グランプリを獲得した者にしか分からない苦悩

▲fumika、福田桃代（左から）

－－お二人はレコチョクオーディションでグランプリを獲得した者同士で、fumikaさんは2011年に、福田さんは2012年にそれぞれデビューしましたけど、思い描いていたデビューと違う部分などはなかったですか？

fumika：素直に言います、ありましたね。デビューが決まって東京に出てくる前は、良い所に住めて、良い物を食べられると思っていたので（笑）。そんなに最初から上手くいくわけがないし、上手くいっていたら成長することもできないんですけどね。

福田桃代：私も思い描いていたものと違う部分はやっぱりありましたね。でも、突き進むしかないんですよね。

－－グランプリを獲得した者にしか分からない苦悩もあったのでは？

▲fumika

fumika：まぁ…それは確かにありますね。でも、それがないとやっていけないとも思います。

福田桃代：色々な人が期待して下さる分、私も日々プレッシャーはありましたね。今はそれを味方にして頑張っていきたいと思えるようになりました。

fumika：うん、私もいきなり社会へ飛び込んで、学ぶことばかりだったけど、教えてくれる人がいること、支えてくれる人がいることは非常に有り難いことだし。今はそういうプレッシャーも楽しみながら、前向きに乗り越えていこうと思えるようになりました。

－－そう思えるようになったのは何故ですか？

fumika：私の場合は“歌があるから”っていう部分が大きいです。周りの人たちの支えはもちろんありますけど、歌がないと私は自分を表現できないので。歌は生活の一部だし、無いとプレッシャーにも耐えられなかった気がしますね。

彼女たちにとってレコチョクオーディションとは？

▲福田桃代

－－やっぱり、お二人にとってレコチョクオーディションは今でも大切なモノですか？

fumika：人生の分岐点であり原点でもありますからね。悔しいことがあったときには必ず思い出します。

福田桃代：私も生きてきた中であのオーディションが一番、自分にとって大事なものになりました。あと、オーディションに合格したことで、周りの人たちの大切さも再確認できました。私はブログの存在が大きくて、オーディションを受ける前からコメントなどで関わりを持ってくれた方たちもいるので、全国各地へ行って、たくさんの人に感謝の想いを伝えたい。今年、来年でそれを実現したいですね。

fumika：周りの人たちの大切さは痛感するよね。あと、一緒にオーディションを受けた人たちとの絆も強い。この間も大阪でライブをしたときに、最終選考で一緒に戦った大阪の子が来てくれて、お互い頑張ろうっていう話をしたり。

福田桃代：私も最終選考で一緒だった10人とは今も連絡を取り合っているんですけど、負けていられないなって思いますね。グランプリを頂いたからには、頑張らなくちゃいけない。10人とはずっと高め合える仲でいたいです。

（※1）第1回レコチョクオーディションで10000人を超える応募者の中からグランプリに輝き、2011年 アニメ『BLEACH』エンディングテーマ「アオイトリ」でメジャーデビュー。147cmの身体からは想像もつかないほど力強い伸びやかな歌声が特徴で、竹内結子ら出演の映画『はやぶさ/HAYABUSA』主題歌など、数々のタイアップを獲得している。

（※2）第3回レコチョクオーディションに位置付けられる“CROOZ presents「第1回アジア歌姫オーディション」supported by レコチョク”で2万1000人の中からグランプリ獲得。2012年にデビュー曲「Dear Best Freind」を配信リリースし、インディーズレーベルの新人としては初めて、デビュー曲でレコチョク総合シングルデイリーランキング1位を記録した。ファッション誌のモデルとしても活動を行い、ブロガーとしても人気だ。

福田はお腹の出ている人が好き!?

－－ちなみに、お二人は昨年夏に出演した大阪でのイベントをきっかけに意気投合したそうですね。

fumika：はい。プライベートでもよくご飯を食べに行ったりしますよ。好きなアーティストのこととか、恋バナとか…色々な話をしますね。ガールズトークって本当に止まらないんですよぉ。

福田桃代：言えないような話も色々あります…（笑）。

－－レコチョクオーディションでグランプリを獲得した者同士で年齢も一緒ですし、気も合いそうですよね。

福田桃代：ポジティブで負けず嫌いなところも一緒です！

fumika：そうそう！ それ以外は全て真逆だけどね。聴いてきた音楽も、好きな男性のタイプも合わない。私は料理が出来て細身の男性がタイプですけど、桃代ちゃんはお腹の出ている人が好きらしいです（笑）。

福田桃代：それ、言わないでよぉ（笑）

fumika：あと、引っ張ってくれるようなオラオラ系が好きらしいですけど、私は尻に敷くタイプだから自分で引っ張っていきたいんですよ。だから、本当に真逆です。以前、ある番組で「夫婦か!?」って言われたことがありましたからね。私の方が男らしいようで…。野球好きでしょ、焼酎好きでしょ。男性の要素ばかりあるんです…。

迷い悩んだ2人が歌う、一皮剥けた女性の姿

－－性格だけでなく歌声も正反対ですけど、お互い羨ましいと思うことはないのですか？

fumika：桃代ちゃんは喋っているとほんわかした雰囲気というか、少し天然が入っているのに、歌うとかなり芯のある深い声をしている。そこに惹かれてコラボをお願いしたし、レコーディングで聴いていても“いいなぁ”って思いましたね。あと、やっぱり女性としてキレイ！

