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山崎あおい 『強くなる人』インタビュー
YUIに憧れてシンガーソングライターを目指し、2009年【The 3rd Music Revolution】全国大会のグランプリと特別審査員賞をダブル受賞。秋元康に歌詞の世界観を絶賛される。その後、偶然にもAKB48フリークになったりしながら、自らはシンガーソングライターにしか表現し得ない音楽を発信していき、メジャーデビュー2年目の今年「売れる」と宣言してみせた新世代の注目株、山崎あおい。その歴史と音楽、価値観を語る。
YUI主演『タイヨウのうた』の影響~AKB48にハマった理由
--まず音楽に目覚めたきっかけを教えて下さい。
山崎あおい:中学校1年生のとき、YUIさん主演の『タイヨウのうた』という映画を観て、すごく衝撃を受けて。ギター持ってる女の子って格好良いなと思ったんですよね。それで私もギターを買おうと思って。
--YUIの影響で音楽を始めた女の子がデビュー。時代の流れを感じます。
山崎あおい:よく言われます。私の世代はあの映画きっかけで音楽を始めた人が多いんです。私もYUIさんの曲がガツンと響いて、映画を観て、路上ライブって格好良いなと思って。あと、YUIさん自身の雰囲気。ミュージシャンとしてだけじゃなく、人としても憧れて。「あんな風に手を振りたい」とか(笑)。マネする感じで音楽を始めました。
--あぐらかいて路上ライブしたり?
山崎あおい:高校生のときにやりました。ただ、私、北海道出身なんですけど、寒いから路上ライブができるシーズンはすごく限られてるんですよ(笑)。
--人生で初めて買ったCDもYUI?
山崎あおい:そうです。『Good-bye days』。
--YUI以外にはどんな音楽を?
山崎あおい:最初は本当に宗教のようにYUIさんを崇拝していたんですけど(笑)、高校入ってからバンドを始めたりして、そのメンバーの影響で邦楽ロックを聴いてみたり、父がたくさんCDやレコードを持っていたので、いろいろオススメのものを貸してもらったりして。
--そんな中でデビューを目指すようになったのは?
山崎あおい:曲を作り出すと他人に聴いてもらいたくなって、いろんなライブDVDを観ている中で「デビューしたい」というよりは、「大きいステージで歌いたい」「こういう編成でライブしてみたい」「あの人と共演してみたい」といった想いが強くなって。それで中学3年生のときに初めてオーディションに応募したんですけど、そのときは地方大会止まりで。でも初めて人に自分の曲を聴いてもらって、自分が思っていた以上の感想をもらえて、意外と他の人も良いって言ってくれると分かったときに、憧れだけで終わらせるものじゃないのかなと感じたんです。
--その頃はどんな曲を作って歌っていたの?
山崎あおい:最初は……中二病じゃないですけど(笑)、なんかそれっぽいことを歌っていればいいっていう感じだったんです。中学生なりに伝えたいことはもちろんあったんですけど、それっぽくすることに精一杯。だから最初の20~30曲は今聴いても恥ずかしいような内容が多いです。その時期を経てようやく自分が書きたいことを書けるようになってきた。
--そして、16歳(2009年)にして【The 3rd Music Revolution】全国大会のグランプリと特別審査員賞をダブル受賞。
山崎あおい:特別審査員賞の特別審査員が秋元康さんで。そんなに音楽業界に詳しくない私でも知ってる有名な方だったんで、その人になんとなく認められたい気持ちはあったんです。なので、私の中ではグランプリより特別審査員賞が本命だったんですよ。そしたらどちらも受賞できてしまったのでビックリしたんですけど。
--秋元康さんから詞の世界を絶賛されたそうですが、具体的にはどんな部分を評価されたんでしょう?
山崎あおい:……憶えてない(笑)。
--とにかく褒められたことだけは憶えてると(笑)。
山崎あおい:ふわふわした状態で評価とか聞いていたんで。でもその後にも一度、デビュー前にお会いさせて頂く機会があって、そのときには「最近はストレートに“好きだ”とか“会いたい”といった歌詞が多いけど、君はそういう方向に行かないでね。もっといろんな視点から生まれる歌詞を書いてほしい」と言って頂けました。
--ちなみに特別審査員賞を獲った頃には、すでにAKB48のことを好きになっていたんでしょうか?
