性を決定的にしたファースト・アルバム。フィードバックなどのノイズは控えめだが、凶暴な音像の中で歌われるメロディーは中毒性を持つ。
詳細・購入はこちらから>>
『ラヴレス』
[SICP-20380/1]
長きにわたる制作期間と制作費によって、レーベルを危機に追い込んだとされるセカンド・アルバム。ブライアン・イーノに「ポップの新しい基準を作った」と言わしめた名作。
詳細・購入はこちらから>>
Nirvana / ニルヴァーナ
1992年 来日時にカートとコートニーが滞在していたホテルの部屋で撮影
91年に「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」をかき鳴らしたニルヴァーナは、瞬く間に世界中で大ヒットし、カート・コバーンは時代のロック・アイコンとなった。そんな彼ら92年、最初で最後の来日公演で同行していた妻のコートニー・ラヴとの2ショット。ロック史に残る名物カップルとなり、マスコミの餌食となった2人がホテルで見せた相手を見つめるリラックスした表情が収められている。おなじみのパジャマ姿のカートはこの2年後に自殺してしまい、悲劇のロック・ヒーローとして神格化されていく。
『ネヴァーマインド』
[UICY-25067]
リリースから20年以上経つ今も売れ続けるバンド最大のヒット作は90年代のロック・シーンを塗り替えた。全米ビルボードチャートで首位獲得後、253週にわたってチャートインしている。
詳細・購入はこちらから>>
『イン・ユーテロ』
[UICY-25069]
ボビー脱退後、轟音ギターは影をひそめたものの、クリアなサウンドは彼らの持つメロディー・センスを際立たせる結果となった2ndアルバム。タイトルをイメージさせる低い位置で展開されるサウンドが秀逸。
詳細・購入はこちらから>>
Sonic Youth / ソニック・ユース
1993年 来日時のインタビュー取材
80年代から地道にアンダー・グラウンドシーンで活動し続け、82年のデビュー以来ノイズ・ミュージックの王者とて君臨し続けていた彼らが93年に来日した際のインタビュー取材での一枚。机の駄菓子がなんともバンドの雰囲気とマッチしてしまっているのが面白い。大きなムーブメントであったグランジが、カートの死により一気に終息に向かっていく中、彼らは何食わぬ顔でベテランのノイズを鳴らして圧倒的支持を受け続けた。しかし、2011年にサーストン・ムーアとキム・ゴードンの決別によりバンド活動も休止したままである。
『GOO』
[WUICY-25368]
90年リリースのメジャー・デビュー作はアメリカン・オルタナ・ロックの先駆的作品となり、その後のグランジ・ムーブメントを世界中に巻き起こした。キャッチーな楽曲が多く彼らの入門盤として挙げられる。
詳細・購入はこちらから>>
『ダーティ』
[UICY-25369]
前作で全世界的潮流となったグランジ・ムーブメントのど真ん中である92年リリースのメジャー・セカンド作。『ネヴァーマインド』と並ぶ名作として評価される一方、メンバーの評価が低い。こちらも入門編として聴きやすい。
詳細・購入はこちらから>>
Oasis / オアシス
1995年 グラストンベリーのバックステージエリアで撮影
カート・コバーンの死後、終焉をむかえたグランジ・ムーブメントを追い越すようにブリットポップが加速し始める。94年にデビューし、1stアルバムから全英1位を獲得したオアシスはブームの超新星となってイギリスの国民的バンドとなる。写真はヘッドライナーとして出演した95年のグラストンベリーで撮影されたもの。この出演後、ブラーとのセールス勝負など熱気は最高潮に達する。ブリットポップも97年には終息するものの、バンドの人気は圧倒的で2000年代に入ってもモンスター・バンドとして君臨するが、コアであるギャラガー兄弟の不仲は致命的で結局解散した。
『オアシス』
[EICP-690]
グランジ終息後、停滞していたロック・シーンに登場したデビュー・アルバム。「現代のビートルズ」と称された彼らが鳴らす英国の王道はノエル自信も最高傑作と語る。
詳細・購入はこちらから>>
『モーニング・グローリー』
[EICP-691]
オアシス最高のセールスを記録したセカンド・アルバム。世界中で大ヒットした「ワンダーウォール」と、現在も日本の映画やCMで多用される「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」の代表曲が収録。
詳細・購入はこちらから>>
The Libertines / ザ・リバティーンズ
2003年 リバティーンズの初来日時、新宿のリキッドルームで