福田桃代：そんなに褒めても何も出てこないよ（笑）。fumikaさんは小さいのにパワフルな歌声を持っていらっしゃるので、どうしたらそんなにパワフルに歌えるの!? っていつも思うし、初めて食事に行ったときもそのことについて質問攻めしていた気がします（笑）。あと、歌声はもちろんですけど、考え方も尊敬できますね。

－－今回のコラボはfumikaさんが女性シンガーとのタッグを希望して実現したそうですが、男性シンガーとコラボするときと違いはありました？

▲fumika　『旅立ちのベル feat. 福田桃代 MUSIC VIDEO (short ver.)』

fumika：やっぱり、同じ女性として共感できる部分が多かったですね。桃代ちゃんとは恋愛観もキャラクターも違いますけど、同じ女性であり、同世代でもあるので、“一緒に高めていこう”という気持ちで歌えたことが良かった気がします。

－－昨年からfumikaさんが発表してきた“涙ソング3部作”（※3）の最終章にあたる「旅立ちのベル feat. 福田桃代」は、人としての成長を歌った曲でもありますしね。

fumika：第1弾「隣にいたかった feat. WISE」は失恋ソング、第2弾「その声消えないよ feat. Sunya」はそこから無理矢理にでも前を向こうとする姿を描いた曲で、どちらも恋愛が軸にありますけど、第3弾はその枠を越えたかったというか。一皮剥けた女性の姿を描きたかったんです。もちろん、それは恋愛においても言えることですけど、恋愛だけではなくて人としての成長を表現したかった。最後は前向きな光の見える1曲にしたかったんです。

（※3）涙もろいfumika自身の姿を投影し、等身大の言葉を綴った“涙”がテーマの楽曲をリリースしていく企画。3部作全てのサウンドプロデュースを、FUNKY MONKEY BABYSなどの作品でお馴染み 田中隼人が手掛けている。

今の2人だからこそリアルに歌えた曲

福田桃代：そういう意味でもこの曲は卒業シーズンにぴったりだよね。旅立ちの涙だったり、別れの涙だったり、たくさんの人に共感してもらえるような歌になったと思います。私は学生時代に何回か転校をしているので、そのときの気持ちを思い出して歌ったりしました。

fumika：そういえば私、高校の卒業式の後、友達と地元の山へ登って一人ずつ自分の夢を叫んでいくという、青春ドラマみたいなことをやったんです。そのとき一緒に叫び合った友達が、「旅立ちのベル」を聴いてあの時のことを思い出したって言ってくれたのが嬉しかったですね。あの頃支えてくれた友達や先生、家族を想いながら書いた曲でもあるし、“これからもお互い頑張ろうね”という気持ちも詰まっているので。

－－「旅立ちのベル」は、プレッシャーや壁を乗り越えてきた二人だからこそ歌えた曲でもありますよね。

福田桃代：本当は少し不安だったんです。二人の声は正反対なので上手にハマるのかなって。私が一緒に歌うことで、fumikaさんの曲を壊してしまったらどうしようって。だけど、出来上がった曲を聴いて泣きそうになりました。自分で言うのも変ですけど、良い曲に仕上がったと思って。私、毎日聴いていますよ。

fumika：私も聴いてる。色々なことを乗り越えて、ようやくここまで来て、そこからまた旅立つ。今の私たちだからこそ、そういう作品をよりリアルに歌うことが出来たのかもしれないですね。

この2年間はかけがえのない財産

－－そして、fumikaさんはデビュー2年目にして遂に待望の1stアルバム『POP SISTER』をリリースしました。

fumika：このアルバムは感謝の想いもこめた、私の集大成です。デビューしてから悔しいことも辛いこともあって、その中で気づくこともあって。この2年間は私にとってかけがえのない財産になったし、原点でもある。そういうものって、私だけじゃなくて社会人として仕事されている方とか、みんな持っていると思うんですね。だから、このアルバムを手にした方が、原点に返って、当時の気持ちを思い出して、また次のステップへ繋げて頂けたら嬉しいです。

－－2月23日に開催する初のワンマンライブも楽しみですね。

fumika：とにかく盛り上がりたい！ 来て下さる方たちとワイワイガヤガヤしたいです。

－－では最後に、またお二人でコラボする機会があったとしたら、次はどのような曲を歌いたいですか？

fumika：恋愛はおもしろそうだなって思いますね。正反対な二人が歌詞を書いたらどうなるのかなって。あ、でも、ケンカになりそうだな～。“お腹が出ている人がいい”っていうのは全く理解できないですから（笑）。

福田桃代：え～！なんでですかぁ（笑）。でも、確かにこの二人が書くラブソングはおもしろそう！

－－今日お話を伺ってみて思いましたけど、お二人はライバルでもあり仲間でもあり、とても良い関係性ですね。

福田桃代：はい！ 私はそう思っているんですけど…

fumika：いや、私も思ってるよ（笑）！　一緒にいて刺激を受けるし面白い。私も頑張らないとな！って思えます。

福田桃代：fumikaさんこそ本当に頼もしい先輩ですよ。大阪でのイベントがなかったら今の関係性もなかったと思うから、出逢いにも感謝ですね。これからもよろしくお願いします。

fumika：こちらこそ！ またご飯も行こうね。