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LOVE PSYCHEDELICO 『LIVE PSYCHEDELICO』 インタビュー

LOVE PSYCHEDELICO 『LIVE PSYCHEDELICO』 インタビュー

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--昨年はLOVE PSYCHEDELICOの野外ライブを体感する機会に恵まれていたのですが、すごく野外の似合う音楽というか、バンドだなぁと、しみじみ感じました。

NAOKI:好きだねぇ。似合う似合わないは別として、ちょっとワクワクするよね、あの感覚は。

--今回のライブアルバム『LIVE PSYCHEDELICO』を聴いても感じたことなんですけど、LOVE PSYCHEDELICOの音楽って、会場の規模が小さくでも大きくてもどこまでも広がっていくような感覚を与えますよね。

KUMI:そうだねぇ。

NAOKI:少ないからとか、大会場だからとか、確かにあんまり関係ないですね。

--LOVE PSYCHEDELICOがライブに望む上で意識している事ってどんなものだったりするんですか?

NAOKI:あんまり構えたりはしないですね。でも、どうなんだろう、今のバンドのメンバーと会ってから、一緒に歩いてる感じがすごくするから、ここの二人だけで何かを背負う感じはなくなって、バンドと「一緒にこの山登ろう」みたいなノリに近くなったかもしれない。

--デビュー当時のライブとかは今に比べるとどうだったんですか?

KUMI:やっぱりきっと違うよね。回数重ねていくうちに広がっていってるよね。

NAOKI:広げ方も知っていったっていうか、勉強させてもらったっていうか。KUMIはどうか分かんないけど、俺は正直、右も左も分かんないまま放り出されたっていう印象が、当時を今思い返すとすごくある。一生懸命やってたけど、自分はコミュニケーションの取り方を初めは分かんなかった部分もあるし、今の方が気持ち良くはなってますよね。コミュニケーションの方法も分かってきたというか、まだ試行錯誤ではあるんですけど、今の方がすごく分かるかなって。その曲で何を伝えるとか、感じ取ったバイブレーションを間違いなく返せたりとか、年齢的なものもあるかもしれないね(笑)。

--デビュー当時の放り出された印象があったというのは、具体的に言うと?

KUMI:やっぱり初めてのときは初めてだからね、分からないよね、最初は。

NAOKI:精一杯は精一杯だったけどね(笑)。簡単に言うと、いろんなものが世の中に揃っている時代だけど、僕らはPAシステムひとつ取っても、デビュー当時は「え?PAシステムってこんな使い方もあるんだ?」みたいな(笑)。自分らがまだ全然分かっていないところから少しずつライブというものを味わってきたから、ちょっと赤裸々に言えば。今やっと五体満足で少し動けるようになってきたっていう。

--ただそこで初めて、自分たちの音楽を目の前で聴きに来てくれるお客さん、ファンと出逢うわけですけど、その前と後では意識の変化はありました?

KUMI:きっと変わってるだろうねぇ。

NAOKI:あと来てくれたみんなもライブでの空気を持って帰ってくれて、変わってくれてるんじゃないかな。スタッフはみんなもう知ってるかもしれないけど、LOVE PSYCHEDELICOの、特に今のバンドになってから、ライブの終わりに近づいたときに必ず同じ空気があると思う。ピースなっていうか、ハッピーな空気が。それを多分、みんなその日は持って帰ってくれてるのかなって。

昔のね、ロックコンサートの醍醐味とか、そういうものがすべてではないなぁとは思ってるから、いろんな側面あるけどね。だから今回のライブはロックの醍醐味みたいな、例えば昔で言うとディープ・パープルの『LIVE IN JAPAN』とか、レッド・ツェッペリンの『狂熱のライヴ』とか、ああいうものはあの時代の素晴らしいもので、あれを今やろうとしてもね。あの時代っていうのは録音することが大変だった時代だから、今は録ろうと思ったら毎日のライブを全部録れちゃう。そうするとどうしても“ライブ盤”というものだけでは、なかなか成立しなくて。