山崎あおい:その時期はまだ全然目覚めてなくて、その1~2年後に目覚めていくんですよ(笑)。弟がAKB48にハマっていて、冬休みのときに一緒になって番組とかDVDとか観ていたら、何故か私の方が好きになっちゃった。で、弟がAKB48のグッズとかゲームとか持っていたので、それを借りたりしている内にどんどん応援している気分になってきちゃって。
--AKB48のドキュメンタリー映画も観たりしてます?
山崎あおい:今やっている映画はまだなんですけど、前作は観ました。私、結構泣きました。アイドルと歌手って全然違う生き物だと思うんですけど、ステージに懸ける情熱は見習わなきゃいけないなって、すごく感じましたね。過呼吸で倒れちゃうメンバーがいたりとかして、「私、こんな風に倒れながらもライブやったことあるかな?」って思ったり。あれだけ本気で見せる姿には「私も頑張ろう」と思います。
--ちなみに表現者としてアイドルって別物として見ていますか? それとも切磋琢磨すべき相手として見ていますか?
山崎あおい:別物だと思います。私は音楽を作っている立場だから、頑張るべき方向が違うというか。お客さんを前にして歌うという面は一緒だし、お客さんに満足して帰ってもらうとか、そういうところでは共通するものがあるかもしれないんですけど、日常の意識の変え方とか、発信しているものは全然違うんじゃないかなと思います。
--アイドルにはないシンガーソングライターの魅力ってどんなところにあると思いますか?
山崎あおい:自分のやりたいことが出来るというか、自分が作った曲で自分が知られていくところ。私がロックを歌いたいならそれを書いて歌うことが出来るし。でもアイドルはお客さんのニーズに常に応えていくことが仕事だから、そうはいかない。
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Interviewer:平賀哲雄
今年売れる。来年、確固たる地位を築く。
▲山崎あおい/Just Friend (MUSIC CLIP 90s ver.)
--もっとフォーカスを狭めると、山崎あおいの魅力や面白さって、自分ではどんなところにあると思いますか?
山崎あおい:「難しいところが良い」とか「変わってて良いよね」というよりは、単純に聴いてて気持ち良いメロディだったり、「この音、ふわふわしてて気持ち良い」って思ってもらえるような音楽をやっていきたいと思っていて。なので、難しく考えず、そのまま受け止められる音楽。それが魅力かなと思っています。
--そんな山崎あおいのニューシングル『強くなる人』は、小学校からの親友に宛てて書いた曲のようですが、なぜそのような曲を書こうと?
山崎あおい:その子とは小学校からずっと一緒で、6年生のときに一緒にソフトテニスを始めたんです。ペアを組んで練習したり、試合に出たりして。で、塾も一緒だったんで、朝から晩までずっと一緒だったんですけど、中学3年生になって、進路について考えるときに、高校からテニスでの推薦入学の話が来ていて。ただ、私は音楽に気持ちが傾いていた時期だったんで、テニスは中学で終わろうと。でもその子はより厳しい環境でソフトテニスを続けていく道を選んで。そのときに、自己完結的な感じではあったんですけど、応援できたらいいなと思って書いたのがこの曲ですね。
--「謝ってばかりの私 許すだけのあなた」というフレーズもありますが、あおいさんは謝らなきゃいけないことばかりしていたの?
山崎あおい:そうですね(笑)。私が「ごめん」って言って、向こうが「いいよ」って返すのが日常になってました。特に試合中は、私が後衛だったんですけど、「見えている人がちゃんとやらなきゃダメじゃん」って怒られたり(笑)。でも卒業するときにこういう曲が書けるぐらいの信頼関係は出来ていて、今も私のことを応援してくれるし、私も就活中の彼女を応援したりしています。中学時代の思い出を共有しているチームメイトなので、強い絆がある。
--「諦めちゃだめだからね」「強くなきゃだめだからね」という言葉は、その友達が言っていた言葉? その友達に言った言葉?