90年代後半全盛だったレディオヘッド、コールドプレイといったインテリなロックに対して発生したガレージロック・リヴァイヴァルは2000年代初頭にガレージ・パンク・バンドを乱立させた。そんな中、2002年のデビューアルバムを大ヒットさせ、一躍世界的ロックスターとなったリバティーンズ。初来日時の新宿リキッド・ルームでのピート・ドハーティの一枚。ジャンパーに書き込まれた日本語のメッセージが印象深い。バンドは数々の問題を抱え、解散となるも2010年に復活ライヴを行っている。
『リバティーンズ宣言』
[BGJ-10126]
初期衝動が詰め込まれたファースト・アルバムは2000年代のUKロック・シーンを塗り替えた。類稀なロックセンスを持つカールとピートという2人のカリスマが鳴らすストレートなパンク。
詳細・購入はこちらから>>
『リバティーンズ革命』
[BGJ-10127]
2004年にリリースされたセカンド・アルバム。称賛を浴びた前作からスキャンダラスな面に注目されてしまい、当時の評価は低かったが、結局ロック・ファンの心を鷲掴みにしてしまった。
詳細・購入はこちらから>>
The Horrors / ザ・ホラーズ
2009年 SNOOZER誌のインタビュー時に撮影
2006年に出現した彼らは音楽はもちろん独自のファッションにも注目が集まり、デビュー当時から注目されていた。その期待に応えるように、活躍の場を世界中に広げていった。2007年にはサマソニで初来日、2009年の来日時のインタビューでこの写真は撮影された。彼らはこれまで紹介してきた80年代のサイケデリック・ロックもシューゲイザーもグランジも王道もすべて飲み込んだパンク・サウンドで今やUK国民的バンドとまでなった。
『ストレンジ・ハウス〜異形者たちの館』
[UICP-1080]
2007年にリリースされた彼らのファースト・アルバム。英国の大先輩たちが鳴らしてきた怪しげなパンク・ロックを飲み込んで荒く奏でるようなサウンド。
詳細・購入はこちらから>>
『プライマリー・カラーズ』
[BGJ-19206]
ファーストの期待を更に上回った2009年のセカンド・アルバム。サイケデリックなニュー・ウェイヴ・パンクは2枚目にして新しいジャンルとして確立しようとしている。
詳細・購入はこちらから>>
展覧会情報
【WRONG OR RIGHT, IT'S ALRIGHT】これまで紹介してきた久保憲司の写真展【WRONG OR RIGHT, IT'S ALRIGHT】が東京、大阪で開催される。アーティストと生活を共にしながら撮影したロック・ドキュメンタリー。81年〜85年のニュー・ウェイヴ全盛期〜マッドチェスター黎明期から現在に至るまで、リアルな現場を体験してきた彼だからこそ残せたロック史の貴重な記録が50点以上展示される。もちろん枚数限定で販売もされるとのこと。
展示される主なアーティストは、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、ストーン・ローゼス、プライマル・スクリーム、カート・コバーン、ビースティ・ボーイズ、ブラー、リバティーンズなど。
・東京 4月20日〜5月11日
ギャラリーかわまつ
東京都千代田区神田神保町2-12-1 川松ビル2F
・大阪 5月14日〜5月28日
DMOARTS
大阪市北区梅田3-1-3 JR大阪伊勢丹3F
digmeout ART & DINNER
大阪市中央区西心斎橋2-9-32 アローホテルB1
イン・ユーテロ
2011/11/09 RELEASE
UICY-25069 ¥ 1,885(税込)
Disc01
- 01.サーヴ・ザ・サーヴァンツ
- 02.セントレス・アプレンティス
- 03.ハート・シェイプト・ボックス
- 04.レイプ・ミー
- 05.フランシス・ファーマー・ウィル・ハヴ・ハー・リヴェンジ・オン・シアトル
- 06.ダム
- 07.ヴェリー・エイプ
- 08.ミルク・イット
- 09.ペニーロイヤル・ティー
- 10.ラジオ・フレンドリー・ユニット・シフター
- 11.トゥレッツ
- 12.オール・アポロジーズ|ギャロンズ・オブ・ラビング・アルコール・フロー・スルー・ザ・ストリップ (ボーナス・トラック)
関連商品
ACCESS RANKING
アクセスランキング
SPECIAL
インタビュー・タイムマシン
-
“心と体の両面を踊らせるデジタルEP” Lucky Kilimanjaro熊木に聞く
-
<インタビュー>武瑠「ずっと隣にいてくれたんだ」ファンへの想いも再認識した新曲たち、SuG限定復活後すべてを注ぎ込んでいる音楽活動について語る
-
Ken Yokoyama “90年代に鳴らされた音”を再定義
-
<わたしたちと音楽>三原勇希×Rihwa ライフステージの変化で“変わるもの・変わらないもの”
-
ガガ版と“謎の女”版が歌う『ジョーカー2』楽曲の違いは
-
<インタビュー>小さな日々こそがプレシャス――10年ぶりのアルバムを完成させた竹内まりや、時代に寄り添う“普遍的な音楽”への想い【MONTHLY FEATURE】
HOT IMAGES
注目の画像