海外のアーティストも来日記念盤とかいって、そのとき出てるアルバムに抱き合わせで1ステージ分のライブ音源が付いちゃうみたいな、そういう形に今はなってきちゃってるから、この時代の人たちが楽しむ“ライブ盤”を出すには、セッションの醍醐味とかではなくて、きっとKUMIちゃんのこの声が好きとか、ライブのときでしか味わえないオクターブ上で歌ってるとか、そういうものをiPodであったりとか、ドライブであったりとか、そういうカジュアルな場所で聴ける感じゃないと。そういう部分では、今回のライブ盤ていうのは、今の時代だから出来るライブ盤。せっかく録れてる歓声を敢えて抑えて、すごくデッドな空間にして、KUMIの歌とバンドの演奏だけに集中するような曲があったりとか。13曲全部がワァ~~!!っていう大歓声の中で聴くものになっちゃうと、疲れちゃってドライブに耐えれるものではなくなってしまうし。

最初の曲と最後の曲だけはそういう臨場感を大切にして、そういうミックスもあるけど、あいだの『These days』や『LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~』なんかは、どちらかと言うと「自分たちがステージ上で演奏しながら聴いてる音はこういう音だよ」みたいな、そういうデッドさがあるものを味わえたりとか。そんな今の時代のバーチャルな部分をすごく大切にしたいと思って。

--そういったライブアルバムを今このタイミングで打ち出そうと思ったのは?

KUMI:去年の暮れに武道館でのライブのDVDを出して、そのミックスを去年の秋、結構長い間スタジオに入ってやってて、そのときに「あ、音だけでもいいな」と思って。そのときに初めて思いついたんだよね、「CDも出してもいいかもね」って。

NAOKI:そのときはね、武道館だけのものでも良いと思った。それで、どうせ出すんだったら、ただね、録音されたものじゃなくて、いろんなライブのものを集めて、ベストな選曲で出そうと思って。

--ちなみに今回は日本武道館のライブ音源以外は、どのライブの音源が入ってるんでしょう?

KUMI:今のバンドになったのが2004年の秋のツアー【Mind across the universe 2004】からなんですけど、そのツアーで韓国とか、香港とか、台湾とかにも行ってきて。その秋のツアーの流れから今のバンドでやったライブの中から選んで。

NAOKI:それ全部を味わえるような。だからイントロの歓声~ギターのイントロダクションまでが例えば香港で、その後がまた別の公演に切り替えたり、聴いてる人には分かんないんだけど、そんな夢のようなこともしたり。なので、厳密にどの会場ってことよりも“このバンドでこんな旅をしてきたよ”っていうのをライブ作品として作ったという意味合いの方が強いですね。

--その作業はかなりエキサイティングするようなものだったんですか?

KUMI:制作期間が短くってね(笑)、このライブ盤に関しては。

NAOKI:2週間ぐらい(笑)。

KUMI:あんまり考えてる暇なかったね、ほとんど感覚で(笑)。

NAOKI:でもその瞬間その瞬間は感動してたよね。

--ただじっくりと旅を振り返る、みたいな感じではなかった。

KUMI:全然なかった(笑)。

NAOKI:ただ手を抜くのは嫌なので、とにかく編集は全部二人で済ませて。

KUMI:よくやった(笑)。

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--その今回のライブアルバムの完成に至るまでの流れの中にあったアジアツアーについてもお話を聞きたいんですけど、そもそもアジアでライブをすること自体、どういった経緯で決まったんですか?

KUMI:それはNAOKIがずっと昔から言ってたんだよね、「アジアでやりたい」ってね。

NAOKI:そうだね。セールスがすごく良かった国々なんですよね。たまたまそれがアジアだったんですけど、毎年のようにライブをしに来てほしいとオファーがあるっていう話はいつも聞いてて、「なぜ行けないんだろう?」みたいな、単純な疑問があって。別に「アジアでやろう!」っていうことよりは、日本と同じように自分たちを待ってくれている人がいるところであるなら、普通にツアーに出ていいんじゃないかなって思ってて。自然な感じです。

--ただ海外でライブをするという部分で刺激になった部分はあったんじゃないですか?