山崎あおい:書いてるときは、発信している気持ちでした。彼女の進学する高校は厳しい強豪校だったんで、諦めるとか言ってる場合じゃなかったし。でもそういうところでも彼女だったら強くなっていくんだろうなと思って、その歌詞を書きました。なので、元々は友達へ贈る曲だったんですけど、例えば、私が高校を卒業してこっちに出てくる時期は、ライブで歌ってて自分に向かって発信している感覚になったり、今回シングルリリースする上では、いろんな人への応援歌になればいいなと思ったり。4年ぐらい歌ってきたんですけど、誰にでも当てはまる曲になってると感じてます。
--山崎あおいにとっての“強い人”ってどんな人なの?
山崎あおい:私の知ってる“強い人”というのは、常に周りには笑顔で、周りのことばっかり考えている人。私はあんまりそういうことが出来ないというか、基本的に自分で精一杯で、まず「自分、頑張らなきゃ」っていう感じなので、自分のことを後回しにしてでも周りのことを考えられる人は、ちょっと可哀想だなとも思うんですけど(笑)強いなって思います。
--ちなみに「強くなる人」をシングルリリースしようと思ったのは?
山崎あおい:一番伝えたいことがハッキリしていたので。本当に伝えたい対象がいて書いた曲なので、自分の中でも思い入れも強かったんですよね。で、これからちょうど旅立ちのシーズンになるので、リリースするならこのタイミングかなと。ライブでは毎回歌ってきた曲なんですけど、やっと巣立っていくんだなと思うと嬉しいですね。
--この曲って、例の友達にも聴かせているの?
山崎あおい:ライブに来てくれたりしているので、一応聴いてます。ただ、ライブで聴いた直後は照れくさくて、この曲については全然触れてくれないんですけど、後から「謝らせてばっかりでゴメンね」ってメールが来たりします(笑)。
--あと、今作のリリース後の話も伺いたいんですが、どんな展開を考えたり、予定していたりしますか?
山崎あおい:今回のシングルにも「19才」という上京してから作った曲が入ってるんですけど、今生まれてる曲をこの先届けていけたらなと思ってます。1年ぐらい前までは「歌詞とはこうあるべき」みたいな考えがあったんですけど、最近はどんな言葉でも伝わるなら入れたいと思うし、それによってリアリティが増すなら使いたいと思うし、ちょっと汚いような言葉でもそれで勢いが出るならって思うようになって。そういう感覚で作った曲もこれから聴いてもらいたいと思ってます。
--山崎あおいの、今の目標や夢ってどんなものなんですか?
山崎あおい:大きい夢がたくさんあって。出たい音楽番組もたくさんありますし、大きい会場でワンマンライブもやりたい。やっぱり大きい会場でライブを観ると、どんどん憧れが増すんですよね。拍手の厚みとか返ってくる音の残響とか、全然違うので、先輩アーティストのライブへ行く度に「この拍手を受けたいな」って思いますね。
--簡潔に言うと、売れたい?
山崎あおい:そうですね。売れたいというか、続けたい。続ける為には、やっぱりそれなりに届けていかないと。ひっそりと続けていても何も変わらないし、範囲も広がらないと思うんで、まずはたくさんの人に届けたい。
--今、メジャーデビュー2年目ですけど、自分の中でシミュレーションしているストーリーだったり、スケジュール感ってあったりするの?
山崎あおい:ぶっちゃけると「今年売れる」ですね。
--おぉ~!
山崎あおい:で、来年、確固たる地位を築く。
--早っ!
山崎あおい:(笑)。そこからは「あ、山崎あおい、新曲出したんだ。買おう」って誰でも気軽にCDを手に取ってくれるような、特にファンじゃなくても買ってもらえるぐらいのアーティストになる。それが再来年。その為に今年頑張る。
--かなりのハイペースですね。
山崎あおい:そうですね。でも今年はこの大事な曲のリリースがあったり、この後もリリースを予定していたりして、個人的に自分が温めていた曲、好きな曲、自分らしい曲を発表していける年だと思っているので、たくさんの人に届くといいなって思ってます。
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Interviewer:平賀哲雄
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