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大澤誉志幸&山下久美子 『& Friends』 インタビュー
ともに80年代初頭から日本の音楽シーンの第一線でキャリアを重ね、当時から曲提供などを通して親交の深かった大澤誉志幸と山下久美子。3月20日にリリースされた初のコラボ・アルバム『& Friends』は、80年代前半に大澤が山下に提供した名曲の数々を中心に、息の合ったツイン・ボーカルでお互いの原点に新たな息吹を吹き込んだ好仕上がり。30年越しのフレンドシップから生まれた新作と、4月19日に行われるビルボードライブ大阪での共演について話を聞いた。
男と女で…不思議な関係と思いますよ
--お2人はデビュー当初から曲提供などを通してつながりが深い間柄だったと思うのですが、その後もコンスタントに共演したりする機会は多かったのですか?
大澤誉志幸:そうですね。なにかの折に連絡し合って飲みに行ったりとか。
山下久美子:お互いの記念もののライブにゲストで出たりして。なんだかんだと30数年、行き来していましたね。
--お互いにソロ・アーティスト同士で30年以上もそういった友人のような関係であり続けているというのは、面白いですね。
大澤誉志幸:珍しいよね。しかも、男と女で…不思議な関係と思いますよ。ソロとしては彼女の方が先輩なんですけど歳は僕の方が上で、久美子は男前というかハンサム・ガールなところがあるので、普通になにか一緒にできるという感じがありますね。
--山下さんにとっても、大澤さんは他にいない特別な友人という感じですか?
山下久美子:そうですね。幼なじみ的な感じに思えるから、そういう人はなかなか他にいないですね。同期では佐野(元春)くんもお互いのライブに呼び合ってくれたりして似たような関係ですけど、今回のアルバムのようなことができるのは当時に楽曲を提供してくれていた大澤しかいないだろうなと思います。
一周してもう一度立ち戻る時が来たのかな
--なるほど。そんな間柄だったお2人が、長いキャリアの中で初めて今回の本格的なコラボ・アルバムの制作に至ったのは?
大澤誉志幸:30年の中でずっとちょこまかと共演はしていたんですけど、その延長線上で去年に僕のライブにゲストで声をかけて昔の曲をやってみたら、当時に作った曲の良さが再確認できたのと同時に久美子もいい感じで歌ってくれていたので。その流れのままアルバムも作っちゃおうかという話になりましたね。でも、デュエット作というのはお互いに初めてで、お互いのソロの着地点でアルバムを構成していきましたね。
--楽曲としては初期の代表曲である「こっちをお向きよソフィア」をはじめ、大澤さんが山下さんの80年代前半のアルバムに提供したナンバーのセルフ・リメイクが中心となっていて。山下さんにとっては原点回帰的なところも強かったと思うのですが。
山下久美子:そうですね。ホントに一周してもう一度立ち戻る時が来たのかな、というか。初期の自分がホントに面白がってやっていた頃に連れてもらってきた感じがありました。
--アレンジなどに関しては原曲の80年代的なフレイバーを活かしつつも、今にリニューアルされた音になっていますね。
大澤誉志幸:うん。原曲のアレンジを軸としつつも楽器の編成などを変えた曲もありますけど、当時の匂いを出したかったというか。曲に関しては時代が変わってもイケる普遍性があったので、今の時代だからこそ聴いてもらいたいという気持ちも強かったですね。
--そうですね。懐かしさだけではない強さがどの曲からも感じられました。
山下久美子:懐かしいけれどそれだけじゃない、というアルバムになったのが良かったし、歌っていても新鮮に映るものが多かったですね。例えば、バラードの「LOVER MAN」は当時だと自分の中ではハードルが高く難しい曲だと思っていたんですけど、その歳なりの歌あって、ずっと歌っていける曲だったというか。でも、それは歌える機会がないと成り立たないものだから、今回はその機会があって改めて曲を見つめ直すことができたから、今の私の「LOVER MAN」に歌えたのが良かったな、と。この2人が一緒に作れたのも今だからだと思うし、アルバムを通してそこが聴いてくれる方にも伝わるとイイなと思います。
大澤誉志幸:自分たちでも楽しんでアルバムが制作できたから、聴いてくれる人にも楽しんでもらえるとうれしいですね。
--大澤さんの楽曲も、80年代に「そして僕は途方に暮れる」の続編として書かれながらお蔵入りになっていた「蕾」の初レコーディングに、山下さんとのツイン・ボーカルで新たな魅力を放つエレクトロ・ボッサな05年の「夏の終わりの午後」など。こちらも今回のコラボ作ならではの仕上がりですね。
大澤誉志幸:25年くらい前に書いた「蕾」は懐かしくもあり新しくもありで、久美子にもコーラスだけで参加してもらった贅沢な仕上がりになって面白かったですね。「夏の終わり~」は久美子の声質がボサノバに合うと思っていたところから今回のアレンジにしました。
“(お客さんが)全員見えちゃうわ”みたいな感じで(笑)
--そして、今回のコラボ・アルバム発表に合わせてのライブが4月19日にビルボードライブ大阪で行われます。
大澤誉志幸:基本的に今回のアルバムに収録された曲を中心に、僕がメインでライブを進行しながらそこに久美子が乗っかってくるという形でやろうかなと思っていますね。2ステージあるので、なるべく曲がダブらないようにも考えながら。僕は、ビルボードライブではもう前身のブルーノート大阪の時代から10年ほど年イチでやらせてもらっていますけど、特に40歳を過ぎてからジャズやボサノバ色の強いスタイルでライブをやるようになってからは、雰囲気のいいお気に入りのハコですね。
--山下さんも、ビルボードライブは2010年にソロ・ツアーで初登場して以来の2度目のステージとなりますよね。
山下久美子:そうですね。“(お客さんが)全員見えちゃうわ”みたいな感じで(笑)、通常のライブハウスとはちょっと違った空間を楽しめるところもありますね。しっとりと聴かせる曲もいいし、ノる感じの曲もアリだし。アルバムと同様に楽しんでやれればいいなと思っています。
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