NAOKI:僕らね、一番最初にアリーナでライブをしたのが武道館じゃなくて香港なんですよ。あのときは、キーボードのホリー(堀江博久)がこの前言ってたんだけど、1曲目の『Mind across the universe』が始まったときのお客さんの反応でホリーは自分の音楽人生が変わったんだって。仲間の言葉を借りるのは変だけど、その感覚はちょっと分かるなと思って。きっとこれからもね、海外じゃなくてもそういう瞬間があるんだと思うんだけど、そういうカルチャーショックをいろんなところでもらってきてるのかもね。

KUMI:それはもう、やっぱり。

--今後ライブをやってみたい国とか場所とかってあったりします?

KUMI:・・・それを考えてみると、やっぱり野外はいいかもね(笑)。自然の中でやりたいかも。海外でも国内でも。

--すごく僕の勝手なイメージなんですけど、例えば、仮に音楽がビジネスとして成り立たなくなって、音楽メディアが世の中から無くなったとしても、LOVE PSYCHEDELICOのお二人は旅を続けながら音楽を世界中で奏でているようなイメージがあるんですけど。

KUMI:(笑)。それはそうだね。それはそうだと思う。

NAOKI:そういうスタンスだよね、今でもね。

KUMI:変わんないね、それはね。

NAOKI:これだけビジネスとしてシステムが確立されてる時代で、そういうイメージが届くっていうのは、きっとそういうスタンスで音楽をやってる僕らを「それでよし」としてくれるスタッフがいてくれるからだと思いますね。レコーディングにしてもライブにしても、普通ならどこかで何かが我慢されてないとビジネスとして成立しないものってあるじゃないですか。そこをね、きっと他のシステムではあり得ない何かっていうのをスタッフが何とかしてくれてるんだろうなって。僕らのスピリットはそうやってみんなの力でそういう方向に動けているのかもしれない。

--お二人のスピリット、スタンスといのはこれまでブレたことは一度もないんですか?

KUMI:ないね。

NAOKI:元々は音楽ってお金払って聴いたりとか買ったりするものじゃなかったと思うから。今はいろいろね、ネット配信とか、いろんな形があって、音楽の権利がなかなか守られないとか言ってるけど、音楽が元々ある場所に帰ってきてるんじゃないのかな。単純にそう思ったりはしますけど。そんな悪い事じゃない。

--今インターネットの話が出ましたけど、インターネットが普及されて今、世界中の音楽をいつどこでも聴けるし、聴かせられる世の中になってますけど、それはそれとして、やっぱり生の自分たちの音を届けにいろんなところに行きたいっていう気持ちっていうのはしっかりある?

KUMI:そうだね。やっぱり生は違うもん。

NAOKI:どんどん逆にそうなっていくよね。KUMIが面白いこと言ってたんですけど、科学も技術も進歩して、音だってよくなっていかなきゃいけない時代に「なんでMP3なんだ?」っていう話をしてて(笑)。で、あれは音楽を聴いてるんじゃなくて、何が流行ってるのかとか、どのアーティストがどんな新曲を出すのかとか、そういう情報を取り入れてるんだよって。情報を耳から入れる時代の象徴、それがMP3だっていう話をついこの前ね、してて。

KUMI:してたね。音楽を楽しむっていうのは、また別のことだねって。やっぱり音楽を楽しむっていうのは、生の音というか、感じるものだから、音楽って。だからライブというものがまた大切になってくるんじゃないのかな。

NAOKI:俺、その話聞いて、すごく「なるほどな」と思って。これから本当にライブであったりとか、みんなの目の前に行って音を奏でて、そこでしか得られない悦びを手にしたりするんじゃないかって。

KUMI:ライブとかがすごく盛り上がってくると思うね、逆にこれから。

NAOKI:それはもうクラシックもロックも同じじゃないですか。それこそこれだけパソコンが普及してくると、家にオーディオがないっていう人もそろそろいると思うからね。

KUMI:結構いるでしょ。パソコンの音だけでね、済ませてるよね、きっとね。

NAOKI:そうなると、MP3をパソコンに付いてるスピーカーで聴くだけで、それが音楽鑑賞になっちゃう。そういう時代になると、きっと僕らみたいな表現者はまた違う発想を持って、一生懸命足を、昔のミュージシャンのように運んで、演奏、コンサート活動をするっていうのがすごく大切になってくるんじゃないですかね。そういう意味では、MP3が出現したのも含めて、またどんどん音楽が本来の演奏して楽しむっていうところに帰っていくってことで。

--LOVE PSYCHEDELICOがやってる音楽っていうのは、そういった時代の良心としてあるような感じがすごくしますよね。

NAOKI:嬉しいね。

KUMI:嬉しいね。ふふ。

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--そういったLOVE PSYCHEDELICOのスピリットが剥き出しになって表現されていたのが、先程から何度か話に出ている日本武道館でのライブだったと思うんですけど、日本武道館でライブするっていうのは憧れとして昔からあったんですか?

KUMI:あったね。やっぱりあったね~。夢だったね、武道館でやるのは。

NAOKI:「思い入れが違う」っていうぐらい、あったね。

KUMI:映像とかでしか知らないけど、ビートルズがやった場所だったりとか・・・ビートルズはやっぱ大きいかな(笑)、私は。単純に。

NAOKI:ジョン・レノンが一番最初にあそこでロックを歌ったんだもんね。本当、ビートルズもそうだし、フリートウッド・マック、レッド・ツッペリンとか。

KUMI:みんなやってんね!だからそういう憧れの私たちのスターがあそこでやってるっていうのは、すごく大きいよね。

NAOKI:みんなそこでやって“帰った”んじゃなくて、やって“あそこにみんないる”感じがしない?

KUMI:なんかね、まだそのエネルギーというか、魂を感じるから。残していったもの、それに惹かれてるんじゃないかな。

--実際に初めてそのステージに立った瞬間っていうのは、どんな気分になりました?

KUMI:私は最初は結構舞い上がっちゃったね(笑)。前半は地に足が着かなかったね、本当に夢見てるみたいで(笑)。後半徐々にかな、歌ってる気がしてきたのは。

NAOKI:そういうだんだんライブになっていくステージがちゃんと出来たっていうか、パッケージされたものじゃなくて。それが“足跡を残す”っていう意味では、逆にそれが自分たちにとっては“良い音楽”が出来たなぁって。練習したものをストンと落とすんじゃなくて、一曲一曲新しい感覚でやれて、それまで見たことがないKUMIがいて、ひょっとしたら見たことのないNAOKIもいたかもしれないし。そういうのが武道館で出来たっていうのがすごく嬉しいですね。

--その前からすごく気持ち良く一緒にバンドをやれているメンバーとやってきて、武道館に向けてのすごく良い流れがあったのも大きいですよね?

KUMI:そうだね、いい流れがやっぱりあったね。【Mind across the universe 2004】ツアーっていうのはやっぱり回を追う毎にすごく盛り上がっていって、すごく良いツアーだったから。それの締めくくりが香港だったんだよね、その初のアリーナの。それで良いツアーのフィナーレを迎えられて、それで、その半年後に武道館があるっていう流れだったんだけど、武道館でのライブは計画して準備にちょうど半年かかってるから、半年ポッカリ空いてたんじゃないので、流れとしてもすごく良かったね。

NAOKI:一日だけっていうのも良かったような気がしない?

KUMI:そうだね。二日間やろうかとか、他の場所でもやるかとか、いろいろ話したんだけど、やっぱり最初の武道館は一本で集中しようっていう話になって。それで良かったね、気持ち的にも。

--その良い流れを共に歩んできたバンドのメンバーたちとは、どういった流れで知り合い、一緒にやっていくことになったんでしょうか?

KUMI:最初はホリーだよね。キーボードの堀江くんとずっとやってて、前のバンドのときから。ホリーの紹介が大きいよね。

NAOKI:一緒にやっていく中で、ホリーもバンドメンバー同然な形で付き合ってて、自分たちにしかない、長く続けられるバンドっていうのを作ろうよ、みたいなところから、ホリーも一緒にいろんなミュージシャンとセッションして、その中でホリーのルートから生まれてきた仲間たち。

KUMI:ホリーはずっとGreat3のキヨシくん(高桑圭)とケンちゃん(白根賢一)とは仲良かったし。で、マニピュレーターのゴンちゃん(権藤知彦)とも、その頃ね、何度か会ってて。

NAOKI:ゴンちゃんはSKETCH SHOWとかやってたんだよね。

KUMI:それでホリーと一緒になったのかな。

NAOKI:で、LOVE PSYCHEDELICOがこれからやっていく中で、有機的にシーケンスをステージ上で操れる、楽器をDJとして扱える人がほしいっていうのがあって、日本人だったら彼しかないっていう、ホリーの紹介で。もう今やゴンちゃんはLOVE PSYCHEDELICOのバンドの心臓部分だよね。彼が居なかったらあっという間にウッドストックに逆戻りじゃないかな(笑)。彼がいるからこそ成り立ってると思う。

PAGE 4

--今のメンバーとライブをしてて一番感じる魅力というか、気持ち良いところってどの辺だったりするんですか?

KUMI:本当に良いバンドなんだよね~。何が一番の魅力だろう(笑)?でも本当にバンドなんだよね、私たち二人とバックバンドじゃなくて、本当に6人でバンドになれたから。私たちはそもそも「二人でやろう」っていうんじゃなくて、バンドでやっていきたかったほうだから、ずっとバンドをやってたんだけれども、まぁいろいろ解散してて、最終的に二人になってデビューしたっていう感じだったらから。二人でデビューするつもりなんかなくってね(笑)。てっきりバンドでデビューすると思ってたから。

NAOKI:『LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~』(デビューシングル)も後から生ドラムに差し替えるぐらいのつもりで作ってたよね(笑)。

KUMI:そうそう(笑)。デモテープのつもりで作ったから、後で生ドラムに差し替えようっていう風に作っていたのが、結局あのまんまの作品になっちゃったんだけど(笑)。だから「やっとバンドが組めた!」っていうので、それが幸せだね。「バンドってこういうことなんだ!」って思えるバンド。

NAOKI:名前じゃなくてね。

KUMI:ほんと、仲間なんだなっていう。ステージ上にいるときの心強さというか、本当に気持ちでバンドになってないと一人になっちゃうから、ステージに立ってても。それが6人いて。ていうか、6人を超えるよね、バンドの心強さってね。

NAOKI:で、その今言ったさ、「一人になっちゃう」っていうボーカリストの気持ちってすごく分かるんですよね。彼らと会うまでは、どうしてもそうなっちゃう、ステージ上でKUMIがそうなってしまう場所がすごくあって。それをすごく克服してくれたのも今のバンドのメンバーだよね。ツアー何本かを乗り切ったことで、やっぱり信頼関係もすごく生まれてるから。今も曲作りとかね、レコーディングしてると、みんな普通に遊びに来て、「あ、じゃあ、俺が叩くよ」みたいな感じで、自然と、ビジネスを超えたところで、レコーディングも一緒にやれる仲間になってるし。楽しいですよ。だからそういう人たちと一緒にクレジットされて、そういう仲間と一緒に一枚、ライブ盤だけど、アルバムを一枚出せるっていうのはすごく光栄だなって。それは嬉しいよね。

--ちなみにメンバーそれぞれどんなキャラクターを持った方だったりするんでしょうか?

KUMI:誰から話そうか。じゃあ、キヨシくん。

NAOKI:ベースのキヨシくん。Great3の。

KUMI:そうだな~。

NAOKI:俺はなんか、守護神みたいな。

KUMI:守護神(笑)。まぁでも一番守られてる感じはするね。

NAOKI:KUMIのことを一番支えてるんじゃないかな。それはテクニックどうこうじゃなくて、スピリット的な部分で。

KUMI:そうだね。「俺がいるから大丈夫」みたいな感じの人かな。で、ゴンちゃん。

NAOKI:心臓部分。なんか、全部ニックネームみたいになってるけど(笑)。「バンドの心臓部分、権藤と申します」みたいな(笑)。

KUMI:(笑)。でも心臓部分だよね。

NAOKI:バンドの心臓音を本当に奏でてる感じ。同機モノを扱ってるわけですけど、やっぱりね、マシンとうのは、スウィッチを押してから数秒経ってから演奏が始まるじゃないですか。で、例えば、曲に入るまでの間っていうのは、やっぱり押す人によってはストレスを感じるんですよ。例えば、「『Last Smile』」って曲紹介して・・・・・・・もう一回言い直さなきゃみたいな感じになっちゃったり(笑)、ボーカリスト的には。彼はそういうのがないよね。ゴンちゃんになってから同機が回ってることを一切忘れちゃうっていうか。で、今回、ライブ盤のミックスをやってても、すごく思ったのは、毎回まったく違う。KUMIのシャウトに合わせてカオスパッドで音を入れてたりとか、一緒に演奏してても気付かないぐらい絶妙なタイミングなんだよね。本当に有機的にすべてを操ってて。

--続いて、ドラムスの白根さん。

NAOKI:・・・なんだろう?・・・別にニックネームを考えなくてもいいんだよね(笑)。リズムが正確なんじゃなくてさ、ロックンロールを正確に叩くドラマーっていうのかな。ちょっと違うか?

KUMI:ドラマーなのに繊細(笑)。

NAOKI:すっごく分かるけど、世の中のドラマーが繊細じゃないみたい(笑)。いや、でも分かるな。メロディ楽器みたいにドラムのことを考えてる人。

KUMI:あんまりリズム楽器として考えてないよね。変な話だけど(笑)。

NAOKI:ウチはベースもドラムもそうなんだよね。だからゴンちゃんが心臓部なのか(笑)。

KUMI:だからゴンちゃんがリズムを刻んでるのかもね(笑)。あの二人はメロディ楽器だと思ってるもんね、ベースもドラムも。

NAOKI:ワンステージ終わって、KUMIが「今日は歌いにくかった」って言うと、「全部、俺のせいじゃねーか?」ってイチイチ気にして、次の日は全然違うドラミングに挑戦してみたいなさ(笑)。「ケンちゃんは今日最高だったから、そのままでいいよ」って言わないと、次の日は全然違うこと始めちゃうぐらい、常に変化するというか、いつも完成系がない感じ。更に、更にって、高いところを求めていくタイプかな。だからね、みんなKUMIの歌に向かってるんだよね。ボーカルの真後ろにはどうしても一段上がってドラムスがあって、そうなると、ちょうどボーカルの耳の高さのところにシンバルが来るんだよね。で、そこはドラムの迫力だけで持っていくドラマーだと、どうしてもバチン!バチン!って行くんだけど、そういう嫌な感じを彼に対しては味わってないと思う。クラッシュシンバルとか叩いてもすごく優しいよね。基本的にバスドラとスネアで踊れるリズムをすごく大切にしてくれるから、ドラマーがそれだけ自由が利くと、僕らギター楽器の人たちはすごく自由に演奏ができるし、ボーカリストもすごく自由に歌がうたえる。

--そして、堀江さん。

KUMI:やっぱり私がよく言うけど、魔法使いのような感じかな。音の魔術師というか。操ってる音の音域がえらく耳に聞こえないところを操ってるよね、あの人はね。エネルギーを操ってるというか。でもすごく音楽的で。

NAOKI:スタンドプレーじゃなくてね。音の波動というものを知ってる。

KUMI:うんうん。音の波動を知ってて、それをなおかつ、音楽的に美しく表現してくれる。

NAOKI:芸術家だよね。オルガンを弾いてても、ギターを弾いてても、同じなんですよね。嫌な音はひとつもない。

KUMI:綺麗なんだよね~、なんかね。高貴というかね(笑)。王子様だね(笑)。

NAOKI:昔よく言われてたらしいけど(笑)。彼とツインギターをやるんだけど、ストレスを感じたことがないんですよね。彼もやっぱり自分の楽器っていうよりも、バンドであったり、KUMIの歌にすごくベクトルが向いていく中で、どう音の波動を操ろうかみたいな。まぁみんな、すごく愛情を感じる。

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KUMI:もっとみんなと一緒にライブを重ねたいですね。まだ回数が全然少ないから。2004年の秋から数えても20本あるかないかぐらいだから。

NAOKI:次にアルバムを出したときには、すごく長いツアーもやってみたいな。本当に天竺まででも付いてきてくれそうな仲間なんで(笑)。

--では、最後にライブ、音楽の可能性というところで、お話を伺いたいのですが、人がライブで一番感動する部分っていうのは、すごく自分の気持ちが高揚して、回りを見たときにそれが自分だけじゃなくてっていうのを、さっきの一体感の話ともリンクしますけど、それを感じたときだと思うんですね。で、その瞬間は、例えば、世界平和でも、愛でも希望でも信じられるみたいな感覚になるじゃないですか。そういうっていうのはステージ側に立ってる人間も・・・。

NAOKI:(しみじみと)もちろん信じてますよ。じゃないと、みんなもそうは思えないですよ。

KUMI:うふふふふ。

--それをライブで感じて、感じさせて、それをどう日常に反映させていくかというのも大きなテーマだと思うんですけど、やはり「世界平和でも、愛でも希望でも信じられる」みたいな感覚ってその空間だけのものになりがちだと思うんです。一歩そこから出て、一晩経ったら、また次にそういう感覚を得られる空間、瞬間に出逢えるまで、忘れてしまう。

KUMI:やっぱりライブだったり、音楽を通して、そういう一体感とか、愛とか平和とかを感じさせてもらうから、忘れない。そこで私たちは教わるから忘れないよね。

NAOKI:あと、みんなにもその場だけで、家に帰って忘れちゃうんじゃないステージをやりたいっていつも思ってる。すごいハッピーをその場で感じたら、その強烈なイメージっていうのをもう二度と忘れないようなライブをやりたいとは常々思ってて。だから、本当によく口癖のように「このハッピーな空気を持って帰って」って、僕らはライブで言う。そのハッピーを感じたら他の人に分けたり、それがお父さんやお母さんだったり、そういうライブをやっていきたいな。

--「それをやるために、LOVE PSYCHEDELICOの音楽はある」と言ったら、ちょっと乱暴ですかね(笑)?

KUMI:(笑)。

NAOKI:でもそれもあるよね。そういうのもあるよね?

KUMI:そうだね。

NAOKI:何もストレス発散でツアーやるわけじゃないから(笑)。やっぱりそういった確認作業というか。みんなどっかで信じてるでしょ?だからこういう仕事をみんなやってるし。お金にだけ換算するんだったら、もっと音楽を使った良いお金儲けの方法だけを探すんだとしたら、きっともう形態、システムが変わってると思う。そうじゃなくて、それでも「CDをみんなに届けよう」とか、「新しい曲を作って何かしよう」ってみんな思うし、それをこうやって聞きに来てくれる人がいて、広めてくれる人がいて、やっぱりすごく信じてるんじゃないのかな、みんな。

--なるほど。

NAOKI:ただライブが終わって家に帰って、どうしても自分の日常が大変で、辛くて、どうしてもその記憶が隅に追いやられてしまいそうだったら、もうずっと音楽聴いてればいい(笑)。ずっと次のライブを待ってればいいし。そしたらその感動はその日だけじゃなくて、次の日にも持続するかもしれない。

LOVE PSYCHEDELICO「LIVE PSYCHEDELICO」

LIVE PSYCHEDELICO

2006/03/22 RELEASE
VICL-61883 ¥ 3,190(税込)

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Disc01
  1. 01.Mind across the universe
  2. 02.Everybody needs somebody
  3. 03.Free World
  4. 04.Last Smile
  5. 05.Wasting
  6. 06.life goes on
  7. 07.These days
  8. 08.My last fight
  9. 09.Your Song
  10. 10.“O”
  11. 11.neverland
  12. 12.LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~
  13. 13.A DAY FOR YOU